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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第91回 南関東競馬3歳世代の頂点へ 東京ダービー(SI)

 6月8日、大井競馬場で第68回東京ダービー(SI)が行われました。この日の大井競馬場はダービーデー特有の賑わい。制限はあるものの、競馬の祭典、ダービーという特別な1日を満喫する多くのファンから発せられるワクワク感が、競馬場いっぱいに満ちているのを感じました。それはきっと、無観客開催での"もの足りなさ"や"空虚感"を体験したせいかも知れません。

 その東京ダービーを制したのは、6番人気、浦和・小久保智厩舎のカイル(父トーセンブライト)。初重賞制覇が東京ダービーとなりましたが、半姉に2019年の南関東競馬2冠牝馬・トーセンガーネットがいる堂々の血統。母トーセンヴェールはJRA未勝利で船橋に転入。南関東で1勝をあげ、自らの夢を産駒に託す形で繁殖入りとなりました。

 管理する小久保智調教師は2015年のラッキープリンス以来2勝目となる東京ダービー制覇。カイルを担当するのはご子息で厩務員の勝法さんということで、親子での東京ダービー制覇という二重の喜びにもなりました。

 「親子でダービーのタイトルを獲れたのは珍しいかな。カイルは気性が難しくて、今日もゲート入りを嫌っていましたね。まだ"子ども子ども"しています。人間も馬も難しいですね(笑)。姉のトーセンガーネットもカイルもデビュー戦は2着。みんな気性が難しい。克服できればと思います。体は身が入って来ましたね。落ち着いてきたかなと思うけど、やること(子どもっぽさ)はまだ変わらないですね。カイルに関しては、強気で中央に臨んでみたいと思います。海外も視野に入れて、いろいろ挑戦していきたい。まずは交流を勝たせたいですね」(小久保智調教師)。次走は7月13日、同じく大井競馬場で行われるジャパンダートダービー(JpnI)の予定とのこと。「今日よりも一段馬の状態を上げてここに連れて来たい」と力強く語ってくださいました。

 騎乗した本橋孝太騎手は、東京ダービー2勝目。ちょうど10年前、2012年のプレティオラス(大井)で勝利して以来の優勝。10年前のあの日、交流競走で騎乗した武豊騎手が東京ダービーにも騎乗。レース直後、検量室に入る本橋騎手に向かって「おめでとう」と声を掛け、その背中にポンと手を添えたシーンは、ほんの2,3秒のことでしたが、今でもはっきりと覚えています。武騎手は本橋騎手の憧れのジョッキー。あの当時、本橋騎手の自宅の机には、騎手になる前にもらった武騎手のサインが飾られていると聞いたことがありました。

 「初めて東京ダービーを勝った時は、もちろんすごく嬉しかったです。あれから10年。その間、勝てるチャンスがある馬に騎乗させてもらっていたのに、結果を出せなかった。不利を受けたり、騎乗予定だった馬が直前のアクシデントに見舞われたりで、レースそのものに出走できなかったこともありました。今回の勝利は、ダービーを勝つことの大変さを知ってからの勝利。その分、初勝利とはまた違う喜びがありましたね。これからも、自分のペースを守りながら、1頭1頭と真剣に向き合いたいと思います」(本橋孝太騎手)。

アップ用nf202206pic.jpg 憧れのジョッキーから祝福を受けた初ダービー制覇から10年。今回、騎手人生初のウインニングランだったとのこと。そんな本橋騎手の姿を観て、憧れを抱く誰かがどこかにいる・・・やっぱり競馬はいい!改めてそんなことも思いました。

 さて、締めくくりに、現地でちょっと微笑ましかったエピソードを。出走馬16頭中5頭が島川オーナーの所有馬だった東京ダービー。騎乗の合図で並んだジョッキーは、同じ勝負服姿の騎手が5人。その瞬間、近くにいた皆さんが「え?マサシゲ(本田正重騎手)どこ?え?え?」「え?アキラ(張田昂騎手)どこ?あ、いた♪」となっていて、騎手の存在が勝負服で印象付けられている地方競馬あるあるだなぁと思いました。そういう賑やかな雰囲気も、やっぱりいいなと思うダービーデーでした。