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プロフィール
有吉正徳競馬ライター

1957年福岡県生まれ。
82年から東京中日スポーツで競馬担当。
92年に朝日新聞社入社。
現在、毎週金曜日の夕刊スポーツ面に「競馬ウイークリー」を連載。
競馬予想の基本は「人気薄からワイド狙い」。
アルコールは飲めないが、競馬が話題ならば何時間でも話すことができる。

最新記事一覧

  • 第127回 「繁栄」 2021.10.15

     9月5日に新潟競馬場で行われた第57回新潟記念はステイゴールド産駒のマイネルファンロン(牡6歳、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝し、11度目のチャレンジで重賞初制覇を果たした。 2018年のスプリングSではステルヴィオの3着、2019年の函館記念ではマイスタイルのクビ差2着などタイトルに手の届きそうなこともあったが、惜しくも敗れた。貴重な白星はデビュー30戦目まで待たなければならなかった。3歳年下の半妹ユーバーレーベン(父ゴールド...

  • 第126回 「第11位」 2021.09.10

     8月8日、東京オリンピックの最終日に函館競馬場では第26回エルムSが行われた。優勝したのはハーツクライを父に持つスワーヴアラミス(牡6歳、栗東・須貝尚介厩舎)だった。 この勝利によって、中央競馬におけるハーツクライ産駒の勝利数は1,258となり、歴代11位のヒンドスタン(GB)と並んだ。翌週の8月14日には札幌競馬の第7レースでコーストラインが1番人気に応え、通算勝利数を1,259に伸ばし、父を単独の歴代11位へと押し上げた。産駒...

  • 第125回 「至宝」 2021.08.11

     名馬ガリレオGalileo(IRE)が死んだ。 現役時代に英、アイルランド両ダービーを含めGⅠ3勝を挙げ、引退後は英ダービー馬5頭を送り出し、種牡馬としても大成功したガリレオが天国に旅立ったのは7月10日。左前脚の故障が慢性化したため安楽死の処分がとられた。23歳だった。 大種牡馬のサドラーズウェルズSadler's Wells(USA)を父に持ち、母は凱旋門賞優勝のアーバンシーUrban Sea(USA)という超良血だった。1998年に生まれたガリレオは、2...

  • 第124回 「ハナ」 2021.07.09

     5月30日に行われた日本ダービーは4番人気のシャフリヤール(牡3歳、栗東・藤原英昭厩舎)が、1番人気の皐月賞馬エフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)にハナ差をつけて優勝、第88代王者になった。2400メートルを走って、2頭の差は約10センチというわずかなものだった。 日本ダービーの勝敗がハナ差で明暗を分けたのは、これが10度目だった。 古い順に勝ち馬と2着馬を並べてみる。 ▽1940年=イエリユウ、ミナミ▽1958年=ダイゴホ...

  • 第123回 「効率」 2021.06.18

     5月16日に東京競馬場で行われた第16回ヴィクトリアマイルはオッズ1.3倍の断然人気に推されたグランアレグリア(牝5歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が快勝した。 道中、中団を進んだグランアレグリアは最後の直線に向かうと自分からハミを取って、末脚を爆発させた。ラスト3ハロンは32秒6。メンバー18頭中最速の上がりで2着のランブリングアレーに4馬身差をつけた。レベルの違う強さに、ただ驚くばかりだった。 これでGⅠ勝利は5つ目。2019年の...

  • 第122回 「無敗」 2021.05.12

     4月に行われた中央競馬のGⅠ3レースはいずれも無敗馬が栄冠に輝いた。 4月4日の第65回大阪杯(阪神競馬場)はGⅠ初挑戦だったレイパパレ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)が逃げ切り、デビュー以来の連勝を6に伸ばした。2着のモズベッロにつけた4馬身差は大阪杯がGⅠに昇格した2017年以降では最大着差となった。また大阪杯が距離2000㍍で行われるようになった1972年以降では、1981年のサンシードールと1993年のメジロマックイーンの5馬身差に...

  • 第121回 「同期」 2021.04.12

     21世紀最初の日本ダービー馬ジャングルポケットが3月2日に死んだ。23歳だった。 1998年5月7日、北海道早来町のノーザンファームで産声をあげた。父は凱旋門賞馬のトニービン(IRE)、母はダンスチャーマー(USA)という血統だ。JRA栗東トレーニング・センターの渡辺栄厩舎に所属し、主戦は角田晃一騎手が務めた。 2001年にダービーを制し、同年秋にはジャパンカップでも優勝した。日本調教の3歳牡馬がジャパンカップで優勝したのは40回の歴...

  • 第120回 「17頭」 2021.03.11

     2月14日に阪神競馬場で行われた第114回京都記念でワグネリアン(牡6歳、栗東・友道康夫厩舎)は、勝ったラヴズオンリーユーから0秒7遅れの5着に終わった。 2018年の神戸新聞杯を最後に勝利から遠ざかっている第85代日本ダービー馬はそれでも単勝2番人気の支持を得た。それは、ひとえに武豊騎手との初コンビが理由のすべてだろうと思う。「武豊騎手ならなんとかしてくれるのではないか」。新しい化学反応を期待するファンの思いが込められた...

  • 第119回 「母父」 2021.02.12

     史上初めて牡と牝で同時に「無敗の3冠馬」が誕生し、新型コロナウイルスの影響で無観客が続くなど、2020年は、競馬界にとって忘れられない1年になった。こうした大きなうねりに隠れて、静かに変化したこともあった。 そのひとつがリーディング・ブルードメアサイアーの交代だった。2006年から2019年まで14年間頂点に立ち続けたサンデーサイレンス(USA)が2位に陥落。代わってキングカメハメハが初めて首位に立った。2019年に18歳で生涯を閉じ...

  • 第118回 「40回」 2021.01.08

     「世紀の一戦」と呼ばれた。2020年11月29日に東京競馬場で行われた第40回ジャパンカップだ。1981年に創設された国内初の国際競走は2019年、史上初めて外国招待馬がゼロになり、不要論さえ、ささやかれていた。わずか1年後に評価は急転する。すべての競馬ファンが固唾を飲んで見守るような注目のレースになった。 「3強」がそろい踏み、夢の競演となった。2020年天皇賞・秋で優勝し、史上初めて芝GⅠ8勝という偉業を達成したアーモンドアイ(牝...

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