南関フリーウェイ
第94回 強く頼もしいヒロイン」 スピーディキック、戸塚記念(SI)優勝
2022.09.26
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9月15日、川崎競馬場で3歳重賞・戸塚記念(SI)が行われました。優勝したのは浦和・藤原智行厩舎のスピーディキック(父タイセイレジェンド)。3馬身差の圧勝で重賞6勝目となりました。
スピーディキックは桜花賞(SI)、東京プリンセス賞(SI)を連勝して牝馬クラシック2冠を制覇。その強さと共に、『チーム益田』で掴んだクラシック優勝としても、南関東競馬史にその名を刻んだのは多くのファンが知るところです。JRA勢を迎えて行われた6月の関東オークス(JpnII)では3着。直線で猛然と伸び、4着馬に8馬身差をつけるその走りを前に、「必ずリベンジしてくれる!」と思ったファンも少なくなかったことでしょう。
そして迎えた秋初戦・戸塚記念(SI)。1番人気の期待に応え、ぐんぐんと前に迫るスピーディキックの勇姿に、拍手と共に地面から湧き上がるようなエールが送られました。それは、応援から祝福、歓喜へと、その色合いが変わっていくのを感じられる素晴らしいひと時だったように思います。
ゴール直後、鞭を持った右手を上げ、満面の笑みで勝利の喜びを表したのは山崎誠士騎手。クラシックで手綱を取った御神本訓史騎手からのバトンを受け、自らはケガからの復帰をしたばかりという中で、大仕事を成し遂げました。
「強かったですね。初コンビでしたが、レースがしやすそうな馬だなと思っていました。実際乗ってみたら自在で操作性もよく、素晴らしい馬でした」(山崎誠士騎手)。
スピーディキックを管理する藤原調教師は安堵の表情。「例年、クラシックで活躍した牝馬が関東オークスの後になかなか成績が伸びていなかったので、とにかくオークスの後、成績を伸ばせるようにどういう馬創りをしていけばよいのか、自分自身で模索しながらここまできました。やり方が間違っていなかったのが証明できたかなと思います。勝ちっぷりは期待通りですね。山崎騎手はテン乗りになりましたが、スピーディキックは鞍上がしっかり乗ってくれればどんな競馬もすると思っていました」(藤原智行調教師)。
ファンが寄せる期待に、きっちりと応えてくれるスピーディキック。藤原調教師のコメントからも伝わってきますが、その強さの根底には陣営の丁寧な努力の層が幾重にも積み重ねられていることが伺えます。これほどの強さを見せながら、まだまだ上積みが期待できるとのこと。この先どんな競馬を見せてくれるのか楽しみでなりません。
また、『スピーディキックは多くのファンが待ち望んでいた強く頼もしいヒロイン』だと、はっきりと感じさせるシーンもありました。それは表彰式で藤原調教師がスピーディキックの次走について語った時のこと。「JBCも視野に」との言葉と同時に、ファンの間から沸き上がった拍手と喜びの声は、スピーディキックへの期待の高さを表していると言ってよいでしょう。
ここで改めてスピーディキックの血統を見ると、母デザートフラワーは笠松でデビューして笠松一筋53戦12勝。その母ルーベラはJRAでデビューの後、未勝利で荒尾に転入。その後荒尾一筋で、生涯58戦して11勝をあげました。地道にコツコツと走って来たスピーディキックの祖母ルーベラと母デザートフラワー。生産、育成、獣医、馬運車の運転手、飼料の業者、装蹄師、調教師、厩務員、騎手・・・。一頭の競走馬には多くの人々の手と時間が注がれていることを思い、彼女たちに携わった人々も、どこかでスピーディキックの活躍を見ているのかな・・・ふと、そんなことも心に浮かびました。その人々が繋いで来た場面がひとつでも欠けると、今見ている風景は存在しないのだとも。
現時点で、スピーディキックの次走は11月9日、川崎競馬場で行われるロジータ記念(SI)が最有力とのこと。競馬の祭典・JBCでの走りも観たい、3歳時しか出られないロジータ記念での走りも観たい。いずれにしても、今から11月がとても楽しみ。その勇姿の奥に、誰かが繋いで来た風景を思い浮かべながらの観戦にもなりそうです。
スピーディキックは桜花賞(SI)、東京プリンセス賞(SI)を連勝して牝馬クラシック2冠を制覇。その強さと共に、『チーム益田』で掴んだクラシック優勝としても、南関東競馬史にその名を刻んだのは多くのファンが知るところです。JRA勢を迎えて行われた6月の関東オークス(JpnII)では3着。直線で猛然と伸び、4着馬に8馬身差をつけるその走りを前に、「必ずリベンジしてくれる!」と思ったファンも少なくなかったことでしょう。
そして迎えた秋初戦・戸塚記念(SI)。1番人気の期待に応え、ぐんぐんと前に迫るスピーディキックの勇姿に、拍手と共に地面から湧き上がるようなエールが送られました。それは、応援から祝福、歓喜へと、その色合いが変わっていくのを感じられる素晴らしいひと時だったように思います。
ゴール直後、鞭を持った右手を上げ、満面の笑みで勝利の喜びを表したのは山崎誠士騎手。クラシックで手綱を取った御神本訓史騎手からのバトンを受け、自らはケガからの復帰をしたばかりという中で、大仕事を成し遂げました。
「強かったですね。初コンビでしたが、レースがしやすそうな馬だなと思っていました。実際乗ってみたら自在で操作性もよく、素晴らしい馬でした」(山崎誠士騎手)。
スピーディキックを管理する藤原調教師は安堵の表情。「例年、クラシックで活躍した牝馬が関東オークスの後になかなか成績が伸びていなかったので、とにかくオークスの後、成績を伸ばせるようにどういう馬創りをしていけばよいのか、自分自身で模索しながらここまできました。やり方が間違っていなかったのが証明できたかなと思います。勝ちっぷりは期待通りですね。山崎騎手はテン乗りになりましたが、スピーディキックは鞍上がしっかり乗ってくれればどんな競馬もすると思っていました」(藤原智行調教師)。
ファンが寄せる期待に、きっちりと応えてくれるスピーディキック。藤原調教師のコメントからも伝わってきますが、その強さの根底には陣営の丁寧な努力の層が幾重にも積み重ねられていることが伺えます。これほどの強さを見せながら、まだまだ上積みが期待できるとのこと。この先どんな競馬を見せてくれるのか楽しみでなりません。
また、『スピーディキックは多くのファンが待ち望んでいた強く頼もしいヒロイン』だと、はっきりと感じさせるシーンもありました。それは表彰式で藤原調教師がスピーディキックの次走について語った時のこと。「JBCも視野に」との言葉と同時に、ファンの間から沸き上がった拍手と喜びの声は、スピーディキックへの期待の高さを表していると言ってよいでしょう。
ここで改めてスピーディキックの血統を見ると、母デザートフラワーは笠松でデビューして笠松一筋53戦12勝。その母ルーベラはJRAでデビューの後、未勝利で荒尾に転入。その後荒尾一筋で、生涯58戦して11勝をあげました。地道にコツコツと走って来たスピーディキックの祖母ルーベラと母デザートフラワー。生産、育成、獣医、馬運車の運転手、飼料の業者、装蹄師、調教師、厩務員、騎手・・・。一頭の競走馬には多くの人々の手と時間が注がれていることを思い、彼女たちに携わった人々も、どこかでスピーディキックの活躍を見ているのかな・・・ふと、そんなことも心に浮かびました。その人々が繋いで来た場面がひとつでも欠けると、今見ている風景は存在しないのだとも。
現時点で、スピーディキックの次走は11月9日、川崎競馬場で行われるロジータ記念(SI)が最有力とのこと。競馬の祭典・JBCでの走りも観たい、3歳時しか出られないロジータ記念での走りも観たい。いずれにしても、今から11月がとても楽しみ。その勇姿の奥に、誰かが繋いで来た風景を思い浮かべながらの観戦にもなりそうです。