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北海道馬産地ファイターズ

村本浩平 北海道馬産地ファイターズ

第104回 『馬産地通信、九州へ』

 同い年(昭和47年生まれ)ながらも、学生時代はラグビーとアメリカンフットボールをやってきたマッチョな体付き。何よりもスキンヘッドの風貌からして、サングラスをした姿が、とてもTVディレクターには見えないHさんが、「村本さん、九州に行きませんか?」と電話の向こうで話しだす。そのHさんがディレクター兼、カメラマン兼、ドライバー兼...と何でもこなしながら制作を行っているのが、グリーンチャンネルで放送されている「馬産地通信」。その前の「日高支局定期便」時代を含めると、Hさんとは7年以上の付き合いとなる。

 それだけの時間を過ごしてきて分かったことは、見た目とは違って(失礼!)、仕事に関しては非常に真面目であることと、そして嘘をつかないということ。そのHさんが「九州に行きませんか?」と話しているわけだから、これは自分の頬を抓っても本当の話と捉えておいた方がいいのだろう。

 このコラムでも第90回の『熊本地震』で九州の馬産地に接点が生まれた話や、その関係を作ったと言える、熊本で生産牧場を営む本田土寿さんとのエピソードを書いている。そのコラムの文中、そして馬産地通信の放送の中でも話したことだが、「いつか牧場にうかがいます!」との思いを伝えていた。

 そうは言ってみたものの、現実問題として九州に行くにはまとまった日程と、何よりも移動費といったお金も必要となる。北海道の仕事を優先せねばいけない貧乏ライターとしては、その2つを叶えることはかなり難しい。

 有り難い話ながらも、一度は断ろうと思ったのだが、九州1歳市場を軸とした撮影日程は、ちょうど決まった取材が入っていなかった。その上、函館開催におけるビギナーズセミナーの仕事こそ入っているものの、自宅のある札幌に戻らず、実家(北斗市)に程近い函館発着でスケジュールを組んでもらうと、移動もスムーズに運ぶことが判明した。

 それをHさんに伝えると、「では、函館発着で飛行機取っておきますね」とすぐに返事が来た。さすが出来る男は違うなあと思いながらも、何せ1週間を超える旅行の準備は初めてであり、また抱えていた締め切りを考えると、九州に行く前にある程度は片を付けておかなくてはいけない。

 それもまた大変だったのだが、実家の食卓スペースで深夜まで原稿を書いた結果、何とか次の日のフライトまでには、函館空港にたどり着くことができた。

 機内で熟睡していたらあっと言う間に羽田空港に到着し、そこでHさんと合流。飛行機を乗り換えて鹿児島に向かうこととなったのだが、短パンとポロシャツで飛行機に乗った自分よりも遙かにラフな格好(しかも履き物はスリッパ)のHさんを見て、「九州じゃなくて、沖縄にでも行くのか!」と思ったことをここに書き記しておきたい(笑)。

 というのもあながち冗談では無く、Hさんはお父さんの仕事の関係で全国を転々としており、その中で福岡の高校に通ったり、飛行機が到着する鹿児島にも住んだことがあるという。九州初上陸どころか、大阪より西に行ったことが無いという自分を案じたHさんは、ホテルを予約した鹿屋市に入る前に、鹿児島市に行きましょうと話し出す。

 実は九州に行く前に九州の旅行ガイドに目を通していた自分は、鹿児島の名物やグルメもチェック済みだった。たっての希望で鹿児島を代表するデザートのしろくまを、発祥の地である「むじゃき本店」で食べると、その後は天文館公園付近をブラブラして、Hさんが鹿児島に住んでいる頃によく行っていたというラーメン小金太で、とんこつラーメンとチャーハンセットをぺろりと平らげた。もう心も胃袋も大満足だったのだが、そもそも九州に連れてきてもらったのは、馬産地通信の収録があってのこと。そのためにHさんがご飯を与えてくれているのだと思うと気が引き締まり、それ以上、鹿児島の観光案内をしてもらうわけにはいかず、高速で1時間半程かかる鹿屋市の宿泊先へと向かった。

 その道中で電話が鳴った。着信相手を見るとグリーンチャンネルの「競馬ワンダラー」(ちなみにこの番組のディレクターもHさん)に出演している浅野靖典さん。浅野さんは、「どこにいるんですか~」と酔っ払った様子で尋ねてきたので、今は鹿児島市から鹿屋市に向かって高速で移動中です、と話すと、「早く来いと言っている人がいるので、電話を代わりますね」と言って少しの間があったあと、どこか懐かしい熊本なまりの声が聞こえてきた。

 「村本君久しぶり!今はどの辺にいると?」その声は紛れもなく、本田土寿さんだった。
 (次号に続く)