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第98回 「平成」

2019.05.13
 4月7日、平成最後の桜花賞が行われ、グランアレグリア(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が優勝した。勝ちタイムは阪神競馬場の芝1600㍍で1分32秒7。昨年、アーモンドアイが出した1分33秒1を0秒4更新する桜花賞レコードとなった。平成の締めくくりにふさわしい快勝だった。
 4月いっぱいで平成が終わり、5月から新元号の令和がスタートする。中央競馬のカレンダーでは、平成最後のダービーは昨年すでに終わっている。桜花賞と皐月賞、天皇賞・春の3つのレースは今年が「平成最後」だ。5月に元号が新しくなるため、この3レースだけが平成の間にのべ31頭の優勝馬を送り出したGⅠレースということになった。平成のダービー馬は30頭だが、平成の桜花賞馬は31頭というわけだ。

 平成初の桜花賞を制したのはシャダイカグラだった。改修前の阪神競馬場。桜花賞の舞台となる芝1600㍍のコースは内枠有利のレイアウトだった。ここまで7戦5勝、2着2回と抜群の安定感を見せていたシャダイカグラは1番人気に支持されたが、抽選で決まった枠順はあいにくの大外18番だった。しかし天才・武豊騎手にとっては不利は不利でなかった。シャダイカグラを巧みに導き、最後はホクトビーナスをアタマ差捉えてゴールイン。見事に優勝させた。武豊騎手はその後もベガ、オグリローマン、ファレノプシス、ダンスインザムードで勝ち星を積み重ね、平成だけで桜花賞歴代最多勝のトップに立った。

 31頭の平成の桜花賞馬のうちシャダイカグラのように大外18番からスタートして栄冠をつかんだ馬は5頭を数える。シャダイカグラのほかワンダーパヒューム、キョウエイマーチ、ダイワスカーレット、ハープスターが大外枠からスタートして先頭でゴールしている。こうして馬名を並べてみると、なかなかの名馬ぞろい。強豪牝馬に枠順は関係ないということなのかもしれない。

 ちなみに31年間の平成の桜花賞でもっとも多くの優勝馬を出しているのはゼッケン9番で7勝。牝馬3冠に輝いたスティルインラブやアパパネが9番ゲートから出て桜花賞のタイトルをものにしている。これに続くのがゼッケン8番と18番の5勝だ。最新の優勝馬グランアレグリアも縁起のいいゼッケン8番だった。

 桜花賞馬の父も時代を反映している。昭和の時代に最多3頭の桜花賞馬を送り出した種牡馬は3頭いた。ダイオライト(GB)、セフト(IRE)、テスコボーイ(GB)である。ダイオライトはタイレイ、バンナーゴール、ハマカゼを生み、セフトはミスセフト、トサミツル、スウヰイスーの父になった。そしてテスコボーイの娘テスコガビー、オヤマテスコ、ホースメンテスコが桜花賞馬になった。平成になって、3頭に追いついた種牡馬がいる。泣く子も黙るサンデーサイレンス(USA)だ。チアズグレイス、スティルインラブ、ダンスインザムードとあっという間に3勝を挙げた、先輩種牡馬に追いつき桜花賞最多勝に並んだ。

 だが桜花賞種牡馬の真打ちはその後に現れた。現代のリーディング種牡馬・ディープインパクトだ。

 産駒が3歳になった2011(平成23)年に3頭を送り込み、このうちマルセリーナが優勝し、桜花賞初挑戦初制覇を果たした。翌2012(平成24)年はジェンティルドンナが優勝、2着にもヴィルシーナが入り、上位を独占した。さらに2013(平成25)年にもアユサンとレッドオーヴァルが1、2着となった。快進撃は翌年も続き、2014(平成26)年はハープスターが勝利して、ついにディープインパクト産駒は4年連続で桜花賞を制するという快挙を達成した。この年、ディープインパクト産駒はハープスター1頭しか桜花賞に出走しておらず、綱渡りの勝利と記録継続となった。同一種牡馬の同一クラシック連続制覇はパーソロン(IRE)によるオークス4連覇があるだけ。この快挙に並ぶ大記録となった。

 そして平成の最後にダメを押すかのようにグランアレグリアを送り込み、見事に桜花賞5勝目を挙げた。ディープインパクトは桜花賞種牡馬として平成最後を見事に飾った。
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