第5コーナー ~競馬余話~
第80回 「初GⅠ」
2017.11.17
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10月15日に京都競馬場で行われた第22回秋華賞は3番人気のディアドラ(牝3歳、栗東・橋田満厩舎)が優勝した。ハービンジャー(GB)産駒が3世代目にして初めてGⅠタイトルを手にした。
桜花賞、オークスに続く3歳牝馬による牝馬3冠の最終戦である秋華賞は、1996年にエリザベス女王杯と分離する形で新設された。京都競馬場の芝2000㍍を舞台にする第22回大会は、新設以来初めて重馬場で行われることになった。
3着にもモズカッチャンが入ったように、ハービンジャー産駒にとって時計のかかる重い馬場はプラスに働いたようだ。
ハービンジャー産駒がデビューしたのは2014年夏。いきなり強烈な印象を残した。7月20日にスワーヴジョージが函館の芝1800㍍で新馬勝ちを収めた。札幌に舞台を移すとジャズファンク、フローレスダンサー、カービングパスと新馬勝ちが続き、トーセンバジルが未勝利戦を勝ち上がった。いわゆる「洋芝」のコースで次々と優勝馬を送り出し、「ハービンジャー産駒は洋芝に強い」という評価を確立させた。力のいる馬場状態はハービンジャー産駒の「得意種目」になった。
結局、この年は82頭が194戦し、19頭の勝ち馬が合計21勝を挙げた。獲得賞金は2億6,656万2,000円に達し、2歳リーディングでは5位、ファーストシーズンサイアー部門では堂々の1位に輝いた。2歳リーディングは1位ディープインパクト、2位キングカメハメハ、3位ハーツクライ、4位ダイワメジャーというそうそうたるメンバー。ファーストシーズンサイアーの同期はキンシャサノキセキ(AUS)、エンパイアメーカー(USA)、ヴァーミリアン、カネヒキリといった面々だった。
年が明けて2015年1月、ベルーフがハナ、クビ、ハナ差という接戦を制して京成杯で優勝。初年度産駒から重賞勝ち馬が生まれた。2世代目からはドレッドノータス(京都2歳S)、プロフェット(京成杯)と2頭の重賞勝ち馬が出現。3世代目からはディアドラのほかペルシアンナイト(アーリントンC)、モズカッチャン(フローラS)と3頭の重賞勝ち馬が誕生した。
ハービンジャーはダンジリ(Dansili)を父に2006年、英国で生まれた。ジャパンカップを2度制しているマイケル・スタウト調教師に育てられ、2009年にデビューした。この年は5戦2勝。GⅢで1勝したのが目立つぐらいの平凡な成績だった。
ところが4歳になって急成長する。重賞3連勝の勢いに乗り、2010年7月のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(GⅠ、アスコット競馬場、芝約2400メートル)に駒を進めた。ライバルは強力だった。同年の英国ダービー馬ワークフォース(GB)(本邦輸入種牡馬になった後輸出)、アイルランド・ダービー馬ケープブランコ(IRE)(本邦輸入種牡馬)、凱旋門賞で3年連続2着のユームザインなど6頭立ての少頭数ながら粒ぞろいだった。
日本でもおなじみのオリビエ・ペリエ騎手とコンビを組んだハービンジャーは道中4番手に控え、最後の直線に入ると早めに先頭に立った。そこからは後続を引き離すばかり。ゴールでは2着のケープブランコに11馬身という大差をつけ、当時のレースレコード2分26秒78という快記録で圧勝した。
このレースの勝利が認められ、レーティングは135をマーク。国際競馬統括機関連盟(IFHA)が決めるワールドサラブレッドランキングで年間1位の座に輝いた。残念ながら故障が見つかり、「キングジョージ」が現役最後のレースになった。
近年は内国産種牡馬が全盛を誇っている。外国産でベスト10入りしたことがあるのはクロフネ(USA)やシンボリクリスエス(USA)など限られている。それも現役生活は日本で送っていた。外国生まれ、外国育ちとなるとハービンジャー以外に見当たらない。
サンデーサイレンス(USA)の遺伝子で充満した日本の生産界にようやく登場した非サンデーサイレンス系種牡馬。秋華賞はハービンジャーの活躍の可能性を示した。
桜花賞、オークスに続く3歳牝馬による牝馬3冠の最終戦である秋華賞は、1996年にエリザベス女王杯と分離する形で新設された。京都競馬場の芝2000㍍を舞台にする第22回大会は、新設以来初めて重馬場で行われることになった。
3着にもモズカッチャンが入ったように、ハービンジャー産駒にとって時計のかかる重い馬場はプラスに働いたようだ。
ハービンジャー産駒がデビューしたのは2014年夏。いきなり強烈な印象を残した。7月20日にスワーヴジョージが函館の芝1800㍍で新馬勝ちを収めた。札幌に舞台を移すとジャズファンク、フローレスダンサー、カービングパスと新馬勝ちが続き、トーセンバジルが未勝利戦を勝ち上がった。いわゆる「洋芝」のコースで次々と優勝馬を送り出し、「ハービンジャー産駒は洋芝に強い」という評価を確立させた。力のいる馬場状態はハービンジャー産駒の「得意種目」になった。
結局、この年は82頭が194戦し、19頭の勝ち馬が合計21勝を挙げた。獲得賞金は2億6,656万2,000円に達し、2歳リーディングでは5位、ファーストシーズンサイアー部門では堂々の1位に輝いた。2歳リーディングは1位ディープインパクト、2位キングカメハメハ、3位ハーツクライ、4位ダイワメジャーというそうそうたるメンバー。ファーストシーズンサイアーの同期はキンシャサノキセキ(AUS)、エンパイアメーカー(USA)、ヴァーミリアン、カネヒキリといった面々だった。
年が明けて2015年1月、ベルーフがハナ、クビ、ハナ差という接戦を制して京成杯で優勝。初年度産駒から重賞勝ち馬が生まれた。2世代目からはドレッドノータス(京都2歳S)、プロフェット(京成杯)と2頭の重賞勝ち馬が出現。3世代目からはディアドラのほかペルシアンナイト(アーリントンC)、モズカッチャン(フローラS)と3頭の重賞勝ち馬が誕生した。
ハービンジャーはダンジリ(Dansili)を父に2006年、英国で生まれた。ジャパンカップを2度制しているマイケル・スタウト調教師に育てられ、2009年にデビューした。この年は5戦2勝。GⅢで1勝したのが目立つぐらいの平凡な成績だった。
ところが4歳になって急成長する。重賞3連勝の勢いに乗り、2010年7月のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(GⅠ、アスコット競馬場、芝約2400メートル)に駒を進めた。ライバルは強力だった。同年の英国ダービー馬ワークフォース(GB)(本邦輸入種牡馬になった後輸出)、アイルランド・ダービー馬ケープブランコ(IRE)(本邦輸入種牡馬)、凱旋門賞で3年連続2着のユームザインなど6頭立ての少頭数ながら粒ぞろいだった。
日本でもおなじみのオリビエ・ペリエ騎手とコンビを組んだハービンジャーは道中4番手に控え、最後の直線に入ると早めに先頭に立った。そこからは後続を引き離すばかり。ゴールでは2着のケープブランコに11馬身という大差をつけ、当時のレースレコード2分26秒78という快記録で圧勝した。
このレースの勝利が認められ、レーティングは135をマーク。国際競馬統括機関連盟(IFHA)が決めるワールドサラブレッドランキングで年間1位の座に輝いた。残念ながら故障が見つかり、「キングジョージ」が現役最後のレースになった。
近年は内国産種牡馬が全盛を誇っている。外国産でベスト10入りしたことがあるのはクロフネ(USA)やシンボリクリスエス(USA)など限られている。それも現役生活は日本で送っていた。外国生まれ、外国育ちとなるとハービンジャー以外に見当たらない。
サンデーサイレンス(USA)の遺伝子で充満した日本の生産界にようやく登場した非サンデーサイレンス系種牡馬。秋華賞はハービンジャーの活躍の可能性を示した。