南関フリーウェイ
第116回 競馬場での靴選び
今年も猛暑の季節がやってきました。梅雨明け直後の開催となった船橋競馬場では、パドック時間の短縮、ミスト装置の設置、厩務員控室前に給水用のサーバーや塩分補給の飴、出走馬のための氷や冷やしタオルなども配備。熱中症対策に努めながらの開催となりました。また、浦和競馬場では主催者からプレス向けにドリンクが配布されるなどの心遣いも。本当に助かります。
この季節、猛暑とともにゲリラ豪雨も心配です。雨具の用意はしているものの、ドロドロの靴になるのはちょっとツラい。
そう、競馬場で取材をスタートしたばかりの頃、「靴選び」に苦労しました。とにかく砂で汚れるのです。厩舎取材、口取り撮影、場内の移動など、砂の上を歩くことが多く、時には靴の中まで砂まみれということも。
特に、雨の日や雨上がりは細かい砂の粒子がこびりつき「この汚れた靴で電車に乗るのはちょっと・・・・」という状態になることも。駅ビルでお買い物して帰りたい・・・なんて、きれいな床を歩いてはいけない感満載な靴では無理な雰囲気。現場に長靴を置いておければ良いのですが、フリーにそういったスペースは無く、重い荷物に雨用の靴を加えるのも億劫。ということで、電車に乗っても周囲から浮かない、砂汚れに強い、できれば防水という靴を探し続けていました。
当時の理想は、レインブーツに見えないショートレインブーツ。砂の汚れを落としやすい素材で疲れない重さ、暑苦しくない、などなど。しかし、意中のものとは出会えず、結局は汚れても目立たない、洗いやすい、軽い、雨でもなんとかなるということで、一般的なスニーカーに落ち着いて快適です。
靴問題は調教師の方々も同様のようで、靴選びに迷走していた頃「開催の時はスーツだから革靴を履くけど、砂や雨ですぐダメになるよね」という声を聞いたことがありました。
靴に関する「競馬場あるある」は、業務で携わっている方以外にも。随分前のことになりますが、船橋競馬場の馬主・来賓席には、備品として“シューズカバー”が用意されていました。当時は砂が深い位置で口取り撮影をすることも多く、場所によっては足首近くまで埋もれてしまうこともありました。素敵な服で愛馬を応援して、見事勝利。その後の口取り撮影でお気に入りの靴が砂まみれ、勝利のお祝いのお食事に行きづらい(想像)・・・というのはカナシイ。夏場など、オープントゥ のサンダルを履いている方もいらっしゃるので、利用するか否かは別として、心遣いを感じる備品だったのだと思います。
それと同時に、電動靴磨き機が配備されていたことがありました。レバーを操作すると、足元近くにあるブラシが回転して靴の汚れを除去してくれるというもの。この電動靴磨き機、口取り撮影の後など、靴が汚れてしまった方々から好評だったと記憶しています。リニューアル後の船橋競馬場は、足元が砂まみれになることも激減した(写真参照)ので、あの靴磨き機が懐かしい気も。今もどこかに置いてあるのかな。
また、ジョッキーのブーツの“かかとの裏側”が「U字」になっていて、内側の部分がないと知ったのも靴選び迷走時代のことでした。ある時、ジョッキーブーツ風のレインブーツを履いている私に「それ、かかとあるの?」と厩舎関係者から質問が。「かかと、ある?とは?え?」となっていると、「ジョッキーがレースで履いているブーツは、かかとの底が『U字』になっているんだよ。少しでも軽くして、体重調整への負担を減らせるように」と。その後、レースの時に気を付けて見ていると、たしかに「U字」!
今回は靴をテーマにしましたが、その他、季節ごとに競馬場ならではの持ち物もありそう。夏場の取材では、風で飛ばされないように紐がついている帽子、冷え冷えグッズも必須。
猛暑の中ですが、しっかり対策をして、夏ならではの競馬場を楽しんでいきましょう。