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第55回『内国産乗用馬市場』

2013.07.12
 馬のせりに行ってきた。とはいっても、このコラムに書くぐらいなのだから、ただのせり市ではない。
 ある日、前回のコラムでも書いた「フェイスブック」をのぞいて見たところ、共通の知人が2人もノーザンホースパークにいることが判明。それも馬のせりの展示を見ているとのことだった。

 ノーザンホースパークで行われるせりと言えば、国内最大の競走馬市場であるセレクトセール。
 しかし、その1ヵ月前にフライングゲットならぬ、「フライングせり市」を行っているわけがない。真偽を確かめるべく、フェイスブックからその友人の1人にメッセージを送ってみて分かった。その時、ノーザンホースパークで行われていたせりの展示とは、「内国産乗用馬市場 in ノーザンホースパーク」の展示だったのだ。

 しかも、その友人からのメッセージによればただの展示ではなく、乗用馬ということで試乗もできる展示だという。次の日、取材の予定が入ってなかったのをいいことに、早速、ノーザンホースパークに出向いて、その真相を確かめて来ることにした。

 7月に行われるセレクトセールの看板が立つ交差点でハンドルを切り、そのセレクトセールが行われるノーザンホースパークに到着。セレクトセールでも車を置かせてもらっている駐車場に車を止め、セレクトセールでもまず足を運ぶ受付に向かうと、なんと、セレクトセールでも実際にせり会場となっているインドア乗馬場がせり会場となっていた。

 ただ、セレクトセールと違っているのは、購買者の数の違いもあるのか、鑑定台を置く位置が長方形における辺の短い部分(セレクトセールでは馬の出入りもあって、辺の長い部分に鑑定台と、馬の出入りする場所が作られている)だったこと。だが、鑑定人には青森県軽種馬生産農業協同組合の松橋康彦参事を招き、鑑定台の周りには、落札者に渡される餌の袋も置かれるなど、セレクトセールではまずあり得ない光景に、胸の高鳴りを隠さずにはいられなかった。

 思わず声を出すほどに感動したのは、普段、セレクトセールで上場馬が周回するパドックを、乗馬が周回していたのを見た時だった。しかも今回のせりはポニーも上場されていたので、ミニチュアポニーが嫌々そうにパドックに入ってきたときには、セレクトセールではまずあり得ない、いや、やってはいけない行為であろうことを承知した上で、自分もパドックの中に入り、「いい人に買われるんだよ~」と顔を撫で撫でしてしまった。

 今回、上場されたのは乗馬クラブなどで実際に競技を行っている乗用馬であるが、クラスの違い(障害を飛ぶ高さ)によってリザーブ価格が違っていたり、また、競技会の入賞馬はリザーブも高く設定されているなど違いが見受けられた。

 また、馬場馬術の馬は経験している課目が多いほど評価が高くなっていたり、また、「KWPN」の血を引く馬が、乗馬の世界では名血とされるという話も、知り合いの牧場の方から教えてもらった(聞き違いや勘違いなどがありましたら、この場を借りて申し訳ございません!)

 注目のポニー市場であるが、先程、自分が撫で撫でしたミニチュアポニーを含め、コンスタントに取引されていた。中でもノーザンホースパークのアイドルポニーとして、多彩な演技をこなす「すーちゃん」の弟という良血ポニー(笑)のマリンの24(父スーパースモール、上場馬名ビスポオルベ)は、この日、上場されたポニーでは最高額となる100万円(税抜き)で落札。ポニーも血統が重要なのだなあと、改めて感じさせられた。

 これまでは遠野や釧路で開催されてきた乗用馬の市場であるが、今回、ノーザンホースパークで開催された理由を、実行委員会の1人である(株)大浦牧場の大浦一平代表に尋ねたところ、「競技会場といった施設や馬房、また空港からのアクセスなど、足を運びやすい環境であることが大きいと思います。あまり告知ができなかったのにも関わらず、多くのお客様に足を運んでもらうことができましたし、また、来年もノーザンホースパークさんにご協力願って、せりを開催できればと思います」との言葉が返ってきた。実際、自分もフェイスブックを更新したところ、牧場関係者を中心に「行きたい!」とのコメントが多く書き込まれていた。

 会場だけでなく、その注目度までまさに「乗用馬界のセレクトセール」となりそうな内国産乗用馬市場。第2回は上場馬の数、購買者の数共に今回を上回る規模で行われることを期待したいし、それまでに実家でミニチュアポニーを飼えないかを、両親と相談しておこうと思う。
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