北海道馬産地ファイターズ
第38回 『競馬の先生』
2012.02.15
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グリーンチャンネルに出演させてもらっている分際で大変申し訳ないのだが、BSイレブン競馬中継で、ビッグレッドファームグループの総帥と言われている岡田繁幸氏がゲスト出演している時は、そちらを見てしまうことが多くなった。
岡田氏とは取材で面識ができたのをいいことに、札幌競馬場のパドックで真剣に馬を凝視している横で、予想を聞かせてもらうことが多々ある。「トモはいいんだけど、飛節の角度がなあ...」や「この馬は筋肉が固くて収縮力に欠けるんだよ」などの言葉を聞きながら、馬券購入の参考にさせてもらうのだが、「日本一の相馬眼」の持ち主と言われる岡田氏と共に馬を見られるというのは、馬券購入を忘れるほどに貴重な経験。札幌競馬場のパドックではまず、身長の高い男性を探すようになってしまった。
その岡田氏のパドック解説が自宅でじっくりと聞けるのは、この上ない喜びでもある。グリーンチャンネルのパドック解説を参考にしながら、自分なりの相馬眼を磨いてきたつもりでも、岡田氏の言葉を聞いた時、飛節や繋といった馬体を構成するパーツにまでは全く目が行ってなかったことに気付かされた。いや、せりなどでも一日中馬を見つめてきて、理想の競走馬像を数十年にわたって蓄積してきた岡田氏だからこそ気付くのであろうが、その知識をTVを通して、ある意味「ただ」で学べるのだから、これほど嬉しいことはない。
最近ではBSイレブン競馬中継の司会を務めるTIMの2人も、自分から「飛節の角度が...」などと岡田氏に話を向けるようになってきた。きっと視聴者もTIMと同じような問いかけをTVに向けて発しているに違いない。
こんな自分でも競馬開催期間中には、初心者を対象とした競馬講座の先生を務めることがある。岡田氏とは比べものにならないほど、ざっくばらんとしたパドックの見方や、競馬新聞の見方、時には勝馬予想まで披露するのだが、そんなつたない先生ぶりを見た知り合いの生産者の方から、「代わりに先生やろうか?」と言われたことがある。
確かに勝馬予想だけは代わってもらった方が良かったのかもなあ、と思ったことはしばしばあるが、生産者の方がファンに競馬の話をしてくれるのは、ファンサービスとして成立するのではとも思う。
勿論、放送関係者が普段からトレセンや競馬場に出向いて、様々な情報を提供してくれるのは有益で、競馬の予想に必要不可欠な情報である。ただ、それ以外の馬の情報や競馬の見方を知りたいと思っているファンもいることは、TIMの反応にも現れている。
マスコミ以外の関係者が予想行為をするのは、どこかはばかれる風潮にある。それでもこうした関係者の予想が全て当たるわけでもないし、むしろその予想を聞いたファンが、馬券を購入しようという意欲が沸くのなら、どんどん関係者は言葉を発していいのではとも感じる。
前日、取材の合間にとある生産関係者から、「村本君もイベントだけではなくて、『今日の競馬の見所』なんて具合に、朝早くから競馬場で説法をすればいいのに」と思いがけないアイデアをもちかけられた。だからその大役を自分にお願いします!と言うのではなく、朝早くから新聞も持たずにふらっと競馬場に来たファンに対して、「今日はこのレースのこの馬が注目ですよ!」的な情報を、主催者がファンに提供してもいいのではと感じる。
無論、そのレースや注目馬は平場のレースで構わない。前走、もの凄い勝ち方を見せた馬や、将来、クラシックを沸かせるような良血馬などを紹介できれば、勝ち負けに関わらず、取り上げられた馬をその後も追いかけて行こうという気持ちも生まれてくるはず。
説法を行うのはトラックマンやスポーツ新聞の記者だけでなく、岡田氏のような関係者でも構わないと思う。馬を知る人が発する言葉だからこそ説得力が生まれるし、より競馬や馬を知ろうという気持ちにも繋がっていくのではないだろうか。
中央競馬では「場立ち」の予想屋を取り入れてはいないが、ならば「説法」を語る競馬の先生がいてもいい。自分もこれまで以上に競馬の知識を豊かにし、60歳を迎えた頃ぐらいには、「競馬の伝道師」としてライターと二足のわらじを履こうかな、と考えている。
岡田氏とは取材で面識ができたのをいいことに、札幌競馬場のパドックで真剣に馬を凝視している横で、予想を聞かせてもらうことが多々ある。「トモはいいんだけど、飛節の角度がなあ...」や「この馬は筋肉が固くて収縮力に欠けるんだよ」などの言葉を聞きながら、馬券購入の参考にさせてもらうのだが、「日本一の相馬眼」の持ち主と言われる岡田氏と共に馬を見られるというのは、馬券購入を忘れるほどに貴重な経験。札幌競馬場のパドックではまず、身長の高い男性を探すようになってしまった。
その岡田氏のパドック解説が自宅でじっくりと聞けるのは、この上ない喜びでもある。グリーンチャンネルのパドック解説を参考にしながら、自分なりの相馬眼を磨いてきたつもりでも、岡田氏の言葉を聞いた時、飛節や繋といった馬体を構成するパーツにまでは全く目が行ってなかったことに気付かされた。いや、せりなどでも一日中馬を見つめてきて、理想の競走馬像を数十年にわたって蓄積してきた岡田氏だからこそ気付くのであろうが、その知識をTVを通して、ある意味「ただ」で学べるのだから、これほど嬉しいことはない。
最近ではBSイレブン競馬中継の司会を務めるTIMの2人も、自分から「飛節の角度が...」などと岡田氏に話を向けるようになってきた。きっと視聴者もTIMと同じような問いかけをTVに向けて発しているに違いない。
こんな自分でも競馬開催期間中には、初心者を対象とした競馬講座の先生を務めることがある。岡田氏とは比べものにならないほど、ざっくばらんとしたパドックの見方や、競馬新聞の見方、時には勝馬予想まで披露するのだが、そんなつたない先生ぶりを見た知り合いの生産者の方から、「代わりに先生やろうか?」と言われたことがある。
確かに勝馬予想だけは代わってもらった方が良かったのかもなあ、と思ったことはしばしばあるが、生産者の方がファンに競馬の話をしてくれるのは、ファンサービスとして成立するのではとも思う。
勿論、放送関係者が普段からトレセンや競馬場に出向いて、様々な情報を提供してくれるのは有益で、競馬の予想に必要不可欠な情報である。ただ、それ以外の馬の情報や競馬の見方を知りたいと思っているファンもいることは、TIMの反応にも現れている。
マスコミ以外の関係者が予想行為をするのは、どこかはばかれる風潮にある。それでもこうした関係者の予想が全て当たるわけでもないし、むしろその予想を聞いたファンが、馬券を購入しようという意欲が沸くのなら、どんどん関係者は言葉を発していいのではとも感じる。
前日、取材の合間にとある生産関係者から、「村本君もイベントだけではなくて、『今日の競馬の見所』なんて具合に、朝早くから競馬場で説法をすればいいのに」と思いがけないアイデアをもちかけられた。だからその大役を自分にお願いします!と言うのではなく、朝早くから新聞も持たずにふらっと競馬場に来たファンに対して、「今日はこのレースのこの馬が注目ですよ!」的な情報を、主催者がファンに提供してもいいのではと感じる。
無論、そのレースや注目馬は平場のレースで構わない。前走、もの凄い勝ち方を見せた馬や、将来、クラシックを沸かせるような良血馬などを紹介できれば、勝ち負けに関わらず、取り上げられた馬をその後も追いかけて行こうという気持ちも生まれてくるはず。
説法を行うのはトラックマンやスポーツ新聞の記者だけでなく、岡田氏のような関係者でも構わないと思う。馬を知る人が発する言葉だからこそ説得力が生まれるし、より競馬や馬を知ろうという気持ちにも繋がっていくのではないだろうか。
中央競馬では「場立ち」の予想屋を取り入れてはいないが、ならば「説法」を語る競馬の先生がいてもいい。自分もこれまで以上に競馬の知識を豊かにし、60歳を迎えた頃ぐらいには、「競馬の伝道師」としてライターと二足のわらじを履こうかな、と考えている。