第5コーナー ~競馬余話~
第122回 「無敗」
2021.05.12
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4月に行われた中央競馬のGⅠ3レースはいずれも無敗馬が栄冠に輝いた。
4月4日の第65回大阪杯(阪神競馬場)はGⅠ初挑戦だったレイパパレ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)が逃げ切り、デビュー以来の連勝を6に伸ばした。2着のモズベッロにつけた4馬身差は大阪杯がGⅠに昇格した2017年以降では最大着差となった。また大阪杯が距離2000㍍で行われるようになった1972年以降では、1981年のサンシードールと1993年のメジロマックイーンの5馬身差に次ぐ大きな着差での優勝となった。重馬場のコンディションがレイパパレに味方した部分はあったにしても、鮮やかな勝利だった。
今回のレイパパレのように「3歳以上」の「古馬のGⅠ」をデビュー6戦目で制したのは1984年のグレード制度導入以降では5頭目の最少キャリア記録になった。これまでの4頭は2002年のエリザベス女王杯で優勝したファインモーション(IRE)、2011年の安田記念制覇のリアルインパクト、2019年天皇賞・春のフィエールマン、同年チャンピオンズカップのクリソベリルだ。このうちファインモーション(6連勝)とクリソベリル(6連勝)は、レイパパレと同様無敗でのGⅠ初優勝だった。
レイパパレは父ディープインパクト、母シェルズレイという血統。2017年1月に北海道ノーザンファームで誕生している。2020年1月に京都競馬場でデビューし、7月の糸魚川特別(新潟競馬場)で3連勝目を飾ると、10月の秋華賞に登録したが、抽選で除外の憂き目にあった。秋華賞当日、3勝クラスの大原Sに出走。京都競馬場の芝1800㍍で1分46秒3という好タイムで優勝し、記者席では「秋華賞に出ていたらデアリングタクトを破っていたかも」と話題になったものだ。
4月11日の第81回桜花賞は白毛のソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)が驚異的なレコードタイムで優勝し、デビュー以来の連勝を5とした。阪神競馬場の芝1600㍍でソダシがマークしたタイムは1分31秒1。従来の桜花賞レコード(2019年グランアレグリア=1分32秒7)を1秒6、コースレコード(2017年ブラックムーン=1分31秒9)を0秒8も更新する好記録だった。ソダシは白毛初のクラシック制覇という記録のほか年明け初戦での優勝も注目を集めた。前走・阪神ジュベナイルフィリーズとのレース間隔、中118日というのも桜花賞史上最長記録となった。
4月18日の第81回皐月賞(中山競馬場)はエフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が1着となり、デビューから4つの白星を積み重ねた。5年目の横山武史騎手(22)は中央競馬のGⅠ初勝利。父の横山典弘騎手(53)に次ぐ父子2代の皐月賞制覇となったが、父の典弘騎手がセイウンスカイで優勝した1998年に武史騎手は生まれた。エフフォーリアの父エピファネイアは2013年の皐月賞ではロゴタイプの2着に終わっていた。息子は父の雪辱を果たした。
昨年はコントレイルが史上3頭目で父ディープインパクトに続く無敗の3冠達成を果たし、デアリングタクトが史上初の無敗の牝馬3冠に輝くなど「無敗」という言葉が注目を浴びた。クラシックに関してはここまで昨年のリプレーを見せられているように無敗の優勝馬が相次いで出現している。
中央競馬でデビューからの連勝記録は8勝が最多でこれまでに6頭がマークしている。ライジングウイナー(1954年生まれ)、ミスオンワード(1954年生まれ)、カネツセーキ(1959年生まれ)、テライチ(1960年生まれ)、マルゼンスキー(1974年生まれ)、シンボリルドルフ(1981年生まれ)である。
同じ年に生まれたライジングウイナー(牡)とミスオンワード(牝)は1957年のダービーで直接対決している。この年のクラシック戦線をリードしたのはライジングウイナーだった。2歳時8戦8勝。しかし故障後は本来の力を出せなかった。ダービーは20頭立ての7着に終わった。ミスオンワードは2歳時から8戦全勝で桜花賞、オークスを制覇した。連闘で臨んだダービーは3番人気の支持を受けたが、さすがに厳しい戦いとなり、17着に惨敗した。
昨年もコントレイルとデアリングタクトという同い年の「3冠馬」が無敗のままジャパンカップで対戦した。コントレイルは2着、デアリングタクトは3着とともにアーモンドアイの快走に屈したが、その対決を見るだけでも興奮した。
いつの日か、エフフォーリアとソダシが顔を合わせることを楽しみにしたい。できれば無敗のままで。
4月4日の第65回大阪杯(阪神競馬場)はGⅠ初挑戦だったレイパパレ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)が逃げ切り、デビュー以来の連勝を6に伸ばした。2着のモズベッロにつけた4馬身差は大阪杯がGⅠに昇格した2017年以降では最大着差となった。また大阪杯が距離2000㍍で行われるようになった1972年以降では、1981年のサンシードールと1993年のメジロマックイーンの5馬身差に次ぐ大きな着差での優勝となった。重馬場のコンディションがレイパパレに味方した部分はあったにしても、鮮やかな勝利だった。
今回のレイパパレのように「3歳以上」の「古馬のGⅠ」をデビュー6戦目で制したのは1984年のグレード制度導入以降では5頭目の最少キャリア記録になった。これまでの4頭は2002年のエリザベス女王杯で優勝したファインモーション(IRE)、2011年の安田記念制覇のリアルインパクト、2019年天皇賞・春のフィエールマン、同年チャンピオンズカップのクリソベリルだ。このうちファインモーション(6連勝)とクリソベリル(6連勝)は、レイパパレと同様無敗でのGⅠ初優勝だった。
レイパパレは父ディープインパクト、母シェルズレイという血統。2017年1月に北海道ノーザンファームで誕生している。2020年1月に京都競馬場でデビューし、7月の糸魚川特別(新潟競馬場)で3連勝目を飾ると、10月の秋華賞に登録したが、抽選で除外の憂き目にあった。秋華賞当日、3勝クラスの大原Sに出走。京都競馬場の芝1800㍍で1分46秒3という好タイムで優勝し、記者席では「秋華賞に出ていたらデアリングタクトを破っていたかも」と話題になったものだ。
4月11日の第81回桜花賞は白毛のソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)が驚異的なレコードタイムで優勝し、デビュー以来の連勝を5とした。阪神競馬場の芝1600㍍でソダシがマークしたタイムは1分31秒1。従来の桜花賞レコード(2019年グランアレグリア=1分32秒7)を1秒6、コースレコード(2017年ブラックムーン=1分31秒9)を0秒8も更新する好記録だった。ソダシは白毛初のクラシック制覇という記録のほか年明け初戦での優勝も注目を集めた。前走・阪神ジュベナイルフィリーズとのレース間隔、中118日というのも桜花賞史上最長記録となった。
4月18日の第81回皐月賞(中山競馬場)はエフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が1着となり、デビューから4つの白星を積み重ねた。5年目の横山武史騎手(22)は中央競馬のGⅠ初勝利。父の横山典弘騎手(53)に次ぐ父子2代の皐月賞制覇となったが、父の典弘騎手がセイウンスカイで優勝した1998年に武史騎手は生まれた。エフフォーリアの父エピファネイアは2013年の皐月賞ではロゴタイプの2着に終わっていた。息子は父の雪辱を果たした。
昨年はコントレイルが史上3頭目で父ディープインパクトに続く無敗の3冠達成を果たし、デアリングタクトが史上初の無敗の牝馬3冠に輝くなど「無敗」という言葉が注目を浴びた。クラシックに関してはここまで昨年のリプレーを見せられているように無敗の優勝馬が相次いで出現している。
中央競馬でデビューからの連勝記録は8勝が最多でこれまでに6頭がマークしている。ライジングウイナー(1954年生まれ)、ミスオンワード(1954年生まれ)、カネツセーキ(1959年生まれ)、テライチ(1960年生まれ)、マルゼンスキー(1974年生まれ)、シンボリルドルフ(1981年生まれ)である。
同じ年に生まれたライジングウイナー(牡)とミスオンワード(牝)は1957年のダービーで直接対決している。この年のクラシック戦線をリードしたのはライジングウイナーだった。2歳時8戦8勝。しかし故障後は本来の力を出せなかった。ダービーは20頭立ての7着に終わった。ミスオンワードは2歳時から8戦全勝で桜花賞、オークスを制覇した。連闘で臨んだダービーは3番人気の支持を受けたが、さすがに厳しい戦いとなり、17着に惨敗した。
昨年もコントレイルとデアリングタクトという同い年の「3冠馬」が無敗のままジャパンカップで対戦した。コントレイルは2着、デアリングタクトは3着とともにアーモンドアイの快走に屈したが、その対決を見るだけでも興奮した。
いつの日か、エフフォーリアとソダシが顔を合わせることを楽しみにしたい。できれば無敗のままで。