第5コーナー ~競馬余話~
第109回 「絆」
2020.04.10
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2020年3月7日に阪神競馬場で行われた第27回チューリップ賞は、田辺裕信騎手が騎乗したキズナ産駒のマルターズディオサ(牝、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝した。優先出走権を手に入れ、4月12日に予定されている第80回桜花賞の有力候補の1頭になった。
種牡馬キズナはマルターズディオサなどの現3歳が初年度産駒になる。にもかかわらずマルターズディオサはキズナにとって早くも4頭目の重賞勝ち馬となった。
最初の重賞勝ち馬となったのはビアンフェ(牡、栗東・中竹和也厩舎)だった。2019年7月21日に函館競馬場で行われた第51回函館2歳ステークスで4番人気だったビアンフェはスタートで先頭に立つと藤岡佑介騎手に導かれ、ゴールまで芝1200㍍を逃げ切った。2頭目の重賞勝ち馬はキメラヴェリテ(牡、栗東・中竹和也厩舎)だった。2019年10月31日に門別競馬場で行われた第46回北海道2歳優駿で福永祐一騎手とコンビを組み、ダート1800㍍を逃げ切ってみせた。
年が明けた2020年1月19日、中山競馬場で行われた第60回京成杯でキズナ産駒3頭目の重賞勝ち馬が誕生した。後方から桁違いの末脚を伸ばし、優勝したのはデビュー2戦目のクリスタルブラック(牡、美浦・高橋文雅厩舎)だった。さらに3月20日に中山競馬場であった第34回フラワーカップでもアブレイズ(牝、栗東・池江泰寿厩舎)が勝利した。
新種牡馬が桜花賞や皐月賞が始まる前に5頭もの重賞勝ち馬を送り出すのは、あのサンデーサイレンス(USA)も、キズナの父であるディープインパクトもできなかった快挙である。
サンデーサイレンスがクラシック開幕までに送り出した重賞勝ち馬はプライムステージ、フジキセキ、タヤスツヨシの3頭だったし、ディープインパクトはダノンバラードとトーセンラーの2頭だった。5頭というキズナの実績は今後に大きな期待を抱かせるに十分な数字だ。
中央競馬の2歳種牡馬ランキングでフレッシュマンサイアー(新種牡馬)の産駒が4億円以上の賞金を稼いだ例は、これまでに5度しかない。最多は2010年のディープインパクトで、5億3,704万3千円をマークした。2位が1994年のサンデーサイレンスで4億9,062万5千円、そして3位が2019年のキズナの4億6,400万8千円だった。4位は2011年のダイワメジャーで4億5,107万3千円、5位は2017年のロードカナロアで4億2,867万1千円と続く。いずれもGⅠ勝ち馬を数多く送り出した優秀なメンバーばかりだ。キズナは3位にとどまっているが、クラシックの有力候補を数多く輩出した点で、過去の4頭を上回る爆発力を秘めていそうだ。
キズナは2010年3月5日、北海道新冠町の㈱ノースヒルズで誕生した。父ディープインパクト、母キャットクイル(CAN)という血統で15歳年上の半姉は桜花賞などGⅠ3勝を挙げたファレノプシスだ。
2012年10月に京都競馬場でデビューし、新馬、黄菊賞と2連勝を飾った。その後2連敗したが、3歳3月の毎日杯で重賞初制覇を飾ると、続く京都新聞杯も快勝した。重賞2連勝の勢いを持って臨んだ第80回ダービーではゴール前で鮮やかな追い込みを決め、武豊騎手に5つ目のダービー勝利をもたらした。
3歳秋は菊花賞を自重し、フランスへと向かった。凱旋門賞挑戦が目的だった。前哨戦のニエル賞(GⅡ、芝2400㍍)ではゴール前の接戦を制し、優勝を果たした。この時、写真判定の末に下した相手は同い年の英国ダービー馬ルーラーオブザワールドだった。本番の凱旋門賞でもトレヴの4着に健闘した。5歳春の天皇賞(7着)を最後に現役を引退した。通算14戦7勝。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため地方・中央競馬では2月下旬から無観客の開催が続いている。無観客競馬による中央競馬が3週間を終えた2020年3月15日の時点で、もっとも数多くキズナ産駒に騎乗しているのは武豊騎手だ。父にも、さらに、その父ディープインパクトにも騎乗していた騎手である。のべ34戦し、8勝を挙げている。さすがに相性はいい。
期待したいのは武豊騎手によるキズナ産駒でのダービー制覇だ。実現すれば、ディープインパクト→キズナ→キズナ2世という史上初の日本ダービー父子3代制覇という大記録になり、それが同一騎手によって達成されることになる。
種牡馬キズナはマルターズディオサなどの現3歳が初年度産駒になる。にもかかわらずマルターズディオサはキズナにとって早くも4頭目の重賞勝ち馬となった。
最初の重賞勝ち馬となったのはビアンフェ(牡、栗東・中竹和也厩舎)だった。2019年7月21日に函館競馬場で行われた第51回函館2歳ステークスで4番人気だったビアンフェはスタートで先頭に立つと藤岡佑介騎手に導かれ、ゴールまで芝1200㍍を逃げ切った。2頭目の重賞勝ち馬はキメラヴェリテ(牡、栗東・中竹和也厩舎)だった。2019年10月31日に門別競馬場で行われた第46回北海道2歳優駿で福永祐一騎手とコンビを組み、ダート1800㍍を逃げ切ってみせた。
年が明けた2020年1月19日、中山競馬場で行われた第60回京成杯でキズナ産駒3頭目の重賞勝ち馬が誕生した。後方から桁違いの末脚を伸ばし、優勝したのはデビュー2戦目のクリスタルブラック(牡、美浦・高橋文雅厩舎)だった。さらに3月20日に中山競馬場であった第34回フラワーカップでもアブレイズ(牝、栗東・池江泰寿厩舎)が勝利した。
新種牡馬が桜花賞や皐月賞が始まる前に5頭もの重賞勝ち馬を送り出すのは、あのサンデーサイレンス(USA)も、キズナの父であるディープインパクトもできなかった快挙である。
サンデーサイレンスがクラシック開幕までに送り出した重賞勝ち馬はプライムステージ、フジキセキ、タヤスツヨシの3頭だったし、ディープインパクトはダノンバラードとトーセンラーの2頭だった。5頭というキズナの実績は今後に大きな期待を抱かせるに十分な数字だ。
中央競馬の2歳種牡馬ランキングでフレッシュマンサイアー(新種牡馬)の産駒が4億円以上の賞金を稼いだ例は、これまでに5度しかない。最多は2010年のディープインパクトで、5億3,704万3千円をマークした。2位が1994年のサンデーサイレンスで4億9,062万5千円、そして3位が2019年のキズナの4億6,400万8千円だった。4位は2011年のダイワメジャーで4億5,107万3千円、5位は2017年のロードカナロアで4億2,867万1千円と続く。いずれもGⅠ勝ち馬を数多く送り出した優秀なメンバーばかりだ。キズナは3位にとどまっているが、クラシックの有力候補を数多く輩出した点で、過去の4頭を上回る爆発力を秘めていそうだ。
キズナは2010年3月5日、北海道新冠町の㈱ノースヒルズで誕生した。父ディープインパクト、母キャットクイル(CAN)という血統で15歳年上の半姉は桜花賞などGⅠ3勝を挙げたファレノプシスだ。
2012年10月に京都競馬場でデビューし、新馬、黄菊賞と2連勝を飾った。その後2連敗したが、3歳3月の毎日杯で重賞初制覇を飾ると、続く京都新聞杯も快勝した。重賞2連勝の勢いを持って臨んだ第80回ダービーではゴール前で鮮やかな追い込みを決め、武豊騎手に5つ目のダービー勝利をもたらした。
3歳秋は菊花賞を自重し、フランスへと向かった。凱旋門賞挑戦が目的だった。前哨戦のニエル賞(GⅡ、芝2400㍍)ではゴール前の接戦を制し、優勝を果たした。この時、写真判定の末に下した相手は同い年の英国ダービー馬ルーラーオブザワールドだった。本番の凱旋門賞でもトレヴの4着に健闘した。5歳春の天皇賞(7着)を最後に現役を引退した。通算14戦7勝。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため地方・中央競馬では2月下旬から無観客の開催が続いている。無観客競馬による中央競馬が3週間を終えた2020年3月15日の時点で、もっとも数多くキズナ産駒に騎乗しているのは武豊騎手だ。父にも、さらに、その父ディープインパクトにも騎乗していた騎手である。のべ34戦し、8勝を挙げている。さすがに相性はいい。
期待したいのは武豊騎手によるキズナ産駒でのダービー制覇だ。実現すれば、ディープインパクト→キズナ→キズナ2世という史上初の日本ダービー父子3代制覇という大記録になり、それが同一騎手によって達成されることになる。