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第205回 『AI競馬』

2026.01.15

 今年のオータムセールの前日、かれこれ20年来の付き合いで、現在は調剤薬局の代表ともなった薬剤師の友人から、「明日、日高のせりに行くのですが、現地で会えますか?」と連絡が来た。ついに彼も馬主になったのか、と感慨深く思いながら話を進めていくと、本人が馬主になったのではなく、薬剤師の先輩が馬主資格を持っているのだという。


 せりの日にはその友人だけでなく、先輩とも話をさせてもらった。その先輩は自分も良く知る生産者の方と懇意にしているらしく、「一緒に馬を見てもらっているんですよ」とも教えてくれた。


 その話を聞いて友人にも、「いつか馬主資格を取って、せりで馬を買うようになってね」と話すと、「頑張ります!」と笑顔で返してくれた。と、前段階はここまでにして、ここからが本題となる。


 その友人とはせりの後から頻繁にLINEで連絡を取るようになったのだが、ある日、こんなメッセージが届いた。「先輩の持っている馬の名前を付けることになったのですが、何かいいアイデアはありますか?」とのメッセージが届いた。とりあえず、馬名のイメージを膨らませるために血統構成を聞くだけでなく、過去にその先輩が付けた馬名についての質問をしたのだが、「先輩はAIに色々な言葉を入力して、馬名を付けているようです」とのメッセージが返ってきた。


 今や様々な分野だけでなく、株価の動向にも大きな影響を与えているAIであるが、馬名にもAIの波が来ているのか!と驚いた。


 確かに最近の馬名は一昔前よりもお洒落になっている。使われている言語に関しても、英語やフランス語だけでなく、競馬開催国であるドイツ語やイタリア語やスペイン語はもちろんのこと、最近ではハワイ語の馬名を付けられた競走馬が、日本の競馬で活躍している。


 ちなみにその先輩の所有馬の馬名を調べたところ、全てフランス語がベースとなっていた。きっとイメージとする言葉をAIに調べさせて、それで出てきた言葉を馬名化しているのだろう。


 ここまでお洒落に馬名を付けられると、LINEの交換をしながら、ふと思い浮かんだ、「Pharmacy(ファーマシー)やPharmacist(ファーマシスト)」といった馬名を伝えるわけにはいかない。


 もし、薬剤師や薬局をドイツ語やイタリア語に置き換えたとしても、間違いなく先輩には採用されないだろう。


 その友人はこんなメッセージも送ってくる。「先輩は現役で走っている牝馬を、引退後に繁殖入りさせる計画もあるそうなのですが、その配合もAIに考えてもらうみたいです」


 日々、様々なデータが更新されているAIだけに、その牝馬が繁殖入りする頃には、更に有効性の高い答えが返ってくるに違いない。


 これまで血統を調べるためには、血統に関する様々な書籍や文献、そして、せりカタログや種牡馬パンフレットを開くしかなかった。


 それが今ではJBISのサイトにも当該馬の5代血統表が載っているだけでなく、馬名をクリックすれば、更に血統を遡ることもできるようになっている。


 便利な時代が来たなあと思っていたのだが、更にその上を行くAIでの血統診断は、紙媒体を心の拠り所としている筆者からは思いつきもしなかった。


 今後は友人の先輩のように、インターネットを通して様々なデータを調べたり、AIを駆使しながら所有馬を探していくだけでなく、自己所有馬の配合を行っていく馬主も増えていくのは間違いない。


 それを否定するのではなく、現代社会では当然の流れなのだろうとも思っている。実際にスポーツ紙などでは、「AI予想」との文言を当たり前のように目にするようになっており、そこで出されている買い目は、これまでのレースデータを事細かに解析したことで、有益な情報ともなっている。


 もちろん、競馬は馬と人という「生き物」によって行われており、そこはさすがのAIでも立ち入れない部分である。今後、AIによって様々な事柄の答えが導き出されていくのだろうが、決定権が人間にある限り、むしろ上手くAIを利用していこうとさえ考えている。


 とここまでAIについて語ってきたが、実はこの部分からは、文字起こしアプリAIのノッタ(本来はNotta)に録音した内容を丸写ししている。つまり、自分はAIを使いこなしているということにもなるのだが、今後、乗った(本来はNotta)が、自分の代わりに勝手にこのコラムを書いてしまうのではないかと思うと、ちょっと不安にもなってくる。

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