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第44回 「ケ・ム・ユ・ヨ」

2014.11.11
 10月19日に京都競馬場で行われた秋華賞はディープインパクトの娘ショウナンパンドラが優勝した。母キューティゴールド(2004年生まれ、父フレンチデピュティ(USA)、母ゴールデンサッシュ)は、ステイゴールドの10歳年下の半妹という血統。スノードラゴンがスプリンターズSを制するなど、この牝系は現在活気にあふれている。
 それにしても惜しかったのはクビ差の2着だったヌーヴォレコルトだ。ファビラスラフイン(FR)が1996年の第1回でマークした1分58秒1(芝2000㍍)を1秒1も更新する1分57秒0という好時計で走りながら、オークスに続くGⅠ勝利はかなわなかった。スタート直後に挟まれ、最後の直線に向いたところで内側の馬とぶつかった。何の不利もなく内の最短コースを走ったショウナンパンドラに対し、少しずつ不利を受けた。その少しの差がクビ差になった。ヌーヴォレコルトの斎藤誠調教師は「これが競馬ですね」と話した。まったく、その通りで、この日は運に恵まれなかった。

 ヌーヴォレコルトについて、以前から調べなければならないと考えていたことがあった。それは「馬名がヌで始まる初めてのGⅠ優勝馬ではないか」ということだった。オークス優勝直後に、そんな情報に触れた。確かめることなく、放っていたが、秋華賞を機会に調べてみた。結論からいうと、情報は正しかった。

 改めて海外と地方競馬、障害レースを除いた中央競馬のGⅠ優勝馬を馬名順に分類してみた。(10月19日現在、全373頭)

アアパパネなど28頭 イイナリワンなど7頭 ウウオッカなど11頭 エエルコンドルパサーなど20頭 オオルフェーヴルなど7頭
カカンパニーなど8頭 キキングカメハメハなど10頭 ククロフネなど7頭 コゴールドシップなど11頭
ササッカーボーイなど19頭 シジャスタウェイなど27頭 ススティルインラブなど18頭 セゼンノロブロイなど4頭 ソソングオブウインド1頭
タタイキシャトルなど30頭 チチョウカイキャロルなど2頭 ツツルマルボーイ1頭 テディープインパクトなど12頭 トトウカイテイオーなど12頭
ナナリタブライアンなど4頭 ニニッポーテイオーなど4頭 ヌヌーヴォレコルト1頭 ネネオユニヴァースなど2頭 ノノースフライトなど4頭
ハハーツクライなど11頭 ヒビワハヤヒデなど12頭 フブエナビスタなど23頭 ヘベガなど5頭ホホーリックスなど3頭
ママヤノトップガンなど14頭 ミミスターシービーなど5頭 メメジロマックイーンなど14頭モモンテファスト1頭
ヤヤマニンゼファーなど5頭
ラライスシャワーなど5頭 リリアルインパクトなど5頭 ルルグロリュー1頭 レレガシーワールドなど9頭 ロロードカナロアなど8頭
ワワンアンドオンリーなど2頭

 ここまでお読みいただいて、お気づきになった方がいらっしゃるでしょうが、「ヌ」のほかにも「ソ」「ツ」「モ」「ル」で馬名が始まるGⅠ馬は1頭しかいない。1984年にグレード制度が導入されて以来30年がたつが、「ケ」「ム」「ユ」「ヨ」で始まる馬名を持つGⅠ馬はまだ誕生していない。

 馬名を付けるのはむずかしい。時代を重ねるごとに選べる範囲は狭まる。古くはニジンスキー(CAN)やミスターシービー、さらにエルコンドルパサー(USA)は、それ以前に同じ馬名を持つ馬が存在した2代目であることはよく知られている。10数年前に「ライスラボニータ」という馬がいたのも似たような例だ。最近、フランス語やイタリア語の馬名が増えてきた。英語馬名が煮詰まってきた証拠でもある。

 だが、こうしてみると、まだ可能性は残っている。
 チャンレンジ精神旺盛な馬主さん、まだ達成されていない「ケ」「ム」「ユ」「ヨ」で始まる命名で初めてのGⅠ制覇に挑んではいかがでしょうか。
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