北海道馬産地ファイターズ
第64回『ポニーショー』
2014.04.30
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大切なことだから2回言います、ではなくて、大切なことだから2回書きます。もし皆さんが何らかの機会で新千歳空港の近くに来ることがあるのなら、是非ともノーザンホースパークで行われているポニーショーを見ておくべきだ。
実はこの書き出しは、キャロットクラブ会報紙「ECLIPSE」で連載中のコラム、「馬創りの現場から」の今月発刊号の書き出し部分に少しだけ手を入れたもの。まさか「JBBA NEWS」と「ECLIPSE」を購読し、しかも自分のコラムを愛読している方はまずいないと思って、手を抜いたわけではない。
「ECLIPSE」の読者のほとんどがクラブ会員=競馬ファン。一方、「JBBA NEWS」の読者は生産関係者=馬のプロが圧倒的に多く、読者層がかぶらないだろうと思ったこともある(とはいっても手抜きではありません!)。
今回、ポニーショーを見て欲しいとこのコラムにも書いた理由は、競馬ファンだけでなく馬のプロである皆さんにも、ポニーショーはかなりの驚きを持って見ていただけると思ったからだ。
ところで皆さんは、ポニーをどんな動物と思っているだろうか?そもそもポニーの概念から説明する必要があるのだろうが、Wikipedia先生などの見解によると、「地面から肩までの高さが147cm以下の馬」をポニーと呼ぶらしい。
皆さんがポニーの存在に強く思い当たる場面と言えば、「ジョッキーベイビーズ」に代表されるポニー競馬となるのだろう。しかし、ノーザンホースパークで行われているポニーショーに登場するポニーは、子供たちでも騎乗できないようなミニチュアポニー。
サラブレッドと比較すると、人の干渉など全く聞き入れなさそうなミニチュアポニーだが、このポニーショーではトレーナーから指示が出されると、リードも無しにハードルを飛んだり、障害の周りを八の字に歩き出す。
しかもバイバイやお辞儀といった可愛い仕草も見せてくれるだけでなく、ショーを見に来たお客さんにキスのプレゼントまである。なんで自分のところに来てキスをしてくれないのか、とジェラシーさえ覚えた(笑)。
ここで疑問に思うのは、なぜにポニー、しかもミニチュアポニーがここまで様々な芸ができるかということである。それを知りたく思い、「馬創りの現場から」ではトレーナーであるノーザンホースパークの佐藤ひささんにお話を聞かせてもらったのだが、取材を通して馬のプロから様々な話を聞いてきた自分でも目から鱗が落ちるような話だった。
ミニチュアポニーでポニーショーを行う際に、佐藤さんが手本としたもの。それは馬術大会で見られるようなホースショーではなく、水族館で行われているイルカショーやアシカショーだった。これは佐藤さんが馬の世界からトレーナーとなったのではなく、基礎となったのが動物専門学校で学んだ動物の行動心理学にあるところが大きい。
イルカショーの訓練を実際に見られた方は少ないかと思うが、調教でトレーナーが使用しているのが、イルカ専用の調教笛。何かしらの行動を起こした時に笛を吹くことで、イルカに興味を持たせ、ジャンプといった行動の後に笛、そして餌を与えることで笛=餌からジャンプ=餌との認識を持つようになる。
そのうち、ジャンプをすれば餌がもらえると認識できるようになったイルカは、その他の行動を起こした際にも餌がもらえると思うようになり、餌に加えて達成感も得ることで、人間との信頼関係が深まり、ショーとしても成り立っていく。
佐藤さんがポニーショーに用いたのもこの理論であり、確かにポニーが演技を上手くできた後には、佐藤さんの元に駆け寄って餌をねだる姿が見られる。とはいえども、行動心理学でミニチュアポニーの調教ができるとは、馬のプロほど気付かない盲点であり、しかも、ポニーだけでなく、馬の生態もそれほど分かっていないであろうお客さんを喜ばせるだけのショーを行っていることは素晴らしいと思う。
百聞は一見にしかず、という言葉があるように、まずはノーザンホースパークのフェイスブックなどで、ポニーショーが開催されている時間を確かめて欲しいと願うばかりなのだが、先日の取材で佐藤さんと話をしていくにつれて、これはポニーの訓練(調教)だけでなく、馬の調教にも生かせないかと思えることが幾つか出てきた。
動物心理学に基づいたその調教は、まさに目から鱗が落ちるような話なのだが、この内容をまとめて、「日本ウマ科学会」の学術集会で発表ができないかなとすら思っている。
とはいえども、発表用のスライドを手書きで作らなくてはいけない自分にとっては、かなり高いハードルであるのだが...。とりあえず、パソコンの知識のある方で、僕を訓練してくれる優しいトレーナーを募集してます(笑)。
実はこの書き出しは、キャロットクラブ会報紙「ECLIPSE」で連載中のコラム、「馬創りの現場から」の今月発刊号の書き出し部分に少しだけ手を入れたもの。まさか「JBBA NEWS」と「ECLIPSE」を購読し、しかも自分のコラムを愛読している方はまずいないと思って、手を抜いたわけではない。
「ECLIPSE」の読者のほとんどがクラブ会員=競馬ファン。一方、「JBBA NEWS」の読者は生産関係者=馬のプロが圧倒的に多く、読者層がかぶらないだろうと思ったこともある(とはいっても手抜きではありません!)。
今回、ポニーショーを見て欲しいとこのコラムにも書いた理由は、競馬ファンだけでなく馬のプロである皆さんにも、ポニーショーはかなりの驚きを持って見ていただけると思ったからだ。
ところで皆さんは、ポニーをどんな動物と思っているだろうか?そもそもポニーの概念から説明する必要があるのだろうが、Wikipedia先生などの見解によると、「地面から肩までの高さが147cm以下の馬」をポニーと呼ぶらしい。
皆さんがポニーの存在に強く思い当たる場面と言えば、「ジョッキーベイビーズ」に代表されるポニー競馬となるのだろう。しかし、ノーザンホースパークで行われているポニーショーに登場するポニーは、子供たちでも騎乗できないようなミニチュアポニー。
サラブレッドと比較すると、人の干渉など全く聞き入れなさそうなミニチュアポニーだが、このポニーショーではトレーナーから指示が出されると、リードも無しにハードルを飛んだり、障害の周りを八の字に歩き出す。
しかもバイバイやお辞儀といった可愛い仕草も見せてくれるだけでなく、ショーを見に来たお客さんにキスのプレゼントまである。なんで自分のところに来てキスをしてくれないのか、とジェラシーさえ覚えた(笑)。
ここで疑問に思うのは、なぜにポニー、しかもミニチュアポニーがここまで様々な芸ができるかということである。それを知りたく思い、「馬創りの現場から」ではトレーナーであるノーザンホースパークの佐藤ひささんにお話を聞かせてもらったのだが、取材を通して馬のプロから様々な話を聞いてきた自分でも目から鱗が落ちるような話だった。
ミニチュアポニーでポニーショーを行う際に、佐藤さんが手本としたもの。それは馬術大会で見られるようなホースショーではなく、水族館で行われているイルカショーやアシカショーだった。これは佐藤さんが馬の世界からトレーナーとなったのではなく、基礎となったのが動物専門学校で学んだ動物の行動心理学にあるところが大きい。
イルカショーの訓練を実際に見られた方は少ないかと思うが、調教でトレーナーが使用しているのが、イルカ専用の調教笛。何かしらの行動を起こした時に笛を吹くことで、イルカに興味を持たせ、ジャンプといった行動の後に笛、そして餌を与えることで笛=餌からジャンプ=餌との認識を持つようになる。
そのうち、ジャンプをすれば餌がもらえると認識できるようになったイルカは、その他の行動を起こした際にも餌がもらえると思うようになり、餌に加えて達成感も得ることで、人間との信頼関係が深まり、ショーとしても成り立っていく。
佐藤さんがポニーショーに用いたのもこの理論であり、確かにポニーが演技を上手くできた後には、佐藤さんの元に駆け寄って餌をねだる姿が見られる。とはいえども、行動心理学でミニチュアポニーの調教ができるとは、馬のプロほど気付かない盲点であり、しかも、ポニーだけでなく、馬の生態もそれほど分かっていないであろうお客さんを喜ばせるだけのショーを行っていることは素晴らしいと思う。
百聞は一見にしかず、という言葉があるように、まずはノーザンホースパークのフェイスブックなどで、ポニーショーが開催されている時間を確かめて欲しいと願うばかりなのだが、先日の取材で佐藤さんと話をしていくにつれて、これはポニーの訓練(調教)だけでなく、馬の調教にも生かせないかと思えることが幾つか出てきた。
動物心理学に基づいたその調教は、まさに目から鱗が落ちるような話なのだが、この内容をまとめて、「日本ウマ科学会」の学術集会で発表ができないかなとすら思っている。
とはいえども、発表用のスライドを手書きで作らなくてはいけない自分にとっては、かなり高いハードルであるのだが...。とりあえず、パソコンの知識のある方で、僕を訓練してくれる優しいトレーナーを募集してます(笑)。