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第72回 『馬産地ライオンズ』

2014.12.16
 契約更改のお知らせ。
 「JBBA NEWS」で馬産地ファイターズを執筆中の村本浩平選手(ライター)ですが、来年度の契約も更新されましたことを、ここに報告いたします。

 村本選手のコメント。
 「このJBBAのコラム執筆者の中では、若手でもなく、それでもベテランと呼ばれるには、まだまだといえる年数となりました。プロ野球でも一番契約が難しいのが、この中途半端なキャリアの選手。自分もそろそろ解雇の話が出てくるのでは...と思っていただけに、まさか契約していただけるとは思ってもみませんでした。読者の皆さんから『読んでるよ!』との声もかけていただけるのが励みともなっていますので、来年度も競馬とは全く関係のない内容を中心に(笑)、コラムの執筆を頑張らせていただきます。」

 というわけで、来年も「JBBA NEWS」での執筆が決まった。先日、担当者の方から電話がかかってきた際には、解雇(連載終了)やむなしと覚悟していただけに、呆気にとられたというのが正直な気持ちだった。こうなったら、JBBAコラム内の飯山裕志(北海道日本ハムファイターズの貴重なバイプレイヤー)をモットーに、細く長く執筆を続けていこうと思う。

 書き出しにプロ野球関係の話を持ってきたのには、自分が野球好きという以外にも理由がある。10月23日に行われたドラフト会議。支配下登録されない育成選手を対象とした育成ドラフトにおいて、埼玉西武ライオンズから北海高校の戸川大輔外野手が一位指名を受けたのだ。

 戸川選手の実家は、日高町で競走馬生産牧場を営む戸川牧場。GⅢアンタレスS、GⅢ平安Sの勝ち馬となったダイシンオレンジなどを生産している。ちなみに日高町(旧門別町も含む)出身のプロ野球選手は、王子製紙苫小牧から、1979年に当時のロッテオリオンズに指名された高沢秀昭さん以来、35年ぶり。

 また、競走馬生産牧場からのドラフト指名は史上初だと思われる(村本調べ)。
 戸川選手は身長188㎝、体重86㎏という恵まれた身体をしており、リトルリーグ時代にはエースとして活躍。北海高校に進学してからは、長身を上手く使ったバッティングセンスと、高校通算13本という本塁打数にも証明されているパワフルな打撃も評価され、高校2年の秋からはクリーンアップも任されるようになった。

 長身で右投げ左打ち、しかも投手と外野手の経験ありとなれば、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手のような二刀流のプレイヤーになってくれるのでは!とも期待をしてしまうが、育成ドラフトでは外野手指名とあるように、プロでは野手として大成を目指すことになる。

 諸手をあげて「馬産地からプロ野球選手誕生!」と祝いたいところではあるが、支配下登録された選手と育成選手では、契約などに大きな違いがある。

 目に見えて違うのがその背番号。育成選手に与えられる背番号は3桁(百番台、場合によっては0から始まる数字も可)であり、戸川選手は二桁、もしくは一桁の背番号を目指すのが当面の目標となる。

 だが、その猶予期間は3年。3年間で支配下登録されなかった場合には、自動的に自由契約選手となってしまう(その後、育成選手としての再契約は可能)。また、出場できる試合もファーム(二軍)だけに限られている。

 最近ではドラフトで指名されながら、怪我などで早期に一軍試合出場が見込めない選手に対しても、育成選手として契約し直すようになってきているなど、その環境も大きく変わってきている。

 「育成」とは名ばかりで、競馬でいうところの3歳未勝利戦のリミットが迫っているほどの限られた時間と様々な制約、そしてチームメイトとの争いの中で、戸川選手はまず支配下登録選手にならなければいけないのだ。

 それでも育成ドラフトを経た選手の中からは、読売ジャイアンツの山口鉄也投手、松本哲也選手のように、チームに不可欠な存在となっている選手も誕生している。そもそも育成選手といえども、ドラフトで指名され、プロ野球でプレーをする機会を与えられたというのは、ただただ凄いとしか言いようがない。

 というわけで、戸川選手の育成ドラフト指名を祝して、約30年来の日本ハムファイターズファンである自分だが、このコラムのタイトルだけでもお祝いの意味で「ライオンズ」に変えてみた。

 今後、好きなプロ野球選手は?とどこかで質問されたのなら、その時は迷わずに「西武ライオンズの戸川選手!」と答えるつもりだが、ファンといえども、ユニフォームといったグッズは、3桁の背番号が取れたときに初めて購入しようと思う。
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