北海道馬産地ファイターズ
第109回 『草ばん馬大会PartⅢ』
2018.01.11
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「負けられない戦いはそこにある」を体現するかのように、北斗市内に設けられたコースの中に関係者が入り込み、騎乗者と共に馬を追っていた(株)田山産業運輸の主催するばん馬競技大会。
ばんえい競馬ではコースの外から応援する馬に声援を送る光景を目にするが、いくら人が併走できるスピードとはいえども、コースの中に人が入るのは言語道断。しかも、それが関係者というのは公正競馬を根本から覆す大問題である。にもかかわらず、「草ばん馬では、よく見る光景ですよ」と話すのは、ばんえい競馬通の競馬マスコミであるK(夫)さん。実はこのレースにあるまじき程の大金が動いているか、もしくは優勝賞品がもの凄いかのどちらかと思ったが、勿論、お祭り的な意味合いもある草ばんばで大金が動いているわけが無く、肝心の景品も1位が液晶テレビ、2位が冷蔵庫、3位が電子レンジという、自宅の家電が壊れていない限りは性急に必要が無いもの。というより、どのレースでも全く同じテレビや冷蔵庫が贈呈されていくという驚愕の事実!もレース毎に行われる表彰式を見て気付いた。
では、なぜ関係者たちはコースに入ってまでして、勝ちにこだわるのだろうか?その答えを教えてくれたのは、K(妻)さんの知り合いだという、道東から10時間以上もばん馬と共にやってきた牧場主の言葉だった。「草ばんば大会は全道のどこでもやっているけど、その全てのレースを勝ちたいという気持ちがあるからね。あとは草ばん馬を盛り上げたいという純粋な気持ちかな」。まさにシンプルイズベスト。ただ勝ちたい、俺の馬の方が速くソリを引けるという思いだけで道内各地だけでなく、時にはフェリーに乗って東北方面からばん馬と参加者は、全道各地で開催されている草ばん馬大会へ足を運んでいるのだ。ちなみにこの大会にポニーを連れてきていた牧場スタッフのTさんとTTさんもまた、忙しい業務の間にきっちりとポニーの調整を行ってきたそうで、「時計勝負となる軽重量戦だけでなく、高重量戦も1頭のポニーで勝てるようにトレーニングを積んできました」と語っていた。ここまで来ると賞金が出る上に、馬券が発売されている競馬よりも競技としては純粋であり、むしろ競技として認めざるを得ないのでは?とさえ思ってしまうが、競技ならば体高をごまかしたり、コースに入ってくるなどのズルはしないだろう(笑)。
その後、大会進行と実況アナウンサーの両方をこなす女性から、「コースに人が入った場合は失格とします」とのアナウンスが入り、その後のレースではコース内での併走は見られなくなった。それでもコースに入れなかった関係者は、柵のすぐ側に張り付いて、「そら行け!どんどんぼえ!(追え!)」と大声を張り上げていた。そんな光景をのんびりと見られるのが、関係者しか許されない馬運車を用いた特等席。コースの脇には馬運車が平行する形で止められていたのだが、なんと荷台をオープンカフェのように空けて、そこから草ばん馬観戦をしゃれ込んでいた。
「あれも草ばん馬ならではの光景ですよね」とはK(妻)さん。草ばん馬の馬運車は馬を乗せるスペースの他に、人の休憩場所が設けられており、場合によっては寝藁をどけた場所に畳を敷くこともあるのだという。かくいう自分も、TさんとTTさんが乗ってきた馬運車の休憩場所にお邪魔して、ホットプレートで焼いた焼き肉をご馳走になってしまった。
なんだかんだ、草ばん馬大会を心ゆくまで楽しんでいた自分だったが、800㎏の重量のソリを一般馬が引っ張る最終レースでは、北海道で行われている一般的なばん馬VS.東北で行われている馬力方式(馬の前で人もソリを引っ張る)の対決が行われた。
大会ルールにより、馬力方式はソリにプラス100㎏の斤量を背負わされるが、見た目にはまさに人馬一体となる馬力方式が有利。しかし、ゴール前のマッチレースを制したのは、北海道式と言える一般的なばん馬。勝利の瞬間、生まれながらの道産子である自分は、「北海道万歳!」と心の中で叫んでいた。
北海道内の草ばん馬はこの大会でシーズン終了となったが、例年と同じ日程ならば、来年も4月末から全道各地で開催が予定されている。馬産地から近い場所では穂別や恵庭でも開催されているが、詳しい日程や場所については、Facebookの「ばん馬大会情報」で確認していただいておいた方がいいだろう。
まあ、百聞は一見にしかず。このコラムを読んで興味を持たれた方は、一度、草ばん馬大会に足を運んでいただき、その中でもし、参加したいという気持ちが芽生えたならばご一報いただきたい。その際はコースの外から「ぼえ~!」とジャイアンのように叫ばしていただきます(笑)。
ばんえい競馬ではコースの外から応援する馬に声援を送る光景を目にするが、いくら人が併走できるスピードとはいえども、コースの中に人が入るのは言語道断。しかも、それが関係者というのは公正競馬を根本から覆す大問題である。にもかかわらず、「草ばん馬では、よく見る光景ですよ」と話すのは、ばんえい競馬通の競馬マスコミであるK(夫)さん。実はこのレースにあるまじき程の大金が動いているか、もしくは優勝賞品がもの凄いかのどちらかと思ったが、勿論、お祭り的な意味合いもある草ばんばで大金が動いているわけが無く、肝心の景品も1位が液晶テレビ、2位が冷蔵庫、3位が電子レンジという、自宅の家電が壊れていない限りは性急に必要が無いもの。というより、どのレースでも全く同じテレビや冷蔵庫が贈呈されていくという驚愕の事実!もレース毎に行われる表彰式を見て気付いた。
では、なぜ関係者たちはコースに入ってまでして、勝ちにこだわるのだろうか?その答えを教えてくれたのは、K(妻)さんの知り合いだという、道東から10時間以上もばん馬と共にやってきた牧場主の言葉だった。「草ばんば大会は全道のどこでもやっているけど、その全てのレースを勝ちたいという気持ちがあるからね。あとは草ばん馬を盛り上げたいという純粋な気持ちかな」。まさにシンプルイズベスト。ただ勝ちたい、俺の馬の方が速くソリを引けるという思いだけで道内各地だけでなく、時にはフェリーに乗って東北方面からばん馬と参加者は、全道各地で開催されている草ばん馬大会へ足を運んでいるのだ。ちなみにこの大会にポニーを連れてきていた牧場スタッフのTさんとTTさんもまた、忙しい業務の間にきっちりとポニーの調整を行ってきたそうで、「時計勝負となる軽重量戦だけでなく、高重量戦も1頭のポニーで勝てるようにトレーニングを積んできました」と語っていた。ここまで来ると賞金が出る上に、馬券が発売されている競馬よりも競技としては純粋であり、むしろ競技として認めざるを得ないのでは?とさえ思ってしまうが、競技ならば体高をごまかしたり、コースに入ってくるなどのズルはしないだろう(笑)。
その後、大会進行と実況アナウンサーの両方をこなす女性から、「コースに人が入った場合は失格とします」とのアナウンスが入り、その後のレースではコース内での併走は見られなくなった。それでもコースに入れなかった関係者は、柵のすぐ側に張り付いて、「そら行け!どんどんぼえ!(追え!)」と大声を張り上げていた。そんな光景をのんびりと見られるのが、関係者しか許されない馬運車を用いた特等席。コースの脇には馬運車が平行する形で止められていたのだが、なんと荷台をオープンカフェのように空けて、そこから草ばん馬観戦をしゃれ込んでいた。
「あれも草ばん馬ならではの光景ですよね」とはK(妻)さん。草ばん馬の馬運車は馬を乗せるスペースの他に、人の休憩場所が設けられており、場合によっては寝藁をどけた場所に畳を敷くこともあるのだという。かくいう自分も、TさんとTTさんが乗ってきた馬運車の休憩場所にお邪魔して、ホットプレートで焼いた焼き肉をご馳走になってしまった。
なんだかんだ、草ばん馬大会を心ゆくまで楽しんでいた自分だったが、800㎏の重量のソリを一般馬が引っ張る最終レースでは、北海道で行われている一般的なばん馬VS.東北で行われている馬力方式(馬の前で人もソリを引っ張る)の対決が行われた。
大会ルールにより、馬力方式はソリにプラス100㎏の斤量を背負わされるが、見た目にはまさに人馬一体となる馬力方式が有利。しかし、ゴール前のマッチレースを制したのは、北海道式と言える一般的なばん馬。勝利の瞬間、生まれながらの道産子である自分は、「北海道万歳!」と心の中で叫んでいた。
北海道内の草ばん馬はこの大会でシーズン終了となったが、例年と同じ日程ならば、来年も4月末から全道各地で開催が予定されている。馬産地から近い場所では穂別や恵庭でも開催されているが、詳しい日程や場所については、Facebookの「ばん馬大会情報」で確認していただいておいた方がいいだろう。
まあ、百聞は一見にしかず。このコラムを読んで興味を持たれた方は、一度、草ばん馬大会に足を運んでいただき、その中でもし、参加したいという気持ちが芽生えたならばご一報いただきたい。その際はコースの外から「ぼえ~!」とジャイアンのように叫ばしていただきます(笑)。