北海道馬産地ファイターズ
第83回 『マスターズ・アイ』
2015.11.19
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そう言えば(という書き出しで始まるコラムもどうかと思うが)、今年の札幌開催では、『マスターズ・アイ』~札幌競馬2歳戦の「みどころ解説」~という、イベントのお手伝いをさせていただいた。
札幌開催が終わってからしばらく経っている今、この事柄について今さら触れるのもどうかと思うが、先日とある牧場主、そして友人の競馬ファンから、「あれはいいイベントだったよね」という言葉をもらい、これはコラムの題材として書かねばいけない!という気持ちになったことをご容赦願いたい。
この『マスターズ・アイ』だが、分かりやすく説明するとパドック解説。しかし、その解説を行うのが、「日本を代表するホースマン」←(原文のまま)なのだ。
日本を代表するホースマンを分かりやすく説明すると、札幌馬主協会に所属する牧場主の皆さん。普段から生産、育成と、競走馬の成長過程を見つめてきた「馬のプロ」ならではの視点で、馬券検討をする上で情報の少ない2歳馬の解説を行うというのがイベントの趣旨である。その際、馬事通信の山田康文記者、楽天競馬スペシャルアドバイザーの古谷剛彦氏、そして不肖村本と、牧場主の皆さんと顔なじみである馬産地マスコミの3名が、その進行を行うことになった。
通常、パドック解説と言えば、トレセンや競馬場で取材をしている、専門紙のトラックマンの方々の仕事。それは普段から出走馬たちの姿を見慣れているだけでなく、パドックに姿を見せた馬も取材などで把握しており、コメントがしやすいという点があげられる。
一方、『マスターズ・アイ』だが、「馬のプロ」たちは、牧場における競走馬の姿は見慣れているとはいえ、パドックを周回する馬のほとんどが、初めて目にする馬ばかり。実際に打ち合わせの段階でも牧場主の方からは、「どの馬について触れたらいいですかね?」といった質問をされることもあった。
実はライター業の傍ら、ラジオ番組の台本も手がけている不肖村本。ここは牧場主の方が話しやすい流れを作らねばと思い、急遽、イベント用の台本を作成してみた。
気になるその内容とは、
・牧場主の送り出した生産馬に近い印象がある馬(牧場の活躍馬とパドック周回馬の父が一緒、もしくは牧場主と同じ町内といった近しい関係の生産馬)の話を振る。
・育成牧場の方には、特に新種牡馬産駒に関して、実際に携わってみての印象。また、リーディングサイアー上位の産駒が出走していた場合は、その印象も聞く。
・人気上位馬に関しては、その馬の印象についても触れる。
といったもの。勿論、その都度、出演される牧場主は違うので、前日から競馬新聞のメイクデビューの欄を開き、マーカーで話を膨らませそうな情報をなぞっては、それに関しての台本をきっちりと作り上げた。
しかし、そんな努力や苦労は杞憂に終わる。参加された牧場主の皆さんは、自分の言葉でパドック周回馬や、時には2歳馬についての印象を雄弁に語り出してくれたのだ。その話しぶりは進行役である自分も思わず聞き入ってしまうほどであり、
「このままだと進行という名の、ただのアシスタントになってしまう」と、せめてタイムキープだけの仕事はきっちりこなさなければと思った程だった。
きっと、牧場主の方の話を聞いていた競馬ファンの皆さんも、興味深く聞き入ってくれたに違いないと思い、パドックに来てくれた友人に感想を聞いたのだが、「スピーカーの関係もあるんだろうけど、良く聞き取れないこともあった」という意外な言葉が返ってきた。この『マスターズ・アイ』におけるパドック解説だが、パドックを周回する馬の邪魔にならないように指向性スピーカー(特定の場所にだけ音を流せる)を採用。その結果、パドック内でもごく一部だけの競馬ファンしか聞き取ることができなかったようである。実際に自分も『マスターズ・アイ』を見に行った時には、エリアから少し離れただけで、全く音が聞こえなくなったことにむしろ驚いた程だ。
せっかくの良い試みを、僅かな人にだけしか理解してもらえないのは勿体ない。その一方で、パドックを周回する馬の邪魔にもなってはいけない。改めて様々な問題が浮かび上がる形となったが、それも初めての試みなので仕方ない部分もある。
札幌馬主協会や札幌競馬場の関係者の皆さんの協力のもと、素晴らしいイベントが行われたことに間違いない。も
し、来年もお手伝いをさせていただけるのなら、更に多くのファンに『マスターズ」の声が届けられるような方法を、共に考えていきたい。
札幌開催が終わってからしばらく経っている今、この事柄について今さら触れるのもどうかと思うが、先日とある牧場主、そして友人の競馬ファンから、「あれはいいイベントだったよね」という言葉をもらい、これはコラムの題材として書かねばいけない!という気持ちになったことをご容赦願いたい。
この『マスターズ・アイ』だが、分かりやすく説明するとパドック解説。しかし、その解説を行うのが、「日本を代表するホースマン」←(原文のまま)なのだ。
日本を代表するホースマンを分かりやすく説明すると、札幌馬主協会に所属する牧場主の皆さん。普段から生産、育成と、競走馬の成長過程を見つめてきた「馬のプロ」ならではの視点で、馬券検討をする上で情報の少ない2歳馬の解説を行うというのがイベントの趣旨である。その際、馬事通信の山田康文記者、楽天競馬スペシャルアドバイザーの古谷剛彦氏、そして不肖村本と、牧場主の皆さんと顔なじみである馬産地マスコミの3名が、その進行を行うことになった。
通常、パドック解説と言えば、トレセンや競馬場で取材をしている、専門紙のトラックマンの方々の仕事。それは普段から出走馬たちの姿を見慣れているだけでなく、パドックに姿を見せた馬も取材などで把握しており、コメントがしやすいという点があげられる。
一方、『マスターズ・アイ』だが、「馬のプロ」たちは、牧場における競走馬の姿は見慣れているとはいえ、パドックを周回する馬のほとんどが、初めて目にする馬ばかり。実際に打ち合わせの段階でも牧場主の方からは、「どの馬について触れたらいいですかね?」といった質問をされることもあった。
実はライター業の傍ら、ラジオ番組の台本も手がけている不肖村本。ここは牧場主の方が話しやすい流れを作らねばと思い、急遽、イベント用の台本を作成してみた。
気になるその内容とは、
・牧場主の送り出した生産馬に近い印象がある馬(牧場の活躍馬とパドック周回馬の父が一緒、もしくは牧場主と同じ町内といった近しい関係の生産馬)の話を振る。
・育成牧場の方には、特に新種牡馬産駒に関して、実際に携わってみての印象。また、リーディングサイアー上位の産駒が出走していた場合は、その印象も聞く。
・人気上位馬に関しては、その馬の印象についても触れる。
といったもの。勿論、その都度、出演される牧場主は違うので、前日から競馬新聞のメイクデビューの欄を開き、マーカーで話を膨らませそうな情報をなぞっては、それに関しての台本をきっちりと作り上げた。
しかし、そんな努力や苦労は杞憂に終わる。参加された牧場主の皆さんは、自分の言葉でパドック周回馬や、時には2歳馬についての印象を雄弁に語り出してくれたのだ。その話しぶりは進行役である自分も思わず聞き入ってしまうほどであり、
「このままだと進行という名の、ただのアシスタントになってしまう」と、せめてタイムキープだけの仕事はきっちりこなさなければと思った程だった。
きっと、牧場主の方の話を聞いていた競馬ファンの皆さんも、興味深く聞き入ってくれたに違いないと思い、パドックに来てくれた友人に感想を聞いたのだが、「スピーカーの関係もあるんだろうけど、良く聞き取れないこともあった」という意外な言葉が返ってきた。この『マスターズ・アイ』におけるパドック解説だが、パドックを周回する馬の邪魔にならないように指向性スピーカー(特定の場所にだけ音を流せる)を採用。その結果、パドック内でもごく一部だけの競馬ファンしか聞き取ることができなかったようである。実際に自分も『マスターズ・アイ』を見に行った時には、エリアから少し離れただけで、全く音が聞こえなくなったことにむしろ驚いた程だ。
せっかくの良い試みを、僅かな人にだけしか理解してもらえないのは勿体ない。その一方で、パドックを周回する馬の邪魔にもなってはいけない。改めて様々な問題が浮かび上がる形となったが、それも初めての試みなので仕方ない部分もある。
札幌馬主協会や札幌競馬場の関係者の皆さんの協力のもと、素晴らしいイベントが行われたことに間違いない。も
し、来年もお手伝いをさせていただけるのなら、更に多くのファンに『マスターズ」の声が届けられるような方法を、共に考えていきたい。