北海道馬産地ファイターズ
第182回 『オフシーズンの利用法』 PARTⅡ
開催期間を終えた競馬場は、「パークウインズ」として、場外発売が行われている。
JRA北海道シリーズが行われていた札幌競馬場も例外ではなく、馬券派の筆者は開催終了後にも幾度となく足を運んでいた。
パークウインズ開催中は馬券の購入エリアこそ限定されていたものの、フードコートや売店はオープンしている。また、ファンファーレホール内には、競馬初心者を対象とした「ビギナーズカウンター」も設置されていた。
一応、開催期間中にはビギナーズセミナーの講師を任されてきた立場としては、「何かお困りのようでしたら、自分が代わりにセミナーをしますよ!」とカウンター業務をしていた方に声をかけようかとも思った(笑)。
パークウインズでもGⅠ開催当日ともなれば、様々なイベントが行われていた。有馬記念当日には、ファンファーレホール内にステージが設置されていただけでなく、そのステージを取り囲むように学生や家族連れがイべントのゲストであるYouTuberのFischer'sの登場を待ち構えていた。
開催中と寸分変わらないようなその賑わいを見た時に、これが競馬に興味を持ってもらったり、今後も継続して競馬場に来てもらえるきっかけとなればとも考えた。
多くのパークウインズや開催中の競馬場ともに、JRAの施設は基本的に週末しか入れない場所ともなっている。
これだけの立派な施設があり、多くの来場者を収容できるキャパもありながら、それを開催期間しかフルに利用できていないのは、以前からもったいなくも感じていた。
特にもったいないのは、平日の施設利用に関してである。「札幌コンベンションビューロー」のサイトを見ると、札幌競馬場は行政・非営利団体が主催するイベントやパーティーの開催は可能となっている。ただ、「エスコンフィールドHOKKAIDO」のようにほぼ常時一般開放を行っているわけではない。
もちろん、野球のオフシーズンも施設の有効利用を行っている「エスコンフィールドHOKKAIDO」と馬券販売をメインとした競馬場とでは、施設を開場する意味合いがまるで違っているのは致し方ない。
それでも札幌競馬場は札幌市のほぼ中心部にあって、交通機関とのアクセスもバッチリな上に、充分な収容台数のある駐車場も確保できている。これほどのメリットがある場所を、まだ有効活用できる手立ては無いかないかと、エスコンフィールドHOKKAIDOのニュースを見る度に考えてしまう。
これは札幌競馬場に限ったことではなく、全国のJRAの管轄する10か所の競馬場の全てにおいて言えることでもある。もちろん、平日も競馬場の施設内を開けるとなれば、警備や清掃など様々な面での支出が増えてしまうので、決して有効的なアイデアとは言えない。その一方で、競馬場の施設内には入れなくても、東京競馬場や阪神競馬場ではパークウインズ開催当日だけでなく、平日にも公園エリアを中心とした競馬場内の開放を行っている。地方競馬に目を移すと、川崎競馬場では開催日以外にもコース内の芝生広場にも入ることができるという。
そこには様々な遊具も用意されており、川崎競馬場の近くに住む友人は、「J-PLACE川崎で中央の馬券も購入できるので、子供をコース内で遊ばせておきながら、馬券を買いに行けるのは有難いですよ」と話していた。川崎競馬場の隣にはショッピングモールも併設されており、平日にも近くまで立ち寄る機会があるという。この辺は「エスコンフィールドHOKKAIDO」を核として、様々なショップや宿泊施設も備えているFビレッジと似通っている気がしてきた。
前回でも書いたように、2028年にはFビレッジ内に北海道医療大学が移転してくる。新駅の設置も進んでいるだけでなく、学生たちが引っ越してくることで、ショッピングモールとまではいかなくとも、新たな商業施設も作られていくはずだ。
その核となる「エスコンフィールドHOKKAIDO」は、更に生活に属した場所となるだけでなく、シーズンを問わずに多くの人が足を運ぶ場所になるに違いない。
JRAの10か所の競馬場だけでなく、全国各地に作られたウインズも周りの環境に配慮するなど、関係者が多大なる苦労や努力を重ねてきた結果、ファンを楽しませる施設となっている。それを平日にイベントを行うなどして、慌ただしくさせない方がいいとの考えもあるだろう。
ただ、競馬場という場所の障壁を無くすだけでなく、競馬の楽しさを更に広める場所としても、競馬場やウインズが、開催期間以外に立ち寄りたくなるような場所になってほしいと思っている。