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北海道馬産地ファイターズ

村本浩平 北海道馬産地ファイターズ

第138回 『競馬を止めるな!』

 毎年、ゴールデンウィークは自宅に引きこもっている。一度、しずない桜まつりが開催されていた時期に、日高方面へ取材に行ったことがある。

 案の定というのか、帰りは大渋滞に巻き込まれ、いつまで経っても動かない車列の中で、ゴールデンウィーク期間は日高方面への取材を入れないことを誓った。

 今年のゴールデンウィークも自宅に引きこもっていた。

 しかしながら今回は自発的ではなく、緊急事態宣言の発令という、国からのお達しである。ならば、不急不要の外出は控えるように従わなければいけないだろう。

 と書いてみたものの、毎年この期間は雑誌関係の「ゴールデンウィーク進行」の関係で、その前後に締め切りが集中する。結果的に休み明けの締め切りのために、連休を費やすのが毎年の恒例となっていた。

 今年のゴールデンウィークも例に漏れず、朝から晩までパソコンの前に座っていた。あまりにも運動不足かと思い、日の出ている時間を見計らって散歩に出ることもあった。

 北海道はゴールデンウィークの最中が桜の見頃で、それを子どもの頃は全国共通だと思っていた。しかし、「桜前線は北上する」という当たり前のことに気付いた時に、「ゴールデンウィーク期間に花見ができる、北海道の人は幸せだなあ」なんて思っていたことを、歩いて10分ほどの場所にある公園の桜を見て思い出した。

 こんな暮らしをしているばかりに、今日が何曜日だったかも忘れてしまうことがある。しかしながら、週末だけはいつも把握できている。それは中央競馬があるからだ。

 自分の部屋で仕事をしている時は、たいていラジオを聞いている。ただ、野球やサッカーといったスポーツの中継があるときは、リビングにあるテレビを付けて、歓声が沸いた時だけ見に行くようにしている。

 しかしながら、現在は野球は勿論、サッカーやラグビー、プロレスといった見たいスポーツの試合や興行が行われていない。穴埋め番組として、昔の名勝負的な番組が放送されているのは嬉しいのだが、番組を制作されている方は、限りある映像ストックの中で、どんな番組を作っていくのかが、とても大変だろうなあと考えてしまう。

 そう思うと毎週末どころか、地方競馬も含めた場合だと、ほぼ毎日開催されている上に、ライブで中継されている競馬は、映像コンテンツとしても安定していると思う。

 映像コンテンツどころか、スポーツ新聞といったマスメディアにおいても、競馬は重要な存在となっている。今や、野球やサッカーなどで一面を組むのが大変な時代において、春のGⅠシリーズに突入した週末だけでなく、話題性的には平日でも、競馬を一面に持ってくることができる。

 また競馬面(含むその他のギャンブル面)は、様々な記事が減っている各スポーツ新聞において、確実なページの確保にも繋がっている。それも制限がある中で取材に勤しんでいる、記者の皆さんのおかげと言えるだろう。

 その一方で、競馬場での販売が多数を占める競馬新聞は部数が一気に減ったという話も聞いている。自分自身、競馬場に行った時は気合いを入れるためにも競馬新聞を買うようにしていたのだが、この緊急事態宣言の間に限っては、各競馬新聞を代わり代わりに購入しようとも思っている。自粛が解けた頃には、自分にマッチした競馬新聞が見つかっているに違いない。

 こんなことが書けているのも全て、競馬が開催され続けているからである。そう考えると感謝すべきは、競馬を止めないために尽力されているJRAやNARの皆さんや、競馬場で働くホースマンの皆さんだと言えるだろう。

 一競馬ファンとして、そして、こうして競馬の原稿が書き続けられているマスコミの1人としても、深々と頭を下げるとともに、「お願いですから、皆さんのお力でこのまま競馬を続けてください」と祈るより他に無い。

 自粛ムードが高まってきた時、競馬の開催が続けられていることに、どこか抵抗もあった。普段は誰しも知って欲しいと思いながらも、この時だけは世間にはあからさまになって欲しくないような気持ちもあった。それでも、競馬は休むこと無く続けられてきた。

 馬産地ではせりの中止や延期も発表されている。それでも何とかなるのではと思ってしまうのは、競馬が開催され続けているからである。競馬産業は景気に左右される傾向にあるだけに、本年度の様々な売上は著しく落ちるだろう。それでも、馬たちが走る場所さえあれば、まだ競馬界の未来は開けている。

 「競馬を止めるな!」その言葉を自分自身も今一度噛みしめながら、何ができるのかを考えていこうと思う。