北海道馬産地ファイターズ
第18回 立ち写真その2(Part2)
2010.06.14
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前回の原稿を書いた後,2歳馬の立ち写真撮影の合間を狙って,ハンドラーから見た軸の写真を撮影してみた。ちなみにこの写真は正しい軸だけでなく,四肢全てが正しい位置に置かれているのだが,実際にハンドラーの目線で軸や脚の位置を見てみると,軸の位置を確かめることが非常に困難なことが分かる。
「ハンドラーの位置から軸を見て,判断が難しいと感じるのは当然だと思いますよ」と話してくれたのは,前回も質問に答えてくれた知り合いの種牡馬スタッフ。この原稿を書くに当たって,色々な質問をぶつけてきたのだが,その度に目から鱗が落ちる気分を味わっている。
「ハンドラーの位置から軸の長短を判断するには,感覚的に判断出来るように経験を重ねていくしかありません。そのためにはまず,正しい立ち姿の肢の配置を目に焼き付けておくことが必要になってくると言えます。実際の写真撮影では肢を動かしながら距離を測らなくてはならないので,着地する肢の動きを追いながら瞬時に判断出来るようになりたいところです」前回はカメラマンが立ち写真を撮っている視点を通して,軸の幅などを確認するべきと書いた。それでも微妙な調整に関しては,種牡馬スタッフの方が教えてくれたように,実際に正しい立ち姿の肢の配置を覚えておく,というのがベターなやり方かもしれない。
もし,スタッフに講習を行う際には,時間があればの話になるのだが,ポーズを決める前まではカメラマンの位置で軸を始めとする4本の肢が置かれる位置を確かめてもらい,写真撮影後は,ハンドラーの視点から肢の位置を見てもらうというのはどうだろうか。「ハンドラーの判断で良いと思える軸を作れたら,カメラマンに確認を取るようにもしています。カメラマンから一発でOKが出ることもあれば,『もう少し広く』とか『まだ狭く』といった指示が出ることもあります。そこが,前回もお話した『カメラマンとのギャップ』ということです」
確かに取材で何人ものカメラマンと仕事をさせてもらったが,軸の位置や左後肢や右前肢の置く位置まで,カメラマンごとに微妙に違っていることが見られる。カメラマンからの要求を聞いて,「前はこれでも大丈夫だったのに...」と思っているハンドラーも多いはずだ。「理想の軸の長さは,馬やカメラマンの感性によって微妙に変わってきます。自分の感覚とオーダーの距離的なギャップを確認することで,カメラマンの求める『正しい軸』が,具体的に認識できるのです。あとは,ハンドラーが『正しい軸』に肢を運ぶように操作すれば,OKが出るということにも繋がります。カメラマンのオーダーが明確になれば,大半をハンドラー自身で判断できるので,無駄に確認をとる手間も減り,ハンドリングに集中することもできます」
そのハンドリングだが,立ち写真の撮影を見て行くに当たって,手綱を長く持ったり,一方で短く持って肢の位置を操作するハンドラーの姿が見られた。「手綱を長く持つよりも短く持って操作する方が,細かい指示を与えやすいのは事実です。ただし一概に言えないのは噛み癖の強い馬の場合です。そういった馬たちは口元近くに手を近づけられるとハンドラーの手や袖に噛み付いたり,噛もうとして頭を振ったりします。すると,その動作を抑えこむのに手一杯になったり,馬が前傾の負重をとってしまうために,肢がバランスよく動かせなくなったりします。そのような時は,リップチェーンをかけて一切悪さをさせないように強制して押さえ込みながら肢を作るか,手綱を少し長めに持ってハンドラーの手が気にならない位置から操作します。長く持っていたとしても,日頃からしっかりと馴致されていれば,細かい操作も不可能ではありません」
(次号に続く)
「ハンドラーの位置から軸を見て,判断が難しいと感じるのは当然だと思いますよ」と話してくれたのは,前回も質問に答えてくれた知り合いの種牡馬スタッフ。この原稿を書くに当たって,色々な質問をぶつけてきたのだが,その度に目から鱗が落ちる気分を味わっている。
「ハンドラーの位置から軸の長短を判断するには,感覚的に判断出来るように経験を重ねていくしかありません。そのためにはまず,正しい立ち姿の肢の配置を目に焼き付けておくことが必要になってくると言えます。実際の写真撮影では肢を動かしながら距離を測らなくてはならないので,着地する肢の動きを追いながら瞬時に判断出来るようになりたいところです」前回はカメラマンが立ち写真を撮っている視点を通して,軸の幅などを確認するべきと書いた。それでも微妙な調整に関しては,種牡馬スタッフの方が教えてくれたように,実際に正しい立ち姿の肢の配置を覚えておく,というのがベターなやり方かもしれない。
もし,スタッフに講習を行う際には,時間があればの話になるのだが,ポーズを決める前まではカメラマンの位置で軸を始めとする4本の肢が置かれる位置を確かめてもらい,写真撮影後は,ハンドラーの視点から肢の位置を見てもらうというのはどうだろうか。「ハンドラーの判断で良いと思える軸を作れたら,カメラマンに確認を取るようにもしています。カメラマンから一発でOKが出ることもあれば,『もう少し広く』とか『まだ狭く』といった指示が出ることもあります。そこが,前回もお話した『カメラマンとのギャップ』ということです」
確かに取材で何人ものカメラマンと仕事をさせてもらったが,軸の位置や左後肢や右前肢の置く位置まで,カメラマンごとに微妙に違っていることが見られる。カメラマンからの要求を聞いて,「前はこれでも大丈夫だったのに...」と思っているハンドラーも多いはずだ。「理想の軸の長さは,馬やカメラマンの感性によって微妙に変わってきます。自分の感覚とオーダーの距離的なギャップを確認することで,カメラマンの求める『正しい軸』が,具体的に認識できるのです。あとは,ハンドラーが『正しい軸』に肢を運ぶように操作すれば,OKが出るということにも繋がります。カメラマンのオーダーが明確になれば,大半をハンドラー自身で判断できるので,無駄に確認をとる手間も減り,ハンドリングに集中することもできます」
そのハンドリングだが,立ち写真の撮影を見て行くに当たって,手綱を長く持ったり,一方で短く持って肢の位置を操作するハンドラーの姿が見られた。「手綱を長く持つよりも短く持って操作する方が,細かい指示を与えやすいのは事実です。ただし一概に言えないのは噛み癖の強い馬の場合です。そういった馬たちは口元近くに手を近づけられるとハンドラーの手や袖に噛み付いたり,噛もうとして頭を振ったりします。すると,その動作を抑えこむのに手一杯になったり,馬が前傾の負重をとってしまうために,肢がバランスよく動かせなくなったりします。そのような時は,リップチェーンをかけて一切悪さをさせないように強制して押さえ込みながら肢を作るか,手綱を少し長めに持ってハンドラーの手が気にならない位置から操作します。長く持っていたとしても,日頃からしっかりと馴致されていれば,細かい操作も不可能ではありません」
(次号に続く)