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第93回 『競馬GO』

2016.09.23
 今年の7月から世界でサービスを開始。日本でも7月22日からアプリのダウンロードが開始され、8月には世界中のダウンロード回数が、1億回を超えたという「ポケモンGO」。
 生まれながらのミーハーであり、しかもゲームボーイ時代の「ポケットモンスター緑」をプレイしていた自分が、このアプリをやらない理由など無く、22日に早速インストール。その日にはとある裏技を使って、最初のポケモンとしてピカチュウをゲットし、次の日には、ビギナーズセミナーの講師を務めた函館競馬場でもポケモンを探し歩いた。

 こう書くと、不真面目な競馬マスコミのように思われてしまうが、今、世間のトレンドをチェックし、時には体験した上で、それを競馬に生かせないか?という、「フィールド型の競馬マスコミ」だと思っていただけると有り難い。

 しかしこの業界、自分以外にも「フィールド型の競馬マスコミ」は多数いたようで、函館競馬場にはスマホを顔の前に置いたマスコミの皆さんが右往左往しており、「入り口近くのポケストップの周りで、レアなポケモンが捕まえられるってさ」

 などの、記者ならではの特ダネも耳にすることもできた(そんな自分も、即座にその場所へと向かいましたが)。

 まあ、遊びはここまでにして、なぜ「ポケモンGO」が爆発的なヒットをおさめたのかを、自分なりに考えてみた。

 最も大きな理由は「ポケットモンスター」という世界観を、スマートフォンの画面越しに投影できたことだろう。ポケットモンスターをプレイした人なら、モンスターボール片手に世界を旅しながら、ピカチュウのような可愛いポケモンをゲットしたいと、一度は思ったはず(あくまで個人の感想です)。

 しかも、モンスターボールといったアイテムを供給する、「ポケストップ」という場所を設置したことで、ポケモン探し以外にも、地図上に書かれたポケストップを訪ねる楽しみができたことも大きい。

 ポケストップとは「ポケモンGO」のシステムの源となった、位置情報ゲームの「Ingress」の「ポータル」という特定の場所。「ポケモンGO」では、ポータルをポケストップとして採用しており、元々のポータルがあった公園などに、多くの「ポケモンGO」ユーザーが集まることにもなった。

 こうしたポケストップ巡りの楽しみは、「ポケットモンスター」の世界観とはかけ離れている。しかし、「Ingress」の位置情報ゲームとしてのシステムは、ポケットモンスターというフィルターを通すことで、より分かりやすさと親しみを増し、結果として世界中のユーザーを巻き込むほどの大ヒットに繋がったと言える。

 となれば、「ポケモンGO」をどう競馬に取り込むかである。馬に関係の深いポケモン(ポニータ、ギャロップ)が、競馬場に出てくるよ!との情報を流そうと思ったが、函館競馬場と札幌で実測調査をした限り、馬関係のポケモンどころか、滅多にお目にかかれないレアポケモンすら出てこない。

 そうはいっても、ポータルの多い場所ではイベントも行われたり、最近では「ポケモンGO」とコラボレーションする団体も出てきている。今後の盛り上がり次第だが、「ポケモンGO」関係のイベントを行う競馬主催者も出てきそうだ。

 そんなことを、知り合いの広告代理店の女性に話していたら、その女性も「Ingress」にポケットモンスターというギミックをつけたのが、ヒットの要因だったのでは?との見解を述べた後で、「ちょっとした掛け合わせで、人の心は動かせるんですよね」と話してきた。さすが、広告代理店の人は言うことが違うなあ、と思った後で、競馬もまた、ギミックとまではいかなくとも、従来からある競馬に、何らかの付加価値を付けることで、より幅広い層からも興味を持ってもらえることに気づかされた。

 例えば今なら、藤田菜七子騎手だろう。中央競馬としては16年ぶりに誕生した女性騎手であり、また、その愛くるしいルックスから、アイドル的な注目も集めている。

 ただ、こうしたブーム的な盛り上がりには、いつか終わりが来る。「ポケモンGO」なら様々なイベントやアップデートを重ねれば、興味を持たせ続けることもできるかもしれない。だが、藤田騎手に今と同じ注目度を集めさせるには、本人の努力だけで無く、周りの協力も必要であり、だからといって、次の女性ジョッキー誕生を待つわけにもいかない。

 そんな自分の「ポケモンGO」の進捗状況は8月上旬でレベル8と、やりこんでいる人には鼻で笑われる程の体たらく。自分の中でブームが去ったとは認めたくはないのだが...。

 レアポケモン、どこかにいませんか?
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