北海道馬産地ファイターズ
第86回 『新種牡馬とゲーム』
2016.02.20
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(株)中央競馬ピーアール・センターから発刊されている「優駿」に、「馬産地最前線」というコラムが連載されている。
執筆者は仕事から飲み会まで、まさに公私ともにお世話になりっぱなしの(笑)、馬事通信・山田康文記者。その「馬産地最前線」1月号の記事として、「今シーズンから繋養される新種牡馬の登録頭数が、数年ぶりに40頭を超えるのでは?」といった内容の記事が掲載されていた。
個人的にも新種牡馬の数が増えたと思える出来事があった。というのも、山田さんに加え、これまた何かとお世話になっている、サラブレッド血統センター静内支局の平尾守さん、そして馬市ドットコムの齊藤宗信さんから、新種牡馬到着に関する連絡が、いつものシーズンよりはるかに多くなっていたからだ。
不真面目な馬産地ライターである自分は、残念ながらその全てに立ち会えたわけではないものの、山田さん、平尾さん、齊藤さんは、ほぼ全ての種牡馬到着を見届けたはず。その勤勉さとフットワークの良さに、この場を借りて尊敬の念を送らせていただきたい。
その「馬産地最前線」の中で山田さんも書かれていたことだが、この新種牡馬ラッシュの背景には、決して高額な種付料が設定されていなかった、スクリーンヒーローやブラックタイドからGⅠ勝ち馬が送り出されていることが関係していると思われる。
また、決して種付頭数や配合牝馬にも恵まれているとはいえない、サイレントディールやルーズリンドからも、地方競馬の重賞レースを沸かせる馬が出たことにより、「地方向きの種牡馬」というカテゴリーも形成されてきたこともまた、様々な血統背景を持った種牡馬の導入に繋がっているのだろう。
自分が競馬の世界を深く知るようになり、そして種牡馬の名前を覚えたのは、他ならぬ「ダービースタリオン」である。手元に残されていたスーパーファミコン版の「ダービースタリオンⅡ」(1994年発売)の攻略本を見ると、配合可能となっている種牡馬の数はピッタリ100頭(持ち込み馬の父は除く)となっている。
これがプレイステーション版のダービースタリオン(1997年発売)となると、配合可能な種牡馬の数はなんと200頭(持込馬の父は除く)と、一気に倍に増えている。
この数字を見た時、僅か3年の間に日本国内の種牡馬の数は倍増したのでは?との考えが浮かび、JBBAの道産子職員であるSさんに種牡馬の登録頭数を調べてもらったのだが、なんと1994年の方が種牡馬の数が多い(1994年...540頭、1997年...425頭)という、全く逆の数字が導き出された。
つまり「ダービースタリオンⅡ」の時間軸では、ゲーム内に名前を記せなかった種牡馬が、440頭もいたことになる。ちなみにSさんの資料を見ると、数字が残っている年で最多の種牡馬登録頭数となっているのは、1991年の791頭(アラブ系種牡馬も含む)。ちなみにシリーズの第1作目となる、ファミコン版「ベスト競馬・ダービースタリオン」の発売は同じ1991年だが、ゲーム上における、配合可能種牡馬の数はたったの64頭でしかない。ゲーム上のレース数は少なかったと言えども、「ベスト競馬・ダービースタリオン」における生産界は、すぐに血統が行き詰まってしまったはずだ(笑)。
ダービースタリオンは一昨年の12月に、最新作である「ダービースタリオンGOLD」が発売されている。気になる配合可能種牡馬の数だが、なんと119頭しかいない。これは、2013年の224頭という種牡馬登録頭数を反映しているではと思ったが、さすが今のゲームというのか、「ダービースタリオンGOLD」では、ハードであるニンテンドー3DSの機能を使い、なんと種牡馬の配信が行われている(2015年の6月時点で配信された種牡馬の数は、海外繋養種牡馬も含めて19頭)。
「ダービースタリオン」シリーズの他にも、数々の競馬ゲームが発売されているが、そこでも種牡馬の配信は頻繁に行われているようだ。その際、今シーズンから繋養される新種牡馬たちは、どの程度の頭数がゲーム上に反映され、そして、どのような初期パラメータが設定されるのかも気になってくる。
その一方でスクリーンヒーローやブラックタイドなど産駒の活躍により、配信によってパラメータの上方修正を行った種牡馬もいるはずだ。勿論、現実の競走馬生産と、ゲーム上での競走馬生産はまるで別物。生産界には様々なニックスはあるが、ゲームのような配合理論ほど確率は高くはなく、その上不慮の出来事があってもリセットはできない。
それでも、新種牡馬が増えたという知らせに、どこか表情がほころんでしまうのも事実である。これが生産界にとって明るい兆しとなり、そしてゲームの世界でも、より多彩な配合が楽しめる世界になってもらいたい。
執筆者は仕事から飲み会まで、まさに公私ともにお世話になりっぱなしの(笑)、馬事通信・山田康文記者。その「馬産地最前線」1月号の記事として、「今シーズンから繋養される新種牡馬の登録頭数が、数年ぶりに40頭を超えるのでは?」といった内容の記事が掲載されていた。
個人的にも新種牡馬の数が増えたと思える出来事があった。というのも、山田さんに加え、これまた何かとお世話になっている、サラブレッド血統センター静内支局の平尾守さん、そして馬市ドットコムの齊藤宗信さんから、新種牡馬到着に関する連絡が、いつものシーズンよりはるかに多くなっていたからだ。
不真面目な馬産地ライターである自分は、残念ながらその全てに立ち会えたわけではないものの、山田さん、平尾さん、齊藤さんは、ほぼ全ての種牡馬到着を見届けたはず。その勤勉さとフットワークの良さに、この場を借りて尊敬の念を送らせていただきたい。
その「馬産地最前線」の中で山田さんも書かれていたことだが、この新種牡馬ラッシュの背景には、決して高額な種付料が設定されていなかった、スクリーンヒーローやブラックタイドからGⅠ勝ち馬が送り出されていることが関係していると思われる。
また、決して種付頭数や配合牝馬にも恵まれているとはいえない、サイレントディールやルーズリンドからも、地方競馬の重賞レースを沸かせる馬が出たことにより、「地方向きの種牡馬」というカテゴリーも形成されてきたこともまた、様々な血統背景を持った種牡馬の導入に繋がっているのだろう。
自分が競馬の世界を深く知るようになり、そして種牡馬の名前を覚えたのは、他ならぬ「ダービースタリオン」である。手元に残されていたスーパーファミコン版の「ダービースタリオンⅡ」(1994年発売)の攻略本を見ると、配合可能となっている種牡馬の数はピッタリ100頭(持ち込み馬の父は除く)となっている。
これがプレイステーション版のダービースタリオン(1997年発売)となると、配合可能な種牡馬の数はなんと200頭(持込馬の父は除く)と、一気に倍に増えている。
この数字を見た時、僅か3年の間に日本国内の種牡馬の数は倍増したのでは?との考えが浮かび、JBBAの道産子職員であるSさんに種牡馬の登録頭数を調べてもらったのだが、なんと1994年の方が種牡馬の数が多い(1994年...540頭、1997年...425頭)という、全く逆の数字が導き出された。
つまり「ダービースタリオンⅡ」の時間軸では、ゲーム内に名前を記せなかった種牡馬が、440頭もいたことになる。ちなみにSさんの資料を見ると、数字が残っている年で最多の種牡馬登録頭数となっているのは、1991年の791頭(アラブ系種牡馬も含む)。ちなみにシリーズの第1作目となる、ファミコン版「ベスト競馬・ダービースタリオン」の発売は同じ1991年だが、ゲーム上における、配合可能種牡馬の数はたったの64頭でしかない。ゲーム上のレース数は少なかったと言えども、「ベスト競馬・ダービースタリオン」における生産界は、すぐに血統が行き詰まってしまったはずだ(笑)。
ダービースタリオンは一昨年の12月に、最新作である「ダービースタリオンGOLD」が発売されている。気になる配合可能種牡馬の数だが、なんと119頭しかいない。これは、2013年の224頭という種牡馬登録頭数を反映しているではと思ったが、さすが今のゲームというのか、「ダービースタリオンGOLD」では、ハードであるニンテンドー3DSの機能を使い、なんと種牡馬の配信が行われている(2015年の6月時点で配信された種牡馬の数は、海外繋養種牡馬も含めて19頭)。
「ダービースタリオン」シリーズの他にも、数々の競馬ゲームが発売されているが、そこでも種牡馬の配信は頻繁に行われているようだ。その際、今シーズンから繋養される新種牡馬たちは、どの程度の頭数がゲーム上に反映され、そして、どのような初期パラメータが設定されるのかも気になってくる。
その一方でスクリーンヒーローやブラックタイドなど産駒の活躍により、配信によってパラメータの上方修正を行った種牡馬もいるはずだ。勿論、現実の競走馬生産と、ゲーム上での競走馬生産はまるで別物。生産界には様々なニックスはあるが、ゲームのような配合理論ほど確率は高くはなく、その上不慮の出来事があってもリセットはできない。
それでも、新種牡馬が増えたという知らせに、どこか表情がほころんでしまうのも事実である。これが生産界にとって明るい兆しとなり、そしてゲームの世界でも、より多彩な配合が楽しめる世界になってもらいたい。