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第2回 2009 Stallions in Japan(Part2)

2009.02.01
 「Stallions in Japan」における,種牡馬情報をビジュアル化する様々な効果とメリット。その中でも最も大きいことは,現在の姿が映し出されているということである。いや,「現在の姿」という表現はそれほど正しいとは言えない。なぜなら映像に収められているのは夏に撮影された姿だからだ。
 種付けシーズン中は馬体を減らすこともある種牡馬たちだが,オフシーズンを迎えるこの時期は毛艶,馬体の張りとコンディションも非常に良くなる。その上,日差しも高く撮影にも最適な条件が整うなど,「現在の姿」ではなく,むしろ「ベストな姿」が映像に収められている。

 「ビジュアル化するメリットは『より想像力を働かせることができるメディア』であることがあげられます。いい条件で撮影された種牡馬を見ることで,配合を考える生産者にも生まれてくる産駒の姿が鮮明に想像できるのではないのでしょうか」((社)日本競走馬協会・佐藤忠昭常務理事)

 想像をふくらませることができるのは生産者だけではない。例えばせりに参加するバイヤーも「Stallions in Japan」があれば,上場馬と当該馬の父である種牡馬の馬体や歩く姿を見比べることもできる。「体型だけでなく,歩き方まで父と良く似ている」ということから購買欲をそそられるバイヤーは必ずいるはずだ。

 最も効果的なのは海外から来たバイヤーだろう。せり名簿といった文字情報だけでは印象が沸いてこなかったバイヤーにも,ビジュアル化された種牡馬の姿を見せることで,目の前にいる上場馬が競走馬となった姿を想像できるかもしれない。また,自国から日本に輸出された種牡馬を見て,郷愁の念にかられるバイヤーもいることだろう。しかも「Stallions in Japan」にはリーディングサイアーの上位馬だけでなく,まだ産駒をデビューさせていない新種牡馬の映像も収められている。

 「基準となっているのはリーディング上位馬なのですが,まだサイアーランキングには入っていなくとも,多くの種付頭数を集めている種牡馬に関しては撮影を行うようにしました」(同理事)

 来年以降は記録の意味で,過去のリーディング上位馬の映像も収めていくことになるというが,もし,そうなった場合にはぜひとも競馬場やウインズで「Stallions in Japan」を見ることができる環境を整えて欲しいと願う。

 競馬場やウインズには過去のレース映像が見られる施設(あるいはインターネット)などが備えられている。だが,種牡馬となった今の映像を目にすることはできない。繋養されているスタリオンまで見学に行くという手はあるが,それもおおよそ無理な話である。だが,競馬場やウインズなどで気軽に種牡馬となった映像を目にすることができれば,馬券を購入する際の検討材料となるだけでなく,目の前にいる産駒とレースの映像,そして今の姿を見比べて昔話に花を咲かせることにも繋がるはずだ。

 競馬が文化と認められるには,過去を資料として残しておく必要がある。古くから血統という歴史が伝えられてきている種牡馬こそが,文化として伝えるには最適な存在と言えるのではないだろうか?

 だからこそ競馬関係者だけでなく,競馬ファン,できることなら競馬を知らない一般の人にも「Stallions in Japan」を見てもらいたい。文章を届けるライターの仕事をしているが,映像だからこそ伝わるものもある。2009年度版の完成が非常に待ち遠しい。


JBBA NEWS 2009年2月号より転載
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