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北海道馬産地ファイターズ

村本浩平 北海道馬産地ファイターズ

第107回 『草ばん馬大会』

 あ...ありのまま 今(というか目の前で)起こったことを話すぜ!」と某週刊少年ジャンプの漫画の名セリフを使いたくなる程の衝撃を受けた。

 北海道、そして東北を中心に開催されている草ばん馬大会。大会の規模は違えども9月、10月ともなれば、秋祭りのイベントの1つにも組み込まれ、毎週のように草ばん馬愛好家が、愛馬を乗せた馬運車と共に全道各地の会場へと駆けつける。

 かく言う自分も、草ばん馬の魅力に取り込まれる運命だったのかもしれない。きっかけは、馬産地で競馬の仕事を共にしてきたK夫妻の存在である。

 K夫妻の奥さんがFacebookに上げていたとある写真。その風景に見覚えがあった自分は、「いいね!」をクリックした後に、「この場所は自分の実家(北斗市)の近所ですね!」とのコメントも書き込んだ。

 すると奥さんからは、「この近くで毎年、草ばん馬大会を行っているので実家に帰省しがてら、一度見に来てください!」との返事をもらった。K夫妻が見に行ったのは(株)田山産業運輸の主催する草ばん馬大会。大会の規模としては大きく、初めて草ばん馬を見に行くには、場所やシチュエーションを含めて申し分ないとも感じられた。

 そんなことを思っていた矢先、普段から幾度となく取材をしてきた牧場スタッフのTさんから、「村本さん、草ばん馬に興味があるそうじゃないですか!」と話しかけられた。どこからそんな情報を...と思うと、Tさんは草ばん馬大会に牧場の仲間であるTさん(イニシャルが被ったので、この方はTTさんにしておきます)と共に参加。そのうち、K夫妻とも交流を深めるようになり、先日の大会で会った際には、「村本、草ばん馬大会に興味があるってよ!」(幾分、脚色あり)と話しかけられたという。

 Tさんは取材もほどほどに、自分を厩舎の休憩室に招き入れると、iPadでFacebookの「ばん馬大会情報」のページを開き、「TTとこの週に行われるこの大会に出ます。もし、良かったら見に来ませんか?」と誘っていただいた。残念なことにその日は都合がつかず断ったものの、「ばん馬大会情報」には大会の日程だけでなく、ばん馬を扱ったニュースであれば、人間ばん馬から、トラクターばん馬まで取り上げられており、早速、スマホで自分のFacebookページを開き、「ばん馬大会情報」のページにも「いいね!」をしておいた。

 その後はK夫妻、そしてTさんやTTさんと取材で会う度、当たり前のように草ばん馬の話をするようになった。中でも興味深かったのは、東北で行われている「馬力」という方式のばん馬だった。一般的には重りを乗せたソリの上で手綱を操るばん馬に対し、「馬力」ではなんと馬の前に人がいて、共に障害を越えていくという。

 「一見、馬力の方が楽そうに見えますが、引っ張る人も技術が必要になります」とTTさんが教えてくれる。東北へも昨年の秋には馬産地を訪ねる旅(第95回 『頑張れ!東北の馬産地』にも記してあります)で行ってきたので、次回は東北で行われている草ばん馬大会を見てくるのもありかな、などと思ったりもした。

 ようやく機会は訪れる。取材や締め切りも一段落がついた10月8日、実家からGoogleマップ調べでは車で8分程の場所にある、北斗市内の(旧)大野町輓馬競技場に辿りつくことができた。

 (株)田山産業運輸の主催するばん馬大会は、今年で21回目。道南で開催される草ばん馬大会では最も大きな規模だそうだが、北斗市に住み着いて10年になる両親曰く、「なんかばん馬をやっているって近所の人から聞いたことがあるけどねえ」程度の認知度しか無かった。確かにGoogleマップで会場の近辺を訪れても、その道沿いには「ばんえい十勝」と書かれたのぼりしかない。しかし、のぼりから角を曲がると、信じられないような光景が広がっていた。

 ナンバーを見ると全道だけでなく、道外からも馬運車が詰めかけ、その脇にはこれからレースに臨む重種馬やポニーたちが繋がれている。その中を進んでいくと、焼き鳥やフレンチドックなどの屋台もあり、改めて地域にとって草ばん馬は祭りの一環なのだということも認識できた。

 しかし、完全アウェーな状況に置かれた自分が右往左往していたのは事実。とりあえず、開催本部のような場所を探し当てると、そこには受付をしていたTさんと、TTさんの姿があった。