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第27回 種牡馬展示会

2011.03.17
 種牡馬展示会で画期的なアイディアを考えた。これを読まれたスタリオン関係者の方が,このアイディアを是非,採用してもらえないかと思うのだが,まずは,これから書く内容を判断していただきたい。

 それは「種牡馬展示会を秋に開催しませんか?」ということである。
 スタリオン関係者のみならず,これをお読みになっている大多数の読者層であろう,生産者の方の呆気にとられた顔が目に浮かぶ。だが,その表情を作りたくてこんなことを書いたわけではない。秋(場合によっては年末)に種牡馬展示会を行うメリットは,今の生産界だからこそあるのだ。

 現在の生産界で珍しくなくなった光景,それは1月から放牧地を走り回っている仔馬たちである。以前は「早生まれ」とされ,決していい意味でとらえられてはいなかった1月産まれの馬たち。そのほとんどが早産であり,産まれた頃の馬体にも弱々しさが見え隠れしていた。

 だが,近年の1月に産まれた馬たちは,馬体の見栄えも良く,それは7月に行われる当歳市場でより明らかとなる。自身よりも数ヵ月後に誕生した当歳馬たちと並ぶと,1月産まれは遙かに馬らしいと言うか,サラブレッドとして完成した将来の姿をバイヤーの脳裏に投影させるのだ。

 1月産まれが増えた理由はそれだけではない。ライトコントロールの普及で,発情時期を前倒しできるようになったこと。また,冬期間における当歳馬や繁殖牝馬の管理技術が上がったことも関係しているのだろう。

 となると,2月中に配合相手が決まっている牝馬に対し,2月に種牡馬展示会を開催しても効果が無いことが分かっていただけると思う。「全ての馬が1月に産まれるわけではないぞ!」という声もあるだろうが,それでも2月産まれも珍しくなくなった現状からして,種牡馬展示会を見たその後,間もなくして配合相手を決めるという例は少ないのではないだろうか。

 そこで秋の種牡馬展示会である。最大のメリットは,まだどのスタリオンでも開催していないという目新しさ。まあ,それはさておいても,一般的な展示会(アパレルなど)の行われる時期はシーズンの半年前。そこで商品を見てから発注をかけることとなるのだが,秋の種牡馬展示会というのは,そのサイクルにも当てはまっている。

 秋の種牡馬展示会のメリットはまだある。生産者や繁殖牝馬を所有しているオーナーにとっては,長期にわたって配合相手を吟味できること。また,この時期は牧場作業が一段落しているので気軽に足を運びやすい,気候も安定しているので,ゆっくりと馬を見られるということもある。

 また,スタリオンにとっても,早い時期から繁殖牝馬を集められることで,スケジュールも立てやすくなるだろうし,「先行予約」や「先行割引」という特典を付けてもいいかもしれない。

 一方,デメリットとしては,「年末に引退する新種牡馬をフォローできない」「年明けに輸入されてくる外国馬もフォローできない」「シャトル種牡馬を展示するのが不可能」「シーズンを終えて数ヵ月経ったとはいえども,馬体の面で万全の状態にはなっていない」などがある。この問題点を解消するには,やはり2月に種牡馬展示会を開催するしか無いような気もするのだが,なら,2月の種牡馬展示会は新種牡馬限定にしてしまうか,もしくは希望の種牡馬だけを見せることで,スタリオン側の手間も省ける気がしてくる。

 実際,新種牡馬が導入された後で,町の生産者団体といったグループが見学に来ている例を良く目にする。そう考えると「新種牡馬は見せたい人に見せる」という方式の延長である,新種牡馬のみの種牡馬展示会というのは,理にかなっている気もしないでもない。

 慣例化した種牡馬展示会は,自分のようなマスコミにとって,冬の一大イベントでもある。当初は短時間で全ての種牡馬を目にすることが出来るこれ以上ない機会であるとの思いだったが,年々,種牡馬展示会に訪れる生産者の数が減ってきたとの思いも生じるようにもなった。

 これは生産牧場の減少が原因の一つにあるのだろうが,今の種牡馬展示会が生産者の足を運ばせるほどの魅力が無いことも関係している気がする。見せ方や方法論によっては,まだ種牡馬展示会は魅力的なイベントになる。種牡馬は,その存在自体が宝である。だからこそ,種牡馬展示会は,種牡馬の魅力をより輝かせるイベントであってほしい。
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