第5コーナー ~競馬余話~
第82回 「3連覇」
2018.01.04
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2017年12月2日に中山競馬場で行われた第51回ステイヤーズSは単勝オッズ1.3倍という断然の1番人気に支持されたアルバート(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)が優勝し、ステイヤーズS史上初の3年連続制覇を果たした。
中央競馬の平地重賞では、もっとも距離の長い芝3600㍍戦。特徴のある、このレースを得意とする「マラソンランナー」はかつても存在した。ピュアーシンボリ(1981、82年)、スルーオダイナ(1988、89年)、アイルトンシンボリ(1992、93年)、デスペラード(2013、14年)と4頭が2連覇していたし、フジノハイハット(1978、80年)とホットシークレット(2000、02年)は年を置いて2勝している。しかし3連覇となると皆無。アルバートが初めてのケースとなった。
同一重賞の3年連続優勝という記録は中央競馬全体をみても数少ない。
平地では、それまで鳴尾記念のセカイオー(1956~58年)、金鯱賞のタップダンスシチー(USA)(2003~05年)、函館記念のエリモハリアー(2005~07年)、オールカマーのマツリダゴッホ(2007~09年)、阪神大賞典のゴールドシップ(2013~15年)の5例とセイユウ記念におけるアラブのシゲルホームラン(1993~95年)の例があっただけ。障害レースでは中山大障害・秋のバローネターフ(1977~79年)、中山グランドジャンプのカラジ=オーストラリア=(2005~07年)、阪神ジャンプSのコウエイトライ(2006~08年)が達成している。
地方競馬では、中央と地方が交流するダートグレード競走でいくつかの3連覇が記録されている。
南部杯のブルーコンコルド(2006~08年)、JBCクラシックのヴァーミリアン(2007~09年)、川崎記念のホッコータルマエ(2014~16年)、ダイオライト記念のクリソライト(2015~17年)、そして忘れてならないのがJBCクラシックで初めての3連覇を記録したアドマイヤドンだ。
JBCが創設されて2年目。2002年11月4日、舞台は盛岡競馬場のダート2000㍍だった。藤田伸二騎手を背にした3歳のアドマイヤドンは2着のプリエミネンスに7馬身という大きな差をつけて優勝した。その前走が菊花賞だったようにアドマイヤドンは3冠路線を歩んでいた。また前年の朝日杯フューチュリティSを制したように芝での実績も一流だった。しかし、その才能はダート路線に軸足を移してから大きく花開いたといえる。翌年のJBCクラシックは大井競馬場に舞台を移して行われ、スターキングマンに3馬身差をつけて2連覇。2004年は再び大井競馬場で走り、2分2秒4という当時のコースレコードで見事に3連覇を果たした。2003、04年はJRA賞の最優秀ダートホースに輝き、03年はNARグランプリの特別表彰馬に選ばれた。
このアドマイヤドンの息子が今回ステイヤーズSで史上初の3連覇を達成したアルバートである。父が3連覇目にコースレコードを叩き出したのと同様に、息子も3連覇目で一番速い勝ち時計をマークした。息の長い活躍を続ける遺伝子は確実に父から子へと受け継がれているようだ。
アルバートの林正道オーナーはレース後、報道陣に対し「ステイヤーズSの4連覇も考えてはいますが、一番勝ちたいのは春の天皇賞なんです」と話した。現役屈指の長距離ランナーは2016、17年と2年連続で京都競馬場の芝3200㍍に挑んだが、いずれもキタサンブラックの後塵を拝し、6着と5着に終わっている。思いはまだ叶っていない。
中央競馬のサラブレッド平地重賞で3連覇を果たしているのは、どの馬も「個性派」と呼ぶにふさわしい特長のあるタイプばかりだが、タップダンスシチー、マツリダゴッホ、ゴールドシップと3頭のGⅠ馬が含まれていることを考えると、実力がなければ3連覇という偉業は達成できないのかもしれない。
アルバートの今後を楽しみにしたい。
中央競馬の平地重賞では、もっとも距離の長い芝3600㍍戦。特徴のある、このレースを得意とする「マラソンランナー」はかつても存在した。ピュアーシンボリ(1981、82年)、スルーオダイナ(1988、89年)、アイルトンシンボリ(1992、93年)、デスペラード(2013、14年)と4頭が2連覇していたし、フジノハイハット(1978、80年)とホットシークレット(2000、02年)は年を置いて2勝している。しかし3連覇となると皆無。アルバートが初めてのケースとなった。
同一重賞の3年連続優勝という記録は中央競馬全体をみても数少ない。
平地では、それまで鳴尾記念のセカイオー(1956~58年)、金鯱賞のタップダンスシチー(USA)(2003~05年)、函館記念のエリモハリアー(2005~07年)、オールカマーのマツリダゴッホ(2007~09年)、阪神大賞典のゴールドシップ(2013~15年)の5例とセイユウ記念におけるアラブのシゲルホームラン(1993~95年)の例があっただけ。障害レースでは中山大障害・秋のバローネターフ(1977~79年)、中山グランドジャンプのカラジ=オーストラリア=(2005~07年)、阪神ジャンプSのコウエイトライ(2006~08年)が達成している。
地方競馬では、中央と地方が交流するダートグレード競走でいくつかの3連覇が記録されている。
南部杯のブルーコンコルド(2006~08年)、JBCクラシックのヴァーミリアン(2007~09年)、川崎記念のホッコータルマエ(2014~16年)、ダイオライト記念のクリソライト(2015~17年)、そして忘れてならないのがJBCクラシックで初めての3連覇を記録したアドマイヤドンだ。
JBCが創設されて2年目。2002年11月4日、舞台は盛岡競馬場のダート2000㍍だった。藤田伸二騎手を背にした3歳のアドマイヤドンは2着のプリエミネンスに7馬身という大きな差をつけて優勝した。その前走が菊花賞だったようにアドマイヤドンは3冠路線を歩んでいた。また前年の朝日杯フューチュリティSを制したように芝での実績も一流だった。しかし、その才能はダート路線に軸足を移してから大きく花開いたといえる。翌年のJBCクラシックは大井競馬場に舞台を移して行われ、スターキングマンに3馬身差をつけて2連覇。2004年は再び大井競馬場で走り、2分2秒4という当時のコースレコードで見事に3連覇を果たした。2003、04年はJRA賞の最優秀ダートホースに輝き、03年はNARグランプリの特別表彰馬に選ばれた。
このアドマイヤドンの息子が今回ステイヤーズSで史上初の3連覇を達成したアルバートである。父が3連覇目にコースレコードを叩き出したのと同様に、息子も3連覇目で一番速い勝ち時計をマークした。息の長い活躍を続ける遺伝子は確実に父から子へと受け継がれているようだ。
アルバートの林正道オーナーはレース後、報道陣に対し「ステイヤーズSの4連覇も考えてはいますが、一番勝ちたいのは春の天皇賞なんです」と話した。現役屈指の長距離ランナーは2016、17年と2年連続で京都競馬場の芝3200㍍に挑んだが、いずれもキタサンブラックの後塵を拝し、6着と5着に終わっている。思いはまだ叶っていない。
中央競馬のサラブレッド平地重賞で3連覇を果たしているのは、どの馬も「個性派」と呼ぶにふさわしい特長のあるタイプばかりだが、タップダンスシチー、マツリダゴッホ、ゴールドシップと3頭のGⅠ馬が含まれていることを考えると、実力がなければ3連覇という偉業は達成できないのかもしれない。
アルバートの今後を楽しみにしたい。