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第121回 あの日の競馬場で。

2024.12.26

 早いもので、2024年最後の回となりました。新ダート3冠競走幕開け、と言っていたのがついこの前のことのようです。今年を振り返ると「あれ?今日は何曜日だっけ?」となることが増えた印象。かつて南関東競馬の重賞は水曜日に行われることが多く、土日はJRA、水曜日は南関重賞という体内時計のようなものがありました。しかし、近年は火曜日や木曜日にも重賞が行われることがあり、曜日感覚があやふやに。新設重賞やグレード・施行時期の変更もあり、いつも以上にカレンダーで確認しながらの1年でした。

 さて、先日、オグリキャップの引退式の日に現地にいた方を探す、というテレビ番組を視聴しました。34年前の有馬記念。その後に笠松競馬場で行われた引退式。そこに居合わせた中から、特定の人物を探し出す、という壮大さを感じるものでしたが、「あの日現地にいたよ」という方も現れ、当時と現在が繋がって不思議な感覚になる内容でした。

 それを見たせいか、過去に競馬場で出会った人々のことを思い出し、あの方々は今どうしているだろうと、当時を少し思い起こしてみました。

 まずは競馬初心者の頃。たしか、初の大井競馬場だったと記憶しています。テイクアウトと伝えたはずのラーメンが、テイクアウトと伝わっておらず、「え???」とちょっとモジモジになっている私に向かい、「大丈夫よ(ニコ)ごめんね、待っててね」とおおらかに笑い、「持ちやすいようにこれで持って行ってね」と簡易のトレイに載せてくれた売店のマダム。今も大井で、それともどこかでお元気でしょうか。あのスタンドはもう無いけれど、今も大井競馬場に行くと時々思い出します。

 次に、中京競馬場にて。中京に来たからにはぜひ!とわくわくしながら買った味噌カツ丼。その大事な味噌カツ丼と荷物で両手が塞がり、手動のドアの前であたふたしていたところ「どうぞ」と扉を開けてニコっとしてくれた二人連れの方、どうもありがとうございました。おかげ様で味噌カツ丼も無事に、美味しくいただくことができました。競馬の神様がお二人に微笑み続けてくれますように。

 そうそう。もう20年ほど前の、寒い冬の日。3R確定後くらいの中山競馬場パドック付近にて。「今ね、すごくいっぱい当たっちゃったの。だからね、もう帰る。このままここにいたら使い込んじゃうから」と話しかけて来た方。喜びを伝える相手に選ばれたことは、きっと光栄なことなのでしょう。あの日、競馬場を後にして、何か美味しいものでも召し上がったのでしょうか。勝ち馬は、騎手は誰だったのかなぁ。

 続いては、まだ取材をスタートして間もない頃、朝の調教時間、厩舎で地図を片手に「むー?」となっている私に、「どこか探してるの?」と声を掛けてくださった船橋競馬場の厩務員さん。お忙しいところありがとうございました。きっとその後もお目にかかっているとは思うのですが、当時は余裕が無く、ヘルメット着用、ジャンパー姿の厩舎関係者は、ほぼ同じに見えていました。でも、もう大丈夫です、分かります。

 そうそう、2016年3月3日。藤田菜七子騎手のデビュー戦当日の川崎競馬場。とにかく場内大混雑で、移動も大変。パドックから、本馬場入場・返し馬の撮影を、と焦って移動する私の腕から、取材章(腕章)がポイっと抜けて吹っ飛んでしまい・・・。それを「落としましたよ!」と拾って追いかけてくださったファンの方。今も南関東競馬場にご来場でしょうか。あの時は本当にありがとうございました。あの腕章がどこかに吹っ飛んでいたら、あの日いろいろ大変でした。

 

 こうしてざっと振り返ってみても、あの当時の周囲の光景が目に浮かんで来て、あの人元気かな、なんて思ったりもします。競馬場は「楽しい時間」を過ごすための場所。思い起こすと心にキラリと光が灯るような出来事が重なっていくと嬉しい。2025年が素敵な1年となりますように。(写真は、2025年にJBCが開催される船橋競馬場です)

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