第5コーナー ~競馬余話~
第111回 「59キロ」
2020.06.11
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2020年5月2日に京都競馬場で行われた天王山ステークスで17年ぶりの記録が達成された。
4歳以上のオープン馬15頭が出走したダートの1200㍍戦で、サクセスエナジー(牡6歳、栗東・北出成人厩舎)が優勝した。3馬身差の2着で続いたのがシュウジ(牡7歳、栗東・須貝尚介厩舎)である。ともに負担重量59キロを背負っていた。
負担重量59キロの馬が上位を独占したのは、2003年4月27日に京都競馬場で行われた第8回アンタレスステークス(ダート1800㍍)でゴールドアリュールが1着、イーグルカフェが2着になった時以来の出来事だった。
天王山ステークスもアンタレスステークスもダート戦だったが、芝のレースとなると、2000年までさかのぼらなければ、該当するレースはない。10月28日に京都競馬場で行われた第43回スワンステークスだ。芝1400㍍で行われたこのレースで59キロのダイタクヤマトが優勝し、同じく59キロのシンボリインディ(USA)が4分の3馬身差の2着で続いた。
別定重量で負担が大きいということは過去の実績がぬきんでいることの証明でもある。ダイタクヤマトはスワンステークスの直前にスプリンターズステークスで初のGⅠタイトルを手にしていたし、シンボリインディは前年にGⅠのNHKマイルカップで優勝していた。
最初に触れた天王山ステークスの負担重量は次のように決められていた。「56キログラム、牝馬2キログラム減、収得賞金1600万円超過馬は超過額1200万円毎1キログラム増」。出走前の時点で、サクセスエナジーの収得賞金は5780万円、シュウジは5375万円。2頭ともレースに出走する場合、収得賞金によって基本の56キロから3キロ増となる59キロとなる規定だった。
15頭の出走馬の中で59キロを背負ったのはサクセスエナジーとシュウジの2頭だけ。実績上位の2頭が上位を独占したという形だ。ただファンは59キロの重い重量を嫌い、サクセスエナジーは3番人気、シュウジは4番人気でしかなかった。
サクセスエナジーは中央競馬でこそ重賞勝ちはないが、地方交流では2018年のかきつばた記念(名古屋)、同年のさきたま杯(浦和)、2019年の黒船賞(高知)と3つの重賞を制している実力派だ。シュウジも2015年の小倉2歳ステークスと2016年の阪神カップと芝の重賞レースで計2勝を挙げている。オープン戦に出走する時は負担重量が重くなってしまう。天王山ステークスはシュウジにとって6度目の59キロだった。
59キロを背負った実力馬同士の名勝負といえば、2000年の京都大賞典が挙げられる。前年の皐月賞馬テイエムオペラオーと同期の菊花賞馬ナリタトップロードが最後の直線では一騎打ちとなり、外側を進んだテイエムオペラオーがアタマ差をつけて優勝した。テイエムオペラオーはこの年、GⅠ5勝を含む年間8戦8勝の強さを発揮した。
1989年の毎日王冠も素晴らしいレースだった。ゴール寸前、59キロのオグリキャップとイナリワンが並んで抜け出し、わずかにハナ差でオグリキャップが優勝した。この毎日王冠はオグリキャップが生涯で唯一59キロを背負ったレースだった。
障害レースを除く平地レースで、59キロ以上の負担重量で出走する例は少なくなった。2019年1年間の中央競馬では、16例があるにすぎない。芝の重賞レースでは5月にあった目黒記念(東京、2500㍍)でブラストワンピースが59キロで出て、8着になった1例だけだった。
2018年の有馬記念優勝馬ブラストワンピースが目黒記念に出走したのには、はっきりとした狙いがあった。その年の秋にフランス・凱旋門賞への遠征を予定していたからだ。凱旋門賞で4歳以上の牡馬に課せられる負担重量は59.5キロである。少しでも本番に近い条件で実戦を経験させようという意図があった。
中央競馬の平地レースで、60キロを背負って1着になったのは2002年のスエヒロコマンダーが最後だ。当時7歳のスエヒロコマンダーは9月8日、札幌競馬場の札幌日経オープンに出走。武幸四郎騎手を背に芝2600㍍を逃げ切っている。
4歳以上のオープン馬15頭が出走したダートの1200㍍戦で、サクセスエナジー(牡6歳、栗東・北出成人厩舎)が優勝した。3馬身差の2着で続いたのがシュウジ(牡7歳、栗東・須貝尚介厩舎)である。ともに負担重量59キロを背負っていた。
負担重量59キロの馬が上位を独占したのは、2003年4月27日に京都競馬場で行われた第8回アンタレスステークス(ダート1800㍍)でゴールドアリュールが1着、イーグルカフェが2着になった時以来の出来事だった。
天王山ステークスもアンタレスステークスもダート戦だったが、芝のレースとなると、2000年までさかのぼらなければ、該当するレースはない。10月28日に京都競馬場で行われた第43回スワンステークスだ。芝1400㍍で行われたこのレースで59キロのダイタクヤマトが優勝し、同じく59キロのシンボリインディ(USA)が4分の3馬身差の2着で続いた。
別定重量で負担が大きいということは過去の実績がぬきんでいることの証明でもある。ダイタクヤマトはスワンステークスの直前にスプリンターズステークスで初のGⅠタイトルを手にしていたし、シンボリインディは前年にGⅠのNHKマイルカップで優勝していた。
最初に触れた天王山ステークスの負担重量は次のように決められていた。「56キログラム、牝馬2キログラム減、収得賞金1600万円超過馬は超過額1200万円毎1キログラム増」。出走前の時点で、サクセスエナジーの収得賞金は5780万円、シュウジは5375万円。2頭ともレースに出走する場合、収得賞金によって基本の56キロから3キロ増となる59キロとなる規定だった。
15頭の出走馬の中で59キロを背負ったのはサクセスエナジーとシュウジの2頭だけ。実績上位の2頭が上位を独占したという形だ。ただファンは59キロの重い重量を嫌い、サクセスエナジーは3番人気、シュウジは4番人気でしかなかった。
サクセスエナジーは中央競馬でこそ重賞勝ちはないが、地方交流では2018年のかきつばた記念(名古屋)、同年のさきたま杯(浦和)、2019年の黒船賞(高知)と3つの重賞を制している実力派だ。シュウジも2015年の小倉2歳ステークスと2016年の阪神カップと芝の重賞レースで計2勝を挙げている。オープン戦に出走する時は負担重量が重くなってしまう。天王山ステークスはシュウジにとって6度目の59キロだった。
59キロを背負った実力馬同士の名勝負といえば、2000年の京都大賞典が挙げられる。前年の皐月賞馬テイエムオペラオーと同期の菊花賞馬ナリタトップロードが最後の直線では一騎打ちとなり、外側を進んだテイエムオペラオーがアタマ差をつけて優勝した。テイエムオペラオーはこの年、GⅠ5勝を含む年間8戦8勝の強さを発揮した。
1989年の毎日王冠も素晴らしいレースだった。ゴール寸前、59キロのオグリキャップとイナリワンが並んで抜け出し、わずかにハナ差でオグリキャップが優勝した。この毎日王冠はオグリキャップが生涯で唯一59キロを背負ったレースだった。
障害レースを除く平地レースで、59キロ以上の負担重量で出走する例は少なくなった。2019年1年間の中央競馬では、16例があるにすぎない。芝の重賞レースでは5月にあった目黒記念(東京、2500㍍)でブラストワンピースが59キロで出て、8着になった1例だけだった。
2018年の有馬記念優勝馬ブラストワンピースが目黒記念に出走したのには、はっきりとした狙いがあった。その年の秋にフランス・凱旋門賞への遠征を予定していたからだ。凱旋門賞で4歳以上の牡馬に課せられる負担重量は59.5キロである。少しでも本番に近い条件で実戦を経験させようという意図があった。
中央競馬の平地レースで、60キロを背負って1着になったのは2002年のスエヒロコマンダーが最後だ。当時7歳のスエヒロコマンダーは9月8日、札幌競馬場の札幌日経オープンに出走。武幸四郎騎手を背に芝2600㍍を逃げ切っている。