北海道馬産地ファイターズ
第181回 『オフシーズンの利用法』
北海道日本ハムファイターズが2023年シーズンから、本拠地として使用している「エスコンフィールドHOKKAIDO」の入場者数が、9月末日に300万人を超えたことが、同スタジアムを運営するファイターズスポーツ&エンターテイメントから発表された。
この300万人の数字の中にはスタジアムの周辺エリアを含めた「北海道ボールパークFビレッジ」(以下、Fビレッジ)の入場者も含まれている。それでもプレオープンした3月から約半年間で、300万人が北広島市に足を運んでいたのは驚きである。
かく言う筆者もFビレッジには野球観戦で3回、スタジアム見学で1回と、計4回訪れたことがある。開業当初はスタジアムの最寄り駅であるJR北広島駅とのアクセスの不便さだけでなく、駐車場不足が明らかとなった一方で、試合後には付近の道路で断続的な渋滞も起こり、試合よりもその惨状がニュースに取り上げられたほどだった。
しかしながら、試合を重ねていく中で運営側も様々な策を講じていっただけでなく、試合後のアンケートに加えて、球団の公式目安箱として、ファンからの意見をXアカウントを通して受け取る「Fビレッジおじさん」も開設していく。
ファンからの様々な意見に早急に対応していった結果、開業当初よりもアクセス問題は解消されてきただけでなく、従来は場内で約4,000台だった駐車台数も、近隣の大学やゴルフ場、そして工場の駐車場を試合日に利用可能とすることで、今では5,000台の駐車台数を確保できるまでになっている。
筆者は過去4回ともに、自家用車でFビレッジを訪れている。それは試合観戦の前に、先に場内の駐車場を押さえておくという作戦である。幸いなことに満員の試合には当たらず、駐車場を押さえていた当日に、首尾よく試合を観戦することができた。
ただ、Fビレッジの凄さは試合の行われていない日にも、多くの来場者が詰めかけたことである。今シーズン、北海道日本ハムファイターズは「エスコンフィールドHOKKAIDO」で71試合を行い、年間入場者数は188万2,573人となった。つまり、来場者のおおよそ三分の一は野球目的では無かったのだ。
実際に筆者もスタジアム見学としてFビレッジを訪れているのだが、平日にもかかわらず場内の駐車場は6割ほど車で埋まっていた。スタジアムに入る前にFビレッジの散策を始めたのだが、スタジアムの入り口よりも、更に長い行列ができていたのが、北海道初出店となった「Truffle BAKERY」という、ベーカリーレストランカフェだった。
行列の原因となっていたのは、Fビレッジ限定商品である白トリュフの塩パンであり、先に並んでいた女性は、焼き立ての塩パンを何個もお盆の上に重ねていた。
入場無料となっている球場内では外野席が開放されており、外野席に近い場所にある飲食店も営業を行っていた。先日の試合観戦では混んでいて入れなかった、日本ハムが運営するフードコートの「HOTDOG FUN」では、シャウエッセンを挟んだホットドックをようやく食べられたかと思えば、同行者はクラフトビール醸造レストランの「そらとしば by よなよなエール」で買ってきた、作りたてのビールを飲んでいる。互いに、「入場は無料だし」と言い訳をしていたものの、この日は安い席の観戦チケットなら買えたのではないかと思える程の支出があったように思える。
その他にもFビレッジ内には「THE NORTH FACE」といったアウトドアショップもあれば、日用品も販売されているドラッグストアや道内の特産品が並べられたセレクトショップも見つけられた。
この日は足を踏み入れなかったものの、スタジアムに隣接する場所には、フィールドが一望できる宿泊施設の「tower eleven hotel」とその施設内には世界初の野球観戦ができるサウナ施設も設置されている。
また、スタジアムからほど近い場所には、プライベートヴィラの「VILLA BRAMARE」があり、また、手ぶらでキャンプ体験ができる「TAKIBI TERRACE ALLPAR」という宿泊施設も作られていた。
その他にもFビレッジには、分譲マンションや認定こども園も作られており、その他にも新たな分譲マンションが建造されていた。
また、2024年の夏にはメディカルモールを併設したシニアレジデンスがオープンするだけでなく、先日の報道にもあったように、石狩管内の当別町にキャンパスを構える北海道医療大学が、2028年度を目指してFビレッジ内に移転することが発表された。
ますます発展していくFビレッジであるが、ふと、JRA北海道シリーズを終えて、同じようにオフシーズンを迎えている、札幌競馬場や函館競馬場の現状を思い返した。
(次号に続く)