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第171回 『初めての講演会PartⅡ』

2023.03.17
 頻繁に牧場のTwitterを更新している、ある牧場の某マネジャーから聞いた求人への思わぬ効果。それは講演会の資料をまとめるべく、様々な資料を調べていた自分にとっても納得せざるを得なかった。
 2022年2月27日の朝日新聞の記事によると、日本国内におけるSNSのユーザー数は、世界と比較した場合でもTwitterの利用者数が多いというデータが出ていた。

 また、日本国内では20代の利用者が圧倒的に多いのもTwitterの特徴であり、某マネジャーに求人に関するDMを送ってくるのも、ほとんどが20代だったという。「Twitterの写真に力を入れているのは、見てくれる本人だけでなく、その向こうにいる親御さんへのアピールの意味もありました。子供を持つ親御さんからすれば、馬の仕事は皆目見当がつかないと思います。それでも美しい自然の写真や、可愛い馬の姿を見せていくことで、この環境ならばお子さんを送り出してもいいと思ってくれれば、との考えはありました」と某マネジャーは話す。まさに『映える』写真を更新し続けた効果が表れたとも言えるだろう。

 他にもSNSにおけるTwitterの優位性として、基本的にはツイートという文字を発信するツールだけに、情報を発信するのに手間がかからない。ハッシュタグやエゴサーチなどから気になる情報を見つけやすい、と情報を拡散する、あるいは見つけてもらいやすいというメリットもある。

 ただ、インターネットの功罪という言葉もあるように、TwitterといったSNSもまた、功罪の「罪」である、デメリットもこの講演会では伝えなければいけないとも思った。

 SNSの便利な機能として、先ほども記したエゴサーチ(個人、商品、会社といった気になる言葉を検索できる)があるが、それを見てしまったばかりに思わぬ批判や中傷をされたり、時には至る所からバッシングを受けることもある。

 よく聞くのがある牧場のスタッフがふいにTwitterであげた出来事が、表には出してはいけない情報だったり、ネガティヴな書き込みが本人だけでなく、雇い主である牧場への責任にも繋がることがある。

 それは牧場のTwitterをあげている、いわゆる「中の人」も例外ではない。情報を発信するには手間がかからないメディアだけに、ふと思ったことを書き込んでしまうこともある。それが意図しない形で批判に晒されたり、時には馬主や調教師の目にも止まることで、「あいつは普段から、あんな考えだったのか」といったレッテルを貼られることにもなってしまう。

 あとは始めた頃は一日に何度も書きこんでみたものの、いつの間にか、日が経つにつれ更新が滞ってしまうと、閲覧数も減っていった結果、更にやる気が無くなり、いつの間にか放置状態となる問題(含むブログやFacebook)などについても触れてみようと思った。

 三石軽種馬生産振興会の会長を務める、(有)平野牧場の平野謙二代表から話をもらった時には、断ろうと考えていた講演会であるが、何とかなりそうな気がしてきた。

 しかも三石地区には知り合いの生産者も多い。こじんまりとした会場で、アットホームな語らいができるのならば、こちらも牧場におけるSNSの利用状況も確認でき、コラム執筆のネタにもなる。「平野さん、SNSのテーマで話せるかもしれません!」と口にすると平野会長は、「村本さんなりの切り口でいいから、SNSについて何でも話してください。それで同じ日には、JRA日高育成牧場の遠藤さんにも講義をしてもらおうと思っていたんだけど、面識はありましたよね?」と思わぬ言葉を口にしてきた。日高育成牧場の遠藤さんこと、遠藤祥郎専門役とはFacebookで繋がっているどころか、一緒に飲みに行ったほどにフレンドリーな関係である。遠藤さんが講義仲間なら鬼に金棒!と言いたいところだが、向こうは様々なテーマで幾つもの講義をこなしてきた講演会のベテラン中のベテラン。そのベテラン遠藤を相手に、講演会デビューの村本が投げ合う、いや、同じ場所で講義を行うだなんて全く聞かされていなかった。「平野さん!やっぱり今の話は無し!」と言おうとする前に、電話の向こうにいた平野会長は、「詳しいことは農協の方から電話が行くので、当日はよろしくお願いしますね!」と明るい口調で電話を切る。それから約2週間後、自分は講演会が行われる、「新ひだか町総合町民センター はまなす」の前に立っていた。
(次号に続く)
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