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第50回『競馬イベントのゲスト』

2013.02.14
 昨年の有馬記念当日、函館競馬場でDAIGOさん(「メンタリスト」ではなく、「ミュージシャン」の方です)と大予想会をやらせてもらった。
 大予想会とは書いたものの、集まったのは30名ほど。というのも、DAIGOさんはこの日のお昼前に「ガチ予想ステージ」という、DAIGOさんのキャラがタイトルにも付いたイベントに出演しており、大予想会はそのイベントよりもDAIGOさんの予想を更に身近に聞きたいという方に対する、フォローのような形で行われたと思っていただけると分かりやすいかも知れない。

 ところでDAIGOさんの持ちネタと言えば、両手の親指、人差し指、小指を立てて、胸の前でクロスする「ういっしゅ」のポーズ。ここはクロストークのネタとして、「その昔、リファーズ『ういっしゅ』産駒の『ういっしゅ』ドリームという競走馬がいまして、中央の重賞レースで2勝をする活躍。ただ、残念なのはこの有馬記念には『ういっしゅ』の血を引く馬が出走していないんですよ」などと話そうと思っていたら、「ガチ予想ステージ」を見て考えが変わった。DAIGOさん、もの凄く競馬に詳しかったのである。

 いでたちこそ、真冬の函館競馬場(しかも屋外!)に、とても似つかわしくないTVで見るそのまんまの姿だったが、独特の口調から話されるその内容は、「このレース、中山競馬場でいい成績を残している馬が良く来るんすよ」や、「今年はステイゴールド産駒の活躍が目立っているので、予想の中心もステイゴールド産駒を中心に考えたいっすね」という、プロ顔負けの予想の王道を行くもの。さすが「馬の王子様」(フジテレビ系列で木曜の午後9時54分から放送中)は違うな、と唸らされてしまった。よく、こうしたイベントで呼ばれたゲストの予想として聞くのが「ラッキーカラーはピンクだから、ピンクの帽子を被っている馬!」とか、「誕生日が1月5日なので、1と5の付く番号!」というもの。これは到底競馬を知らないであろう、女性タレントなら許されるかも知れないが、新聞を広げながらうんうん考えている競馬ファンからすれば、「そんなんで当たっていたら苦労しないよ」と、愚痴をこぼしたくなるところだろう。

 ただ、この予想が「あり」とされる場合もある。それはその日、タレント目当てで競馬場に来た来場者の方々。もし、その中に競馬初心者がいたとするなら、「競馬は分からないけど、○○ちゃんのいう通りに馬券を買ってみよう!」と思うことも考えられるのだ。

 しかし、DAIGOさんのイベントでは逆の現象が起きていた。DAIGOさん目当てでこの日の朝早くから、イベントの最前列で登場を待ちわびていたファン(主に女性)の方を見ると、DAIGOさんの予想にきょとんとした表情を浮かべていたのだ。

 大予想会に参加された方の約半数もDAIGOさんのファンだったのだが、やはり有馬記念の予想や馬券の買い方を聞いて(それでも大変分かりやすい説明だと思いますが)、「複勝って何?ワイドって馬の名前?」的な視線を、熱心に話すDAIGOさんではなく、講師たる僕の方に向けていたからだ。

 女性からこんな視線を集めたのは、生まれてこの方、これが初めてだったのだが、その感動に身をゆだねるよりも、ここはDAIGOさんが話した内容を、分かりやすく説明しなくてはいけない。「複勝とはですね、ワイドとはですね...」と話していくと納得したのか、視線をDAIGOさんの方に向け直したのを見た時には、講師としての充実感と、男性としての寂しさを同時に感じていた。

 競馬の知識が無いと競馬のファンに距離を置かれるし、競馬に詳しいと、自分のファンに距離を置かれてしまう。改めて、競馬場のイベントに呼ぶゲストは難しいと思う。その間を取り持つのが、司会者の方や僕のような講師役であるのだが、個人的には競馬に詳しい人をどんどん呼んで、その人のファンを競馬に取り込んだ方がいいのではという気がする。しかもそのゲストの予想を信じて、馬券が当たるなら、なおさら競馬に興味を持ってくれるはずだ。

 なんでこう書いたかというと、DAIGOさんが有馬記念で4頭ピックアップした馬のうち、3頭が上位3着に入着。予想を信じたファンの中には、生まれて初めて購入した馬券で三連単を的中させた方もいた。勿論、その方の感想は「競馬って面白いですね」というものだった。これをお読みの競馬界の皆さん、DAIGOさんをどんどんイベントに出してください。きっと僕より遙かに予想も当たると思いますので(笑)。
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