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第49回『5年目に向けて』

2013.01.10
 背番号60が確定することになった。何のことかさっぱり分からない方に説明をすると、この「北海道馬産地ファイターズ」が、なんと今年で連載5年目に突入。と同時にタイトルの中にある、連載の回数を示すユニフォームのイラストもまた、5年×12ヶ月ということで、背番号60を背負うことになってしまったのだ。
 プロ野球界で背番号60といえば、入団したばかりの若手か、もしくはトレードで移籍してきた選手が、以前の球団で付けていた背番号がもう使われているので、押しつけられるように渡される番号。まあ、あまり戦力としては認められていない背番号とも言える。

 それにしてもここまでの長期連載になるとは、執筆当初はまるで思わなかった。プロ野球界でフリーエージェント(FA)の権利を有するまでは最短でも7年はかかるが、ここは雑誌史上初のFA権利を行使して、メジャー(媒体)への移籍をちらつかせるだけでなく、契約更新にも強く出よう!と良からぬことを考えてみた。

 しかし、馬産地コラムとは名ばかりの、野球ネタを絡めた与太話を引き受けてくれそうな媒体はそう見あたらない。むしろ契約してもらえただけで有り難いと思い、背番号を監督やコーチが付ける70番台まで伸ばすことを、とりあえずの目標にさせていただく。

 ちなみにこの4年間で我が北海道日本ハムファイターズ(笑)は、2度のパリーグ制覇に、3度のAクラス入り。しかも今年はリーグどころか、日本球界を代表するエースであるダルビッシュ有投手をメジャーへと送り出しながら、パリーグの頂点に立ったというのは、まだ高く評価されてもいい。

 チーム防御率、チーム打率共にリーグ2位というバランスの良さに加え、リーグ最高の守備率を武器に守り勝ったようなペナントレースだったが、個人的に思うファイターズの強さとは、開幕からほぼ変わらない戦力で、1シーズンを乗り切れたことにあるのではと思う。

 ファイターズのファンでは無い方も(笑)、シーズンを通して4番を務めた中田翔選手や2,000本安打を達成した稲葉篤紀選手、また、超人的な身体能力を持ち、走攻守の三拍子揃った糸井嘉男選手などの名前を聞いたことがあるだろう。この主力選手たちがほぼ休まずに(陽岱鋼選手に至ってはフルイニングフル出場!)試合に出続けたこと、そして144試合中、73試合に登板した増井浩敏投手を中心としたブルペン陣も、シーズン終盤には若干の疲れこそ見えたが、リーグ制覇のかかった大事な試合では、最後の力を振り絞るようなピッチングをみせてくれた。

 こうした一流選手たちが試合に出続けていることもあってか、2012年のホームゲームにおける観客動員数は185万8,524人を記録。昨年をやや下回ったものの、パリーグではソフトバンクに続く2位の記録を残している。

 ここで競馬に例えるのもどうかと思うが、やはり一流馬がレースに出続けていた方が、競馬も盛り上がる気がしてくる。東京競馬場まで観戦にいった昨年のジャパンカップ。三冠馬オルフェーヴル対三冠牝馬ジェンティルドンナの直接対決を軸に、トップホースたちがずらりと揃ったこともあってか、同じ東京競馬場で行われた日本ダービーを上回る11万7,776人が来場。やはりファンが見たいのは一流馬であり、一流選手なのだ。

 勿論、コンディションに気を使いながら、毎日のように試合に出場している野球選手と、レベルの高いレースではかなりの消耗をする一流馬とは一緒にできない。それでも、一流馬たちが長きにわたって現役でいることで、少なからずも、その馬が走っているうちは競馬を応援するというファンはいるはずだ。

 スターの生まれるサイクルの早さが競馬の面白味であることは否定しない。ただ、昨年引退を決めたプロ野球のベテラン選手たちに、あれだけ別れを惜しむ声がファンから届いているのを見ると、長く現役でいたり、試合に出続けることが、ファンサービスに繋がるのではないかという気もしてくる。

 そう思うと、このコラムも更なるファンの獲得を目指すためには、やはり背番号100番を目指さなくてはいけないのだろうか?その場合、原稿料も育成選手並みに下げられるのではないかという危惧も...などと考えながら、まずは今年一年、どうかよろしくお願いします。
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