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第115回 白砂の上で 初の東京ダービー(JpnI)

2024.06.25

 6月5日、JpnIとなって初めての東京ダービーが行われました。優勝したのはラムジェット(JRA 佐々木昌三厩舎)。前走はユニコーンステークス(GIII)で勝利。4連勝でダービー馬の称号を手にしました。

 ゴール後、ガッツポーズで喜びを表すとラムジェットに手を添えた三浦皇成騎手。

 

 「この馬とコンビを組ませていただいて、全て結果を出さなくてはいけないという緊張感を持って乗っています。まだまだ成長力があって、これからが楽しみな馬。課題があったり、環境や条件が変わったりしても、しっかり結果を出してくれると信じています。牧場や厩舎のスタッフが良い状態で送り出してくれた中、アンカーとしてバトンを受け取る重要な立場だったので、こうして1着でゴールしてくれてとても感謝しています」(三浦騎手)。

 まだまだ遊びながら走るところがあるというラムジェット。6馬身差での快勝に「馬のリズムを大切に乗りました。4コーナーでおかれてしまったけれど、最後は差し切ってくれると信じていました」と三浦騎手。このコメントを聞いた後、改めてゴール後の“手を添えて労う様子”を振り返ると、ラムジェットの能力を信じて懸命にゴールに向かっていた、その気持ちが伝わってきます。

 「レースぶりもしっかりしてきましたが、まだふわふわしていますね。今は背が高く、脚が長くてひょろ長い感じだけど、520キロ(東京ダービー時は501キロ)くらい、もうちょっとガシっとしたらかなりの馬になるのではと思います。おとなしくて、レースが近づいても飼い葉をペロッと食べてる(笑)。競馬モードに入らない。まだまだ子供っぽいですね」と佐々木調教師。インタビュー終了後には、親しい報道関係者とハグして喜びを表し、祝福の笑顔に囲まれていました。

 今回、取材中に、大井競馬場に初めて来場したという方の声もいくつか耳にしました。その中には「思っていたより砂が白い」や「白くて明るい雰囲気」という感想も。大井競馬場の砂はオーストラリア・アルバニー産の白い珪砂(けいさ)。この砂は多くの地方競馬場で導入が進み、近年ぐっと身近な存在になってきた印象です。

 石英を多く含んでいる珪砂は硬度が高いために水はけが良く、騎乗者や馬の安全確保に繋がっているとのこと。砂を入れ替えた頃に聞かれた「ブーツやゴーグルの汚れが落ちやすい」という感想も、パラパラとした質感が理由にあるのでしょう。

 私事になりますが、石や地層を観るのが好きで、採取可能な海辺や河原ではあれこれと気になる石を探すことも。その中で手元にもありました、石英が多く入っている石。白く透明感があって美しい。そして硬いです。ちなみにアルバニーは、オーストラリア西部の南の方。地図で確認してみると、白砂がずいぶん遠くから運ばれて来たことが伺えます。黒く細かい粒の関東ローム層を見慣れているので、なおさらそう思うのかも知れません。

 また、白砂の効果は安全面以外にもあるようで、舞い上がる砂が光の粒のように見えたり、砂塵が薄いヴェールのようになったりと、レースシーンにも華やかさが増した印象。砂に石英が多く含まれていると知れば、それも納得。天候や時間帯によって、白砂が見せてくれる風景の魅力は無限大といえそうです。

 さて、「稍重」で行われた東京ダービー。「現時点のラムジェットはパサパサよりも、こういう感じの馬場の方が良さそう」と佐々木調教師。大井競馬場に白砂が導入されたのは2023年10月の開催から。したがって、ラムジェットは白砂での初の東京ダービー優勝馬にもなりました。レース後は鳥取県にある大山ヒルズで休養し、ジャパンダートクラシック(JpnI)に向かう予定とのこと。ケンタッキーダービー3着のフォーエバーヤング(JRA矢作厩舎)も同レースへの参戦を表明。この2頭の対決も注目を集めることでしょう。

 今年から大きく改革された3歳ダートクラシック路線。その最終章となるジャパンダートクラシックは10月2日、大井競馬場で行われます。

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