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第5コーナー ~競馬余話~

有吉正徳 第5コーナー ~競馬余話~

第18回 本命はつらいよ−函館編

 8月9日,札幌競馬場では今年初めてのJRA2歳重賞・第41回函館2歳S(芝1200メートル)が行われた。

 このレースで,ひとつのジンクスにピリオドが打たれた。「1番人気は勝てない」。14年間続いていたジンクスに終止符を打ったのは,岩田康誠騎手に操られたステラリード(牝,栗東・森秀行厩舎)だった。抜群の手応えで直線を向くと,あっという間に抜け出し,迫るキョウエイアシュラを頭差振り切った。

 数あるJRA平地重賞のうち,函館2歳Sは1番人気がもっとも苦戦していたレースだった。昨年までの14連敗は継続中の記録としてはワーストだった。前回,1番人気が函館2歳Sを制したのは94年のダンツダンサー(牝,栗東・山内研二厩舎)。この時は函館競馬場の馬場改修のため,いつもは芝1200メートルで行われるのがダートの1000メートルで行われた。今回も函館競馬場の改築のため札幌競馬場に場所を移して行われていた。イレギュラーな時に限って,1番人気が勝っているようだ。

 本来の条件である函館競馬場の芝1200メートルで優勝した1番人気馬を探すと,85年のダイナアクトレス(牝,美浦・矢野進厩舎)までさかのぼらなければならない。

 かつて七夕賞(福島,芝2000メートル)は本命馬の鬼門だった。79年から04年まで26年間,負け続けた。05年にダイワレイダース(牡6歳,美浦・松山康久厩舎)が優勝して,ようやく連敗を止めた。この26連敗がJRA重賞の1番人気連敗記録である。

 連敗記録の2番目は天皇賞・秋の18連敗だ。まだ芝3200メートルで行われていた時代。65年にシンザン(牡4歳,武田文吾厩舎)が勝ったのを最後に66年のセフトウエー(牡4歳,野平省三厩舎)から83年のタカラテンリュウ(牡4歳,美浦・佐々木亜良厩舎)まで18連敗した。

 重賞レースが格付けされ,グレード制が導入された84年,天皇賞・秋の距離も芝2000メートルに短縮された。そして不名誉な本命馬の連敗記録に終止符を打ったのは前年の3冠馬ミスターシービー(牡4歳,美浦・松山康久厩舎)だった。1分59秒3は当時のコースレコード。それはミスターシービーの生涯最後の勝ち星でもあった。

 函館2歳Sと並び,14連敗で連敗記録のワースト3位タイだったのがジャパンカップ(東京,芝2400メートル)である。外国招待馬と日本馬の実力比較が難しく,難解なレースだった。86年のサクラユタカオー(牡4歳,美浦・境勝太郎厩舎)から99年のモンジュー(牡3歳,フランス・ハモンド厩舎)まで勝てず,00年にテイエムオペラオー(牡4歳,栗東・岩元市三厩舎)がようやくジンクスを止めた。

 08年,JRAでは年間121の平地重賞が行われ,1番人気はそのうち30レースで優勝した。2着は32回。勝率は24.8%,連対率は51.2%に達する。大健闘といっていい。

 今年は8月16日を終わった時点で,1番人気は75戦23勝,2着15回だ。50.7%と連対率は昨年を下回っているが,勝率は30.7%で,6%近く上昇している。

 それは函館2歳Sに代表されるように,ジンクス破りが続出していることにも表れている。昨年の日程が終了した時点で1番人気の連敗記録継続中のワースト3位は,函館2歳S(14連敗),ダービー卿CT(12連敗),安田記念(10連敗)の3レースだった。

 今年はどうだったか。函館2歳Sのステラリードをはじめ,ダービー卿CTのタケミカヅチ(牡4歳,美浦・大江原哲厩舎),安田記念のウオッカ(牝5歳,栗東・角居勝彦厩舎)とすべて本命馬が勝ち,ジンクスを打ち破った。

 この結果,継続中のワースト記録は10連敗。平安S,中京記念,京王杯SCの3レースで,10月のスワンS(京都)で本命馬が負けると,この3レースに並ぶ。


JBBA NEWS 2009年9月号より転載