JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第172回 『初めての講演会PartⅢ』

2023.04.18
 ライター生活では初めてとなる講演会を、ほとんど手を付けていないSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)にまつわるテーマで果敢に挑んだ筆者。題目だけは『日高から日本へ、そして世界へ情報を発信!~SNSとのウマい付き合い方~』と恰好だけ付けてみた。だが、講演会の会場となる「新ひだか町総合町民センター はまなす」のはまなすホールに入った時、その広さ(ホールでは最大400名の観覧が可能)を見た時には、正直、家に帰ろうと思った。
 ただ、自分のエスケープを拒むかのように、準備をしてくださったJAみついし農協スタッフの方や、主催者の三石軽種馬生産振興会の平野謙二会長、そして共に講演会を行う、日高育成牧場の遠藤祥郎専門役がやってくる。

 ここは遠藤さんに僕の発表時間を減らすほどに講演をしてもらおうと思い、「どんなことをやるんですか?」と探りを入れたところ、「レポジトリーに関する異常所見や対処法」という題目で、僕が全く開いたことも無いパソコンソフトのパワーポイントを使った上で、色々な症例を見せていくと教えてくれた。

 この題目は遠藤さんの持ちネタならぬ、持ち題目かと思いきや、実は前回、別の講習会で初めて発表したとのこと。それにもかかわらず、いただいた資料はA4サイズのプリントの裏表で20枚にもわたっているだけでなく、写真やイラストがふんだんに盛り込まれていた。

 こんな講演会のプロを相手にしたのなら、自分の拙さがホールに集まった生産者の皆さんの前でばれてしまう。だが、この会場に来てから、ある秘策が思い浮かんでいた。

 プリントアウトしてきた講演のテーマ以外の小ネタを仕込んでいたパソコンを開いたところ、ホール内にWiFiの電波が飛んでいたことに気付いたのだ。

 新ひだか町内は図書館といった公共施設、そしてHBA北海道市場内でも「新ひだか町無料公衆無線LANサービスである「Shinhidaka Free Wi-Fi」を利用することができる。

 それは「新ひだか町総合町民センター はまなす」も例外ではなかった。

 つまり、インターネットに繋ぎながらの発表が可能となっただけでなく、大型ビジョンにパワーポイントを繋いだ遠藤さんよろしく、自分も生産者の皆さんに見せたい牧場関係のSNSを、文字だらけの資料を見せずとも紹介できてしまうのだ!

 この瞬間に気持ちはすっと楽になった。接続なども遠藤さんに教えてもらい、その遠藤さんが資料やビジョンと照らし合わせながらどのような流れで講演を行ったかを把握しておけば、講演の形だけは成り立つ。

 遠藤さんの素晴らしい講演の余韻のままに、一気にスタートしてしまおうとHDMI端子にケーブルをジャックイン。さあ、皆さんビジョンをご覧ください!と声高らかに叫んでみたものの、そのビジョンにはネット環境が悪いことを証明するかのように、円状のくるくるした画面がずっと映し出されていた。

 実は壇上に上がる前は、ホール内でパソコンをWiFiに繋いでいたのだが、ステージにはWiFiの電波があまり届いていなかったのだ。一気に焦りまくった自分は、「し、資料をご覧ください」と言っては見たものの、その間にいきなり紹介したかった牧場のSNSが画面で出てくるなど、まさにてんやわんや。最後に伝えたかった言葉も、あやふやになったまま講演を終えてしまった。

 その後の質問コーナーでは、糾弾されるのも覚悟していたが、牧場のスタッフの方から、「僕も村本さんがこの講習会で伝えたかった内容と、同じことを考えていました」との言葉をかけられた時には、遠藤さんが最後のジャンケン大会で用意していたプレゼントを渡しに行こうと思ったほどだった。

 講演会の後には打ち上げが行われたが、自分にとっては反省会でしかなかった。それでも平野会長やJAみついしの皆さん、そして遠藤さんだけでなく、同行されていた日高育成牧場の方たちからも、「初めての講演会としては上出来ですよ」と励まされた。それでも自分としては、申し訳ないほどの出来だったと思うだけでなく、改めて大勢の人に自分の思いを伝える講演の難しさを知った。

 それと相反するようだが、来てくださった方々に分かりやすく内容を伝えていくためには、どうしたらいいのかという課題も生まれてきた。そんな僕に対して平野会長は、「村本さん、また講演やりましょうよ!」と持ちかけてきた。ということで、次回の講演のテーマは、「初心者でもできる講演会の準備と、皆に分かりやすく伝わる発表方法」というテーマでお願いしようと思っている。
トップへ