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第59回『JBBAツアー』

2013.11.14
 JBBA日本軽種馬協会が企画する2013秋北海道馬産地見学ガイドツアーに、今年も参加、いや「乱入」してきた。といっても3日間のツアー全てに、ブルロープ片手に乱入したわけではない。ここ数年と同じようにツアー最終日だけの乱入であり、しかもバスで移動する参加者の方に対して、こちらは自家用車での移動と、ヒールレスラーよろしく実に身勝手な乱入である。
 しかも見学をお願いしている牧場も種牡馬を繋養するスタリオンだけでなく、防疫の関係から普段は見学の難しい生産牧場まで実に多彩。しかも育成施設のある牧場では、実際に調教をしている時間に見学をさせてもらうという、「ゆりかごから墓場まで」ならぬ、「種付けから育成まで」と競走馬がデビューするまでのあらましを、参加者の方はこの3日間で知ることができたはずだ。

 初日の門別競馬場では古谷剛彦さん、2日目からは坂田博昭さんが同行と、グリーンチャンネル出演者もゲスト参加。そのあおりもあってか、一応、グリーンチャンネルの末席を汚す自分が3日目のツアーで、見学場所にひょっこりと顔を出した時にも、「村本さーん!」と参加者から歓声を受けたことで、乱入しようと思っていた先程までの気持ちでは全くなくなり、その上、握手や写真撮影までお願いされるなど、まさに芸能人のような扱いに、TVに出ていて良かったと初めて思えた。

 別にちやほやされたという自慢をしたくて、今回のコラムを書いたわけではない。まずはこのツアーに協力していただいた牧場関係者の方々、そして円滑なツアーを行うべく尽力していたJBBAスタッフとふるさと案内所職員の方々に、ツアー乱入者の1人としてお礼を言わせていただければと思う。

 ツアーついでにもう一つ、というのも何だが、この馬産地見学ツアーの前に某クラブ法人のツアーに、こちらはゲストとして「参加」してきた。
 さすがグリーンチャンネル効果というのか、このクラブツアーでも「村本さーん!」と歓声を集め、求められる形で写真撮影や握手や(以下略)。

 それはともかくとして、こうしたクラブツアーに参加されている方は、過去に何度も足を運んでいる「常連さん」が非常に多く、お話を聞かせて貰った方のほとんどが過去にも参加したことのある方ばかりだった。
 参加の理由を尋ねると、その多くが「馬に会いに来ました」とのこと。その中には未来の愛馬を自らの目で探しに来たという意味も含まれているのだろうが、それでもカタログや血統で選ぶよりも実際にその姿を見たり、時には触れ合ったりしながら、お気に入りの馬を探すということを楽しみにしている方も多いのだろう。

 しかも、こうしたクラブのツアーでは、スタリオンでの種牡馬見学や生産牧場における繁殖牝馬の見学も組み込まれていることもある。現役時にファンだった種牡馬の産駒、もしくは繁殖の仔を選ぶ一方で、その種牡馬や繁殖牝馬に会えるというのは、ファンにとってこの上ない幸せかもしれない。

 ふるさと案内所などで得た情報をもとに馬産地へと来ても、見学時間の制限、そして日程の関係などからお目当ての馬に会えなかったという話も良く聞く。

 しかしツアーなら、ほぼ行程通りに運ぶので、お目当ての馬を見られないということはない。問題は日程が限定されるのと費用がかかってしまうことなのだが、その分、様々な馬に会えたり、同行スタッフや生産者からの説明や普段の様子といった質問に答えてもらうなど、参加するメリットも計り知れない。

 面白い試みだと思ったのが、今年行われた「ビッグレッドファーム・コスモヴューファームツアー2013」である。このツアーでは、ラフィアンターフマンクラブ、ウインレーシングクラブの会員だけでなく、事前募集を募る形で一般参加者も参加。ビッグレッドファームで繋養されている種牡馬を見学できただけでなく、両クラブで募集される1歳馬の展示にも参加することができた。

 これは生産、育成、スタリオンと牧場としての施設を揃えるビッグレッドファームだからこそできたとも言えるが、他のクラブでも真似ができないことではなさそうだ。しかも、一般参加者の中から新たな会員が生まれるという可能性さえ考えられる。

 馬産地見学において様々な面において、ツアーの優位性があることは間違いない。今後、自分も馬産地見学ツアーを始めとするツアーの魅力や素晴らしさを、見学者の方にアピールしていくだけでなく、いつでもツアーに乱入できるようにと、スタン・ハンセンの入場テーマである「サンライズ」を自家用車の中で流して気分を高めておこうと思う。
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