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第81回 ファンエリアの魅力を再発見

2021.08.26
 コロナ禍の影響で取材規制が設けられ、プライベートでは可能な限りステイホーム。インプットやアウトプットが減り、語彙力が低下した気がする2021年の夏となりました。無観客になったり、少しずつ観客の姿が戻ったりの競馬場。人が発する'熱気'が薄れた競馬場にいると、レースや馬や騎手について誰かと語り合ってこそ、競馬の楽しさが増し、長く記憶に残るのだと改めて実感しています。
 しかし、残念な中にも明るい気持ちになる発見もありました。それは、普段はファンの皆さんが利用している'スタンドの居心地'を体験できたこと。南関東競馬では「密」を避けるために、スタンドの一部をプレスルームとして代用していますが、普段はほとんどファンエリアには行かないこともあり、その居心地の良さに改めてびっくり!

 例えば、無観客のダートグレード競走当日に開放された大井競馬場のL-WING3階のスターシート。すっきりと清潔感があるシートとテーブル、大きなガラスの向こうに広がる馬場、光の数々・・・まさにこれぞ「東京シティ競馬」なのだと納得の空間です。ダートグレードという特別な日だったこともありますが、ナイター競馬ならではの'煌き'にすっかり圧倒されてしまいました。大井競馬場にはG-FRONTと呼ばれるプレミアムなエリアも。今年度のキャッチコピーにもあるように、'誇りにまみれた'大井競馬場、眩しすぎる・・・。

 無観客競馬の川崎競馬場では、ケンタッキーラウンジが臨時のプレスルームとして開放されました。こちらはアメリカンな雰囲気をモチーフに、2018年にリニューアルオープンしたエリア。レースの見やすさはもちろん、映画スターなどを施した内装の楽しさも大きな魅力で、テーマパークのような親しみやすさも感じました。以前の建物を知っていると驚きの変貌ぶりですが、かつての窓口付近の床に残る整列用の番号などから、リアルな「古き良き」を感じることができるのも嬉しい発見でした。

 無観客競馬となっている船橋競馬場の臨時プレスルームはアタリーナ。冷暖房完備、大画面のモニターがあり、直接レースを観ることはできませんが、馬場やパドックに近いことから、多くのファンが集う人気のエリアです。

 実は、船橋競馬場でプレス用の部屋が用意されたのは数年前。それまでフリーのカメラマンやライターは、業務エリアの通路や外の植え込みの下に機材を置いて作業をしていました。カメラなど重い荷物を持ったまま、取材の合間に座る場所がない(業務エリアでちょっとだけ座りたい)のはなかなか大変で、最も近いスタンド下の柵に寄り掛かって休憩するという・・・柵で休憩とか、鳥さんみたいね(笑)というかんじ。

 その後、コロナ禍以前は会議室を、現在ではアタリーナをはじめとしたスペースをプレスルームとして開放してくださっています。そのような中で、涼しい!モニターですぐにレースを確認できる!座って観戦できる!ファンエリアって素晴らしい!としみじみ・・・。2024年のグランドオープンを予定しているスタンドにはプレスルームも用意されるとのことで、今からその完成を楽しみにしています。ちなみに2021年8月現在の工事の進捗は、新たなスタンドの骨組みが見え始めている状態。アタリーナも2022年には解体予定だそうです。

 第81回 ファンエリアの魅力を再発見の画像 このように、ファンの皆さんのためのエリアを体験して、その快適さ、各競馬場の工夫、レースの見やすさなどを実感できました。でも、やはり、歓声が聞こえない競馬場は寂しいもの。少しでも早く安心に過ごせる日々が戻り、また大歓声が響く競馬場となりますように。

 なお、船橋競馬場の完成予定図は正門からスタンドに向かう途中で見ることができます。その中に「ウォーリーを探せ」的なおちゃめポイントが現時点で2カ所あり、関係者の間でも話題になっています。工事期間限定のものだと思いますので、コロナ禍が落ち着き、ご来場の機会がありましたら、ちょこっと探してみると楽しいかも知れません。

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