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第149回 『ウマ娘、初めて見ました PARTⅠ』

2021.05.19
 生まれてこの方、スマホゲームだけはやるものかと思ってきた。一度、アプリを起動してしまうと、貴重なバッテリーだけでなく、月末の速度低下に繋がるギガ数を奪われてしまう。しかも、ハマってしまったが最後、課金でお金をむしり取られる。
 馬券が当たらず、ただでさえお金が無くなっていくというのに、課金なんてとんでもない。それでも、さすがにこのスマホゲームの存在は無視できなくなってきた。

 株式会社Cygamesから今年の2月24日より配信された「ウマ娘 プリティーダービー」。こうしたスマホゲームにありがちな、メディアミックスコンテンツとして、配信より先にアニメでの放送が2018年から開始される。

 その一方で、スマホゲームはクオリティーの更なる向上を目指すべく、幾度にもわたってリリースが延期となっていたものの、待ちわびていたウマ娘ファンも多かったのか、配信後まもなくして、Google Playの売上ランキングのゲームカテゴリーにおいて1位を記録。この原稿を執筆している4月20日においても52日間連続で1位をキープしている。

 とここまで書いたところで、「ウマ娘」とはなんぞや?と思っておられる方もいるはず。ということで、人生初のスマホゲームダウンロードを行い、チュートリアルまで進めた自分が端的に説明すると、「馬の名前(そして個性)が受け継がれただけでなく、女の子の擬人化がされたウマ娘が、なんと競馬場を疾走。レースに勝つとその子がセンターになってライブができる」というゲームである。どうですか?よく分からないでしょう(笑)。

 注目すべきは「個性」であり、例えばサイレンススズカのウマ娘は、レースでは現役時と同じように逃げ、アグネスタキオンのウマ娘ならば、先行させた方が能力を発揮できる(戦法はレース前に指示を出せる)。

 また、脚質適性と同じように芝やダート、そして距離適性はA、B、Cといったアルファベットでのランク化、また、スピードやスタミナなどは数値化されている。同じG+ランクのスーパークリークのウマ娘とサクラバクシンオーのウマ娘を比較した場合、スーパークリークのウマ娘の方がスタミナの数値が高いのに対し、サクラバクシンオーのウマ娘はスピードの数値に秀でている。

 個性という意味では、その馬が持っているスキルも、レースを勝つためには深く関係してくる。例えば「好位追走」のスキルが付いたダイワスカーレットのウマ娘は、レースの中盤でわずかに疲れにくくなるらしい。

 実際に村本トレーナー(とゲームの世界では呼ばれている)の元で(チュートリアルなので半ば強制的に)鍛えられた、ダイワスカーレットのウマ娘は、疲れも軽減されたような走り(あくまで個人的な見解です)で、道中を好位から追走。最後の直線ではカットインにより演出が入って、逃げ粘る馬を差し切ると、そのまま1着でゴールインを果たした。

 まあ、チュートリアルなので、ゲームをプレイした誰もが勝利の喜びを味わうようにはできているよなあと思いながらも、ゲートから飛び出して(このへんはシュール)、隊列を組みながら走っていくウマ娘の姿は競馬と言えば競馬らしく、また、クオリティーの向上を図ったことの証明とでも言えるのか、競馬場を疾走する姿も、それほど違和感はない。

 同じ競馬育成シミュレーションゲームである、ダービースタリオンをプレイした人なら、すんなりと入っていけるのかもしれない。また、こうしたスマホゲームにつきもののガチャで、更にレースを有利に進行することもできるので、人によっては課金をしても、ウマ娘を強くしたいと思うことだろう。

 ただ、チュートリアルを終えただけの感想でしかないが、それでもどこか違和感が残ってしまった。それはやはり、現役時の姿を知る競走馬が、可愛い女の子になってしまっていることだ。

 いや、それでも牝馬が擬人化されていたとするなら、まだ納得がいく。実際にゲームを始めた頃に追加されたカレンチャンのウマ娘は、たまたまストーリーの動画を見てしまったこともあるが、うかつにも可愛いと思ってしまったし、チュートリアルを共に戦ってくれたダイワスカーレットのウマ娘も、負けん気な性格が、どこか現役時のダイワスカーレットを彷彿とさせているような気がする。

 ただ、トウカイテイオーのウマ娘は、あの気高い姿を知っているがばかりに、擬人化された女の子になってしまったのは何か違う気がするし、メジロマックイーンも公式プロフィールにある、「名門メジロ家に生まれ、落ち着いた物腰で気品溢れるお嬢様」の表記を見ると、「マックイーンは性格のいい牡馬だよ!」と突っ込みを入れたくもなる。ただ、周囲のウマ娘の評判を聞く限り、名馬たちを擬人化するのもありなのでは?という気もしてきた。
(次号に続く) 
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