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第195回 『研修会からの研修会 PARTⅣ』

2025.03.19

 胆振軽種馬農業協同組合事務局の高橋啓太氏は、優れたブレーンならぬ、ドラえもんでいうところの「出木杉君」的な存在なのだろう。


 その高橋氏が司会者である、見た目はジャイアン、中身はのび太君である自分に対して、何から何までお膳立てをしてくれたのが、「来年度の種付シーズンに向けて~血統のプロたちによる最新種牡馬解説~」(日本軽種馬青年部連絡協議会主催)である。


 会議に先駆けて幾度となくグループLINEでの情報交換や、Zoomを使っての打ち合わせも行ってきたのだが、研修会の開催当日にも最終の台本確認を行う念の入れようだった。


 会場に入ると、長方形に机がセットされており、短辺の片側に司会者とパネラーの席が用意されていた。


 椅子の数を見たところ、参加者の数はざっと30名ほど。その中には取材などで頻繁に顔を合わせているホースマンだけでなく、日本軽種馬協会の山岸直樹事務局長や、2024年度のJRAの生産地研修生の姿も見られた。


 その時はさすがに緊張も走ったが、こちらには出木杉君と、見かけはジャイアンの仲間の3人がついてくれている。あとは映画版のドラえもんよろしく、「なぜか頼りになるジャイアン」の姿を見せるだけとなる。


 だが、いざ司会をしてみると、タイムキープの難しさに気付かされた。トークテーマの前にはスマホアプリのタイマーを起動させ、台本で設定された時間内にトークをまとめるのを目標とした。


 だが、1つのトークテーマに対して、複数のパネラーから異なったコメントが出たと思えば、簡潔にトークテーマをまとめてもらった際には、予定時間を余らせてしまうこともあった。


 その時間調整を行うべく、次のトークテーマを早めに切り上げたり、時間を延ばすべく、異なった質問をぶつけていく。しかしながら、自分としては時間配分ばかりを気にして、通常のインタビューのような、奥行きのある話の聞き方ができなくなっているのに気づいた。


 余裕がなくなると、出来ていたことができなくなっていく。いつしかスマホのタイマーを入れるのを忘れてしまい、トークが何分経過していたか分からなくなった時には、焦ることもあった。


 だが、出木杉君こと高橋氏が作った台本は、1つのトークテーマに加えて、大まかなセクションでの時間配分も用意されていた。


 なので、1つのテーマの時間が短くなろうが、長くなろうが、セクション内に終わらすことを目標とすれば、だいたいのタイムキープを図っていくことができる。


 しかも、セクションの最後のブロックでもある意見交換会では、かなりの時間が用意されていた。つまり、時間の前後があったとしても、そこで調整ができるのだ。


 だが意見交換会のセクションこそが、台本の用意されていない、まさに司会者の腕が試される場所でもある。


 実は意見や質問が出なかった時のトークテーマも、高橋氏は用意してくれていた。それは、水戸黄門の印籠のような最終兵器だったのだが、質問が来なかった時間を埋めるべく、途中で使わざるを得なくなった。


 それでも、1つの質問をきっかけに、至る所から挙手が上がるようになり、その質問に対してパネラーの3人が、それぞれの観点から答えを述べてくれたのは有難かった。


 こちらもこの質問には、このパネラーの回答が適しているのではと言った感じで、話を振っていった。途中で違うパネラーから、アイコンタクトを送られているのに気づいて、「では、○○さんはどう思いますか?」と話のパスを出すと、理路整然と話し出してくれた時には、普段から3人と仲良くしておいて良かったと、心から思えた。


 質問のセクションは終盤にかけて盛り上がりを見せていき、最終的には予定されていた終了時間をオーバーして終わった。司会らしい結びの言葉を述べた時には、正直ほっとしたのだが、それと同時に、「担い手経営管理研修」の司会を務めた、朝井洋氏の凄さも改めて感じ取った。


 この研修会に際しては、改めて高橋氏やパネラーの3人、そして後日、研修会の内容を文字起こししてくれた、日高軽種馬農業協同組合の中村幸輝氏に感謝しかない。


 2つの研修会を通して思ったのは、不特定多数の参加者に対して、話を聞いてもらうことの難しさである。その一方でパネラーとしても、司会者としても、理解をしてもらったり、興味を示してもらえているような反応が感じ取れた時にはやりがいを覚えた。


 今年はまだパネラーや司会者の依頼は来ていないものの、品評会の審査員も含めて、関係各位からの依頼を心からお待ちしております。

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