北海道馬産地ファイターズ
第73回 『競馬中継と競馬番組』
2015.01.08
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馬産地ライターを名乗らせてもらってから、かれこれ18年。2014年ほど、ホッカイドウ競馬を見に行かなかった年は無い。
別にホッカイドウ競馬の行われる門別競馬場が、今年の方角的に鬼門だったり、あまりにも馬券が当たらないので(中央含む)、競馬そのものからエスケープしたわけではない。
実は門別競馬場には行かなくとも、ホッカイドウ競馬の馬券は、例年以上に購入してきた。例を挙げると浦河や新ひだかの取材の帰り、Aibaで馬券を購入してから高速に乗り、仕事をしながらメインレースを見るのが日課になっていたこともある。
では、なぜ門別競馬場に行かなかったかなのだが、これはナイター開催ならではの罠が関係している。次は取り返すと思っていたばかりに最終レースを迎え、失意の中で自宅のある札幌に戻った時には既に10時過ぎ。原稿を書く気力も失ったまま布団に入ったが最後、原稿の催促をする編集者の電話に起こされることになり、「これも最終レースに手を出さなければ...」と反省しても後の祭りということが、あまりにも多かったからだ。
しかし、前売りでその日のメインレースを買って自宅へと戻り、パソコンを開いて、仕事の合間に、インターネット中継でホッカイドウ競馬のレースを見るようになってから、馬券の的中率の低さは相変わらずでも、仕事の能率は格段に上がった(当人比較)。それでもたまに、競馬中継に見入ってしまうがばかりに、原稿を書く手を休めてしまうのもどうかと思うのだが。
14年のホッカイドウ競馬の中継を見ていて、パソコンの画面を通しても面白いな、と思ったことが幾つかある。一つは解説者とアナウンサーのフリートーク。その内容もまた、ホッカイドウ競馬だけでなく、広く競馬そのものについても語られていたことがある。
また全レース終了後には、その日のメインレースに優勝した騎手、もしくは管理調教師のインタビューなどがYouTube上にアップされていた。最終レースの後も競馬場に残って取材をしなくても済むようになったのは、有り難い限りである(これはさすがに嘘ですが...)。
14年から様変わりした、ホッカイドウ競馬の競馬中継であるが、制作陣が変わったと聞けば納得もいく。昨年から実況だけでなく、制作にも深く関わるようになったのが、グリーンチャンネルの中央競馬中継で、午前中のキャスターを務める坂田博昭さん。
坂田さんは12年からホッカイドウ競馬で実況を務めるようになり、ついには一昨年から、門別競馬場のある日高町に部屋を借りて、より深くホッカイドウ競馬の中継にかかわるようになった。
「中継が変わったように見ていただけるのは嬉しいことですが、14年から深く手伝わせてもらったこともあり、基本的にはこれまでと枠組みは変わっていません。なのでこれまでの枠組みを踏襲した上で、『競馬番組』としてきちんとしたものを作っていくことを念頭において、制作に関わっていきました」(坂田さん)
確かにキーボードを叩く手を止めて、競馬中継の画面に集中することは、レースよりも解説者の話といった他の部分が多いようにも思えた。これは現在のホッカイドウ競馬の競馬中継が、「競馬番組」の部分に充分な労力を割いているからであり、また打ち合わせを含めて色々な準備ができているからであることは、競馬中継の裏側を知るものとして、容易に想像が付く。「動画配信についても、元々はホッカイドウ競馬支援室の取り組みとして、神谷健介さんが行ってきたことであり、それを実況に取り入れる形を取っただけです。それまでは神谷さんが普段、使われているカメラで撮影をしてきたのですが、神谷さんもお忙しいことや、今後の業務でも必要になってくるであろうと思い、シーズンが始まる前に、自分で購入することにしました」(坂田さん)
ここまで坂田さんから話を聞いて思ったのは、一昨年までと基本的な構成は、実はそれほど変わっていないということである。もし、変わったとするなら、先程から何度も出てきている言葉ではあるが、「競馬中継」から「競馬番組」への作り込みがされたということだろう。
では、なぜホッカイドウ競馬の中継は、「競馬番組」としての方向性を目指したかということだが、それはグリーンチャンネルだけでなく、ボートレース、最近ではカーリングなど、競馬以外の様々なスポーツの実況を務め、そして見せ方を知っている坂田さんが制作に関わったことがまず一つ。
そしてもう一つは、ホッカイドウ競馬自体の売り上げを見た場合、インターネットでの販売を含めた競馬場以外の数字が圧倒的であり、より外に向けた放送を作らなければと言う坂田さんの思いがあった。(次号に続く)
別にホッカイドウ競馬の行われる門別競馬場が、今年の方角的に鬼門だったり、あまりにも馬券が当たらないので(中央含む)、競馬そのものからエスケープしたわけではない。
実は門別競馬場には行かなくとも、ホッカイドウ競馬の馬券は、例年以上に購入してきた。例を挙げると浦河や新ひだかの取材の帰り、Aibaで馬券を購入してから高速に乗り、仕事をしながらメインレースを見るのが日課になっていたこともある。
では、なぜ門別競馬場に行かなかったかなのだが、これはナイター開催ならではの罠が関係している。次は取り返すと思っていたばかりに最終レースを迎え、失意の中で自宅のある札幌に戻った時には既に10時過ぎ。原稿を書く気力も失ったまま布団に入ったが最後、原稿の催促をする編集者の電話に起こされることになり、「これも最終レースに手を出さなければ...」と反省しても後の祭りということが、あまりにも多かったからだ。
しかし、前売りでその日のメインレースを買って自宅へと戻り、パソコンを開いて、仕事の合間に、インターネット中継でホッカイドウ競馬のレースを見るようになってから、馬券の的中率の低さは相変わらずでも、仕事の能率は格段に上がった(当人比較)。それでもたまに、競馬中継に見入ってしまうがばかりに、原稿を書く手を休めてしまうのもどうかと思うのだが。
14年のホッカイドウ競馬の中継を見ていて、パソコンの画面を通しても面白いな、と思ったことが幾つかある。一つは解説者とアナウンサーのフリートーク。その内容もまた、ホッカイドウ競馬だけでなく、広く競馬そのものについても語られていたことがある。
また全レース終了後には、その日のメインレースに優勝した騎手、もしくは管理調教師のインタビューなどがYouTube上にアップされていた。最終レースの後も競馬場に残って取材をしなくても済むようになったのは、有り難い限りである(これはさすがに嘘ですが...)。
14年から様変わりした、ホッカイドウ競馬の競馬中継であるが、制作陣が変わったと聞けば納得もいく。昨年から実況だけでなく、制作にも深く関わるようになったのが、グリーンチャンネルの中央競馬中継で、午前中のキャスターを務める坂田博昭さん。
坂田さんは12年からホッカイドウ競馬で実況を務めるようになり、ついには一昨年から、門別競馬場のある日高町に部屋を借りて、より深くホッカイドウ競馬の中継にかかわるようになった。
「中継が変わったように見ていただけるのは嬉しいことですが、14年から深く手伝わせてもらったこともあり、基本的にはこれまでと枠組みは変わっていません。なのでこれまでの枠組みを踏襲した上で、『競馬番組』としてきちんとしたものを作っていくことを念頭において、制作に関わっていきました」(坂田さん)
確かにキーボードを叩く手を止めて、競馬中継の画面に集中することは、レースよりも解説者の話といった他の部分が多いようにも思えた。これは現在のホッカイドウ競馬の競馬中継が、「競馬番組」の部分に充分な労力を割いているからであり、また打ち合わせを含めて色々な準備ができているからであることは、競馬中継の裏側を知るものとして、容易に想像が付く。「動画配信についても、元々はホッカイドウ競馬支援室の取り組みとして、神谷健介さんが行ってきたことであり、それを実況に取り入れる形を取っただけです。それまでは神谷さんが普段、使われているカメラで撮影をしてきたのですが、神谷さんもお忙しいことや、今後の業務でも必要になってくるであろうと思い、シーズンが始まる前に、自分で購入することにしました」(坂田さん)
ここまで坂田さんから話を聞いて思ったのは、一昨年までと基本的な構成は、実はそれほど変わっていないということである。もし、変わったとするなら、先程から何度も出てきている言葉ではあるが、「競馬中継」から「競馬番組」への作り込みがされたということだろう。
では、なぜホッカイドウ競馬の中継は、「競馬番組」としての方向性を目指したかということだが、それはグリーンチャンネルだけでなく、ボートレース、最近ではカーリングなど、競馬以外の様々なスポーツの実況を務め、そして見せ方を知っている坂田さんが制作に関わったことがまず一つ。
そしてもう一つは、ホッカイドウ競馬自体の売り上げを見た場合、インターネットでの販売を含めた競馬場以外の数字が圧倒的であり、より外に向けた放送を作らなければと言う坂田さんの思いがあった。(次号に続く)