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第180回 「3兄弟」

2026.03.13

 2026年1月の最終週、中央競馬で前代未聞の出来事があった。


 24日にあった第2回小倉牝馬Sは、ルメール騎手が乗った1番人気のジョスラン(牝4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が優勝し、デビューから6戦目で重賞初制覇を果たした。父エピファネイア、母ケイティーズハートという血統。4歳年上の全兄は3歳時に皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念を制して、JRA賞の年度代表馬に輝いたエフフォーリアだ。


 翌25日に京都競馬場で行われたのは第31回プロキオンSだった。3番手から抜け出し、クビ差、クビ差、クビ差という4頭の大接戦を制したのは横山和生騎手の1番人気ロードクロンヌ(牡5歳、栗東・四位洋文厩舎)だった。中央・地方合わせて挑戦6度目にしての重賞初優勝だった。ロードクロンヌは父リオンディーズ、母リラコサージュの血統だ。


 プロキオンSに続いて中山競馬場であったのは第67回AJC杯だ。1着になったのは川田将雅騎手を背にした3番人気のショウヘイ(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)だった。菊花賞(14着)以来3か月ぶりの実戦を勝利で飾り、25年の京都新聞杯に次ぐ重賞2勝目を挙げた。ショウヘイは父サートゥルナーリア、母オーロトラジェという血統だ。


 ジョスラン、ロードクロンヌ、ショウヘイの父馬を順に並べてみると、エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアとなる。つまり、この週の重賞勝ち馬は種牡馬3兄弟から誕生した馬ばかりだったのだ。おそらく中央競馬でも初めての出来事だろう。


 エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの3兄弟はいずれも現役時代にGIタイトルを獲得した共通点を持つ。エピファネイアは13年の菊花賞と14年のジャパンC。リオンディーズは15年の朝日杯フューチュリティS、サートゥルナーリアは18年のホープフルSと19年の皐月賞だ。


 3頭の母は05年にオークスとアメリカンオークスという日米のGIを勝ち取った名牝シーザリオである。シーザリオの父は日本ダービー馬スペシャルウィークだ。シーザリオの素晴らしいところは父が違っていても優れた産駒を送り出したことだろう。エピファネイアはシンボリクリスエス(USA)、リオンディーズはキングカメハメハ、サートゥルナーリアはロードカナロアを父に持つ。現役調教師だった時代に3頭を育てた角居勝彦氏に当時、話をうかがったことがあるが、「3頭とも母とはまったく似ていない」と話していたことを思い出す。


 長兄のエピファネイアは種牡馬として初年度から大物を輩出した。牝馬三冠に輝いたデアリングタクトだ。2年目の産駒からもエフフォーリアがGI馬になった。その後もサークルオブライフ、ステレンボッシュ、テンハッピーローズがGIで勝ち名乗りをあげ、24年の日本ダービーではダノンデサイルが優勝した。宝塚記念を制したブローザホーンまで計7頭がJRA・GIで1着になった。


 リオンディーズは17年に種牡馬活動を開始した。初年度産駒のテーオーロイヤルは6歳になって24年の天皇賞・春で優勝し、父と自身にとって初のGI勝利を飾った。25年はミュージアムマイルが皐月賞と有馬記念を制覇し、JRA賞の最優秀3歳牡馬に選ばれた。そしてサートゥルナーリアだ。25年、2年目の産駒カヴァレリッツォがデビュー3戦目の朝日杯フューチュリティSで1着になり、JRA賞の最優秀2歳牡馬になった。3兄弟は種牡馬になってからも、そろってGI馬の父になった。世界的にも稀有な例だろう。


 25年は3兄弟の記念すべき年になった。エピファネイアが初めてJRAの2歳リーディングサイアーになった。21年から4年連続で2位だったが、産駒デビュー7年目でついに2歳リーディングサイアーの座に就いた。2位はサートゥルナーリア。兄弟で上位を独占した。リオンディーズも9位に入り、3頭そろってトップ10入りしたのはさすがだった。


 2歳戦ばかりでなく3歳が争う日本ダービーでも記録をつくった。3兄弟がそろって出走馬を送り出したのだ。サートゥルナーリア産駒のショウヘイが3着でファンダムが14着、リオンディーズ産駒のミュージアムマイルが6着、エピファネイア産駒のジョバンニが8着だった。勢いのついた種牡馬3兄弟には今後もマークが必要だ。

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