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第50回 「いろいろ」

2015.05.18
 4月5日に中山競馬場であった伏竜Sは「カラフル」なレースになった。なぜカラフルなのか。出馬表を再現してみましょう。
①アンヴァリッド(栗毛)
②タケルオウジ(芦毛)
③クロスクリーガー(鹿毛)
④カラパナビーチ(黒鹿毛)
⑤タンジブル(栗毛)
⑥ブチコ(白毛)
⑦マイネルオフィール(鹿毛)
⑧ホワイトフーガ(芦毛)
⑨マイネルシュバリエ(鹿毛)
⑩カフジテイク(青鹿毛)
⑪リアファル(鹿毛)
⑫ノースランドボーイ(青毛)
⑬ペプチドウォヘッド(鹿毛)
⑭ノンコノユメ(栃栗毛)

 ご覧のように、栗毛(代表産駒オルフェーヴル)、栃栗毛(サクラローレル)、鹿毛(ジェンティルドンナ)、黒鹿毛(ブエナビスタ)、青鹿毛(フェノーメノ)、青毛(ドリームバレンチノ)、芦毛(ゴールドシップ)、白毛(ユキチャン)とサラブレッドの毛色8種類がすべてそろったのである。この珍記録は白毛のブチコが出走したから達成されたといえる。この日僕は大阪杯を取材するため阪神競馬場に出張していたから、伏竜Sのパドックを見ることはできなかったが、さながらサラブレッドの見本市のようだったはずだ。

 4月22日現在で中央競馬に所属する7,278頭を毛色別に分類してみた。もっとも頭数が多いのは鹿毛。半分近い41.8%の3,045頭を数える。以下1,726頭(23.7%)の栗毛、1,420頭(19.5%)の黒鹿毛、535頭(7.4%)の青鹿毛、428頭(5.9%)の芦毛と続き、91頭(1.3%)の青毛、30頭(0.4%)の栃栗毛となるとぐっと数が減る。そして白毛はマーブルケーキ、ユキンコ、ブチコとたったの3頭しかいない。

 今回の伏竜Sのように全部の毛色の馬が出走したレースは2012年12月8日にもあった。中山競馬第2レースの2歳未勝利戦だった。このレースにはブチコの姉で、同じく白毛のブラマンジェが出走していた。やはり全部の毛色がそろうためには白毛の存在が欠かせない。

 日本で初めて白毛と認められたのは1979年生まれのハクタイユーだった。父ロングエース(黒鹿毛)と母ホマレブル(栗毛)の間に生まれた。中央競馬で4戦したが未勝利のまま引退した。

 1996年に生まれたシラユキヒメは白毛馬の基礎牝馬になった。父サンデーサイレンス(青鹿毛=USA)と母ウェイブウインド(鹿毛=USA)との間に誕生したシラユキヒメもやはり白毛だった。中央競馬で9戦し、一度3着になった以外は着外に終わった。

 繁殖牝馬になったシラユキヒメはこれまでブチコを含め10頭の子どもを産み、このうち9頭が白毛だ。

 2003年生まれのシロクンは父ブラックホーク(鹿毛=GB)、2004年生まれのホワイトベッセルは父クロフネ(芦毛=USA)、2011年生まれのマーブルケーキと2012年生まれのブチコは父キングカメハメハ(鹿毛)だ。このように父親が違っても、毛色は母の白毛を受け継いでいる。

 この白毛兄弟のうち、もっとも活躍したのが3番子のユキチャン(父クロフネ)だった。中央競馬でデビューし、2008年、デビュー5戦目には交流重賞の関東オークス(川崎競馬場)に出走して優勝した。その後、地方競馬に移籍し、クイーン賞(船橋競馬場)とTCK女王盃(大井競馬場)と重賞2連勝するなど白毛という話題性だけではなく、実力で注目を集める存在になった。

 伏竜Sで6着になったブチコは6月10日に川崎競馬場で行われる関東オークス(ダート2100㍍)を目標にするという。伏竜Sは敗れたとはいえ、牡馬を相手にしたもの。ダートは3戦2勝と実績もあり、姉ユキチャンに続く関東オークスの姉妹制覇も十分に可能性がある。そして、その先に白毛馬初のGⅠ優勝をかなえてもらいたい。
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