北海道馬産地ファイターズ
第158回『マイスター・ハイスクール PARTⅣ』
2022.02.17
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電話取材という形式で、マイスター・ハイスクールに関する話を聞かせていただいたJBBA静内種馬場の中西信吾氏。いや、北海道静内農業高校の産業実務家教員に就任された中西先生であるが、話を聞いていた中でホッとしたのが、「マイスター・ハイスクールの指定期間は3年間ながら、延長も可能であること。そして、北海道もマイスター・ハイスクールを存続する意向である」との言葉だった。中西氏はこう続ける。「マイスター・ハイスクールの指定期間が終えた3年後以降にも続けていく、むしろ、3年後を見据えた『3年間』にしていかなければとの思いはありました」(中西氏)その思いを一層強くしたのは、中西氏が知人からかけられた、こんな言葉だったという。
「その知人のお子さんも、静内農業高校に入りたいと言っていたそうです。また、沖縄からも問い合わせがあったと聞いています。この場所なら馬を学ぶ上での環境も整っていますし、何よりも高校生活の3年間を通して、ホースマンの道に進むだけでなく、更に知識を広げたり、乗馬の技術を積むべく、大学に進学するという判断もできる。また、卒業後は競馬関係の仕事を目指すという道も切り開かれていると思います」(中西氏)
中西氏は競走馬産業の仕事が多岐にわたっていることを生徒たちに説明するべく、競馬エージェントとして世界を飛び回っている岡さとみさんとZOOMを繋ぎ、海外の馬産業にまつわる授業を行った。今後は馬運車の運転手や、我々のような競馬マスコミといった競走馬産業の中にいる関係者を、講師として招くことも考えていると教えてくれた。
「岡さんのような仕事がしたいのならば、これから英語を勉強しなさい。そのために大学に進学するのなら何を学ぶのか、牧場に就職したいのなら、どの仕事をすべきなどかといった具体的な目標も描けてくると思います。この子たちには3年間という時間があるわけですから、1年生の頃にこうしたスペシャリストたちに会わせよう。それを踏まえた上で競馬のカリキュラムといった、授業を進めていく意味でも、3年間の時間があるのは大きいですね」(中西氏)
3年間という時間は、馬を扱うシステムも変えた。それまでせり馴致を行うのは、生産科学科の馬コースの2年生となっていたが、昨年から進級した3年生が再び、馴致を担当するようになった。経験のある3年生たちは首尾よく馴致をこなしていっただけでなく、授業で学び取った知識を生産馬にフィードバックしていっただけでなく、そこで得たノウハウを2年生たちへと伝えている。
「今年は進級した3年生たちが馴致を行うだけでなく、昨年と同様に2年生に知識や経験を教えていくこととなります。このように3年間という時間を有効に使うべく、様々な変更も行っています」(中西氏)
ふと、自分の高校生活を振り返った時、入学時からここまで明確に夢は探せなかったと思えただけでなく、高校生活の3年間も、ここまで有意義な時間を送れたのだろうか?と思い返して、一気に顔が赤くなった。しかも、生産科学科の馬コースに通う生徒たちは、せりに生産馬を送り出し、そこで自分たちが取り組んできた知識や経験が、せり価格という数字でも評価されることにもなる。こんな成功体験と達成感を味わえる場所は、静内農業高校にしかないはずだ。ただ、中西氏はホースマンを送り出すという目的だけで、産業実務家教員の仕事を引き受けたわけでは無かったとも教えてくれる。
「ゆくゆくは馬の仕事をしなくとも、馬のよき理解者になって欲しいと思いますし、できることなら日高へと戻ってきて、馬文化を伝えてくれるような人間になってもらいたいです。それだけに、馬好きの子供たちが進学したいと思えるような学校にしていかなければと思いますし、それを様々な場所で周知していきたいとも思います」(中西氏)
その言葉はまさに教員の鑑とも言えるのだが、実際に生徒からは、「中西先生!」と呼ばれているだけでなく、授業で使うスライド作りが大変といった、まさに教員ならではの苦労話も聞かせてくれた。「楽しいというよりも、日々、プレッシャーばかりです。ただ、生徒たちの喜んでいる顔を見ると、やってよかったなと思えますし、それだけに生徒たちが目指す夢を叶える手助けをしていきたいです」(中西氏)その中西氏の言葉を聞いた時、僭越ながら、自分もマイスター・ハイスクールの手伝いができないかと、ふと思った。競馬ライターになりたいという生徒たちがいるかどうかはともかくとして、一度ぐらいは「村本先生!」と呼ばれて、むず痒い思いをしてみたい。
「その知人のお子さんも、静内農業高校に入りたいと言っていたそうです。また、沖縄からも問い合わせがあったと聞いています。この場所なら馬を学ぶ上での環境も整っていますし、何よりも高校生活の3年間を通して、ホースマンの道に進むだけでなく、更に知識を広げたり、乗馬の技術を積むべく、大学に進学するという判断もできる。また、卒業後は競馬関係の仕事を目指すという道も切り開かれていると思います」(中西氏)
中西氏は競走馬産業の仕事が多岐にわたっていることを生徒たちに説明するべく、競馬エージェントとして世界を飛び回っている岡さとみさんとZOOMを繋ぎ、海外の馬産業にまつわる授業を行った。今後は馬運車の運転手や、我々のような競馬マスコミといった競走馬産業の中にいる関係者を、講師として招くことも考えていると教えてくれた。
「岡さんのような仕事がしたいのならば、これから英語を勉強しなさい。そのために大学に進学するのなら何を学ぶのか、牧場に就職したいのなら、どの仕事をすべきなどかといった具体的な目標も描けてくると思います。この子たちには3年間という時間があるわけですから、1年生の頃にこうしたスペシャリストたちに会わせよう。それを踏まえた上で競馬のカリキュラムといった、授業を進めていく意味でも、3年間の時間があるのは大きいですね」(中西氏)
3年間という時間は、馬を扱うシステムも変えた。それまでせり馴致を行うのは、生産科学科の馬コースの2年生となっていたが、昨年から進級した3年生が再び、馴致を担当するようになった。経験のある3年生たちは首尾よく馴致をこなしていっただけでなく、授業で学び取った知識を生産馬にフィードバックしていっただけでなく、そこで得たノウハウを2年生たちへと伝えている。
「今年は進級した3年生たちが馴致を行うだけでなく、昨年と同様に2年生に知識や経験を教えていくこととなります。このように3年間という時間を有効に使うべく、様々な変更も行っています」(中西氏)
ふと、自分の高校生活を振り返った時、入学時からここまで明確に夢は探せなかったと思えただけでなく、高校生活の3年間も、ここまで有意義な時間を送れたのだろうか?と思い返して、一気に顔が赤くなった。しかも、生産科学科の馬コースに通う生徒たちは、せりに生産馬を送り出し、そこで自分たちが取り組んできた知識や経験が、せり価格という数字でも評価されることにもなる。こんな成功体験と達成感を味わえる場所は、静内農業高校にしかないはずだ。ただ、中西氏はホースマンを送り出すという目的だけで、産業実務家教員の仕事を引き受けたわけでは無かったとも教えてくれる。
「ゆくゆくは馬の仕事をしなくとも、馬のよき理解者になって欲しいと思いますし、できることなら日高へと戻ってきて、馬文化を伝えてくれるような人間になってもらいたいです。それだけに、馬好きの子供たちが進学したいと思えるような学校にしていかなければと思いますし、それを様々な場所で周知していきたいとも思います」(中西氏)
その言葉はまさに教員の鑑とも言えるのだが、実際に生徒からは、「中西先生!」と呼ばれているだけでなく、授業で使うスライド作りが大変といった、まさに教員ならではの苦労話も聞かせてくれた。「楽しいというよりも、日々、プレッシャーばかりです。ただ、生徒たちの喜んでいる顔を見ると、やってよかったなと思えますし、それだけに生徒たちが目指す夢を叶える手助けをしていきたいです」(中西氏)その中西氏の言葉を聞いた時、僭越ながら、自分もマイスター・ハイスクールの手伝いができないかと、ふと思った。競馬ライターになりたいという生徒たちがいるかどうかはともかくとして、一度ぐらいは「村本先生!」と呼ばれて、むず痒い思いをしてみたい。