第5コーナー ~競馬余話~
第42回 時計は語る
2014.09.18
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8月9日、小倉競馬場で行われた「3歳以上500万下」のレースで中央競馬の新記録が塗り替えられた。1枠1番から飛び出したルベーゼドランジェ(牝4歳、父ゴールドアリュール、母シンコウエンジェル(USA)、母の父オジジアン(USA))はライバル9頭を引き連れて逃げ切り勝ち。ダート1000㍍[重馬場]でJRA新記録となる56秒9のタイムをマークした。
従来のJRAレコードはやはり小倉競馬場で2006年7月15日にマークされたデンコウグラス(牝3歳、父グラスワンダー(USA)、母タイアカデミー、母の父ロイヤルアカデミーⅡ(USA))の57秒1(やや重)だった。ルベーゼドランジェはこの記録を8年ぶりに0秒2更新し、史上初めてダート1000メートルで56秒台に突入した。栗東・小崎憲厩舎に所属するルベーゼドランジェはこの日、デビュー1年目の義英真騎手(18)が手綱を取っていた。負担重量が3kg軽減されるルーキーだったため52キロの負担重量だった。減量の恩恵はあったかもしれないが、重馬場のコースで12秒0~10・6~11・4~11・3~11・6というラップを刻んだ。1ハロン(200㍍)の平均ラップは11秒38だった。
JRAレコードが更新されたのは今年2度目だった。5月17日の京都競馬場で都大路Sに出走したグランデッツァ(牡5歳、父アグネスタキオン、母マルバイユ(IRE)、母の父Marju(IRE))は2着に5馬身差をつける圧勝劇を演じた。芝1800㍍でマークしたタイムは1分43秒9(良馬場)。これは2004年7月18日にダイタクバートラム(父ダンスインザダーク、母スプリングネヴァー、母の父サクラユタカオー)が小倉競馬場で記録した1分44秒1(良馬場)を10年ぶりに0秒2更新して、芝1800㍍で初めて1分43秒台に到達した。
勝ち馬予想をする際、先輩によく言われたのが「競馬は時計じゃないぞ」という言葉だった。ヒトの陸上競技では日本記録、世界記録は大きなポイントになるが、競走馬はタイムを競うのではなく、勝ち負けを競うもの。ライバルとの駆け引きもあるので、必ずしも速さと強さはイコールではないと教えられた。
だが例外もあると思い始めた。昨2013年、JRAの2歳レコードを更新した2頭の馬が年が明けた2014年、ともにGⅠホースへと上り詰めたからだ。
1頭目はミッキーアイル(牡3歳、父ディープインパクト、母スターアイル(IRE)、母の父ロックオブジブラルタル(IRE))だ。昨年11月2日の京都競馬場の「2歳未勝利戦」に出走し、芝1600㍍で1分32秒3(良馬場)というタイムをたたき出した。従来の2歳のJRAレコードは2006年12月3日にウオッカ(牝2歳、父タニノギムレット、母タニノシスター、母の父ルション(USA))がマークした1分33秒1(良馬場)を0秒8も上回る驚異的なレコードになった。ミッキーアイルはこの初勝利で勢いに乗り、そこから5連勝してNHKマイルカップで優勝し、GⅠタイトルを手にした。
2頭目はイスラボニータ(牡3歳、父フジキセキ、母イスラコジーン(USA)、母の父Cozzene(USA))だ。イスラボニータが2歳のJRAレコードを記録したのは2013年11月16日に東京競馬場で行われた重賞・東京スポーツ杯2歳S。好位置から抜け出したイスラボニータは芝1800㍍で1分45秒9(良馬場)を記録した。それまでの記録は前年に同じ東京スポーツ杯2歳Sでコディーノ(父キングカメハメハ、母ハッピーパス、母の父サンデーサイレンス(USA))が出した1分46秒0(良馬場)だった。ご存じのようにイスラボニータは今年、皐月賞馬になり、ダービーでもワンアンドオンリーと壮絶な競り合いを繰り広げ、2着に惜敗した。
改めて調べてみると、2歳のうちにJRAレコードほどでなくてもコースレコードを更新している馬に後のGⅠ馬が多いことがわかる。先に名前の出てきたウオッカのほかゴールドシップ、ナリタブライアン、アパパネなどが2歳時にコースレコードを更新している。どうやら「競馬は時計じゃない」は2歳馬には当てはまらないようだ。
従来のJRAレコードはやはり小倉競馬場で2006年7月15日にマークされたデンコウグラス(牝3歳、父グラスワンダー(USA)、母タイアカデミー、母の父ロイヤルアカデミーⅡ(USA))の57秒1(やや重)だった。ルベーゼドランジェはこの記録を8年ぶりに0秒2更新し、史上初めてダート1000メートルで56秒台に突入した。栗東・小崎憲厩舎に所属するルベーゼドランジェはこの日、デビュー1年目の義英真騎手(18)が手綱を取っていた。負担重量が3kg軽減されるルーキーだったため52キロの負担重量だった。減量の恩恵はあったかもしれないが、重馬場のコースで12秒0~10・6~11・4~11・3~11・6というラップを刻んだ。1ハロン(200㍍)の平均ラップは11秒38だった。
JRAレコードが更新されたのは今年2度目だった。5月17日の京都競馬場で都大路Sに出走したグランデッツァ(牡5歳、父アグネスタキオン、母マルバイユ(IRE)、母の父Marju(IRE))は2着に5馬身差をつける圧勝劇を演じた。芝1800㍍でマークしたタイムは1分43秒9(良馬場)。これは2004年7月18日にダイタクバートラム(父ダンスインザダーク、母スプリングネヴァー、母の父サクラユタカオー)が小倉競馬場で記録した1分44秒1(良馬場)を10年ぶりに0秒2更新して、芝1800㍍で初めて1分43秒台に到達した。
勝ち馬予想をする際、先輩によく言われたのが「競馬は時計じゃないぞ」という言葉だった。ヒトの陸上競技では日本記録、世界記録は大きなポイントになるが、競走馬はタイムを競うのではなく、勝ち負けを競うもの。ライバルとの駆け引きもあるので、必ずしも速さと強さはイコールではないと教えられた。
だが例外もあると思い始めた。昨2013年、JRAの2歳レコードを更新した2頭の馬が年が明けた2014年、ともにGⅠホースへと上り詰めたからだ。
1頭目はミッキーアイル(牡3歳、父ディープインパクト、母スターアイル(IRE)、母の父ロックオブジブラルタル(IRE))だ。昨年11月2日の京都競馬場の「2歳未勝利戦」に出走し、芝1600㍍で1分32秒3(良馬場)というタイムをたたき出した。従来の2歳のJRAレコードは2006年12月3日にウオッカ(牝2歳、父タニノギムレット、母タニノシスター、母の父ルション(USA))がマークした1分33秒1(良馬場)を0秒8も上回る驚異的なレコードになった。ミッキーアイルはこの初勝利で勢いに乗り、そこから5連勝してNHKマイルカップで優勝し、GⅠタイトルを手にした。
2頭目はイスラボニータ(牡3歳、父フジキセキ、母イスラコジーン(USA)、母の父Cozzene(USA))だ。イスラボニータが2歳のJRAレコードを記録したのは2013年11月16日に東京競馬場で行われた重賞・東京スポーツ杯2歳S。好位置から抜け出したイスラボニータは芝1800㍍で1分45秒9(良馬場)を記録した。それまでの記録は前年に同じ東京スポーツ杯2歳Sでコディーノ(父キングカメハメハ、母ハッピーパス、母の父サンデーサイレンス(USA))が出した1分46秒0(良馬場)だった。ご存じのようにイスラボニータは今年、皐月賞馬になり、ダービーでもワンアンドオンリーと壮絶な競り合いを繰り広げ、2着に惜敗した。
改めて調べてみると、2歳のうちにJRAレコードほどでなくてもコースレコードを更新している馬に後のGⅠ馬が多いことがわかる。先に名前の出てきたウオッカのほかゴールドシップ、ナリタブライアン、アパパネなどが2歳時にコースレコードを更新している。どうやら「競馬は時計じゃない」は2歳馬には当てはまらないようだ。