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第73回 「ドバイ」

2017.04.12
 ドバイ国際競走が今年も3月25日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイのメイダン競馬場で行われた。日本からは10頭が遠征し、6つのレースに出走した。このうちドバイターフ(芝1800メートル)に出走したヴィブロス(牝4歳、栗東・友道康夫厩舎)が見事に勝利をものにした。
 香港をベースに活躍するブラジル人のモレイラ騎手とのコンビで挑んだヴィブロスは13頭立てのレースで後方を進み、最後の直線で末脚を爆発させると、早めに先頭に立ったフランス調教馬のエシェム(牡4歳)と英国調教馬リブチェスター(牡4歳)をかわして先頭でゴール。1分50秒20のタイムで昨年の秋華賞に続く自身2度目となるGⅠ制覇を果たした。グリーンチャンネルには、会心の勝利を喜ぶ馬主の佐々木主浩さんの表情が映し出されていた。JRAが馬券を発売した、このレースでヴィブロスの日本国内での単勝売り上げは5番人気にすぎなかった。

 1998年にシーキングザパール(USA)がフランスのモーリスドゲスト賞を制して、日本調教馬として初めて海外のGⅠレースでの優勝を果たして以来、ヴィブロスは海外GⅠで優勝した27頭目の日本調教馬となった。その合計の勝ち星も33勝に達した。牝馬の優勝は前記のシーキングザパール、シーザリオ(2005年米アメリカンオークス)、ジェンティルドンナ(2014年ドバイシーマクラシック)、ハナズゴール(2014年豪オールエイジドS)に次ぐ5頭目の記録となった。また2013年生まれとしては初めての海外GⅠ制覇でもあった。

 ヴィブロスの勝利によって、ドバイターフは日本調教馬がもっとも得意とするレースということになった。

 2007年にアドマイヤムーンが当時、ドバイデューティフリーと呼ばれていた、このレースで優勝したのを皮切りに、2014年にはジャスタウェイ、2016年にはリアルスティールが続き、今年もヴィブロスが勝利した。日本調教馬が計4勝した海外GⅠレースはドバイターフが初めてだ。

 昨年までに日本調教馬が3勝している海外のGⅠレースは4レースあった。クイーンエリザベス2世S、香港マイル、香港カップ、そしてドバイターフだった。クイーンエリザベス2世Sはエイシンプレストン(USA)(2連覇)とルーラーシップ、香港マイルはエイシンプレストン、ハットトリック、モーリス、香港カップはアグネスデジタル(USA)、エイシンヒカリ、モーリスが制していた。ヴィブロスの勝利でドバイターフが頭一つ抜け出した。

 面白いことにドバイターフ(ドバイデューティフリー)がメイダン競馬場で行われるようになった2010年以降、中山記念をステップにした馬がドバイターフで結果を残している。2014年のジャスタウェイは中山記念優勝。2016年のリアルスティールは中山記念3着をステップにドバイへ向かった。今回のヴィブロスも昨年10月の秋華賞を勝った後、じっくりと休養を取り、年明け初戦を中山記念とし、ネオリアリズムの5着となっていた。

 中山記念はドバイターフばかりでなく、ほかのドバイ国際競走にもつながっている。2011年に中山記念を制したヴィクトワールピサはその足でドバイに向かい、当時、世界最高賞金だったドバイワールドカップの優勝をさらった。2016年の中山記念優勝馬ドゥラメンテも直後にドバイシーマクラシックに出走し、ポストポンドの2着に健闘した。芝の中距離部門での日本調教馬の層の厚さがうかがえる結果だ。

 また昨年のリアルスティールと今年のヴィブロス。共通点を探すと、ディープインパクトを父に持つ点だ。メイダン競馬場の平坦で長い直線コースが瞬発力に秀でたディープインパクト産駒にぴったり合うのだろう。

 来年もドバイターフの馬券は日本国内で発売されることになるだろう。中山記念をステップにしたディープインパクト産駒が出走してきたら迷わずに単勝を買うことにしようと思う。
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