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第95回 「豊作」

2019.02.14
 2018年12月23日に行われた第63回有馬記念は3歳のブラストワンピース(牡、美浦・大竹正博厩舎)が優勝した。
 16頭の出走馬の中でブラストワンピースは唯一の3歳馬だった。1頭だけ出走した3歳馬が有馬記念を制したのは、1975年のイシノアラシ、2016年のサトノダイヤモンドに続く3度目のケースになった。

 2018年は2015年に生まれた「3歳馬の年」になった。11月のマイルチャンピオンシップでステルヴィオ(牡、美浦・木村哲也厩舎)が優勝したのを皮切りに、アーモンドアイ(牝、美浦・国枝栄厩舎)がジャパンカップを制し、12月のチャンピオンズカップではルヴァンスレーヴ(牡、美浦・萩原清厩舎)が勝ち、ブラストワンピースの有馬記念へとつなげた。

 現在、JRAの平地GⅠで出走条件が「3歳以上」なのは9レースある。日付順に安田記念、宝塚記念、スプリンターズS、天皇賞・秋、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップ、チャンピオンズカップ、有馬記念だ。3歳馬が一連のGⅠレースで年間4勝を挙げたのは史上初めての快挙だった。

 これまでの最多は年間3勝で5度あった。しかし、このうち3度は外国調教馬がまじっていたり、同じ馬が2勝していたりした。3勝を別々の馬が挙げたのは2度だった。1998年は1995年生まれのエルコンドルパサー(USA)がジャパンカップ、マイネルラヴ(USA)がスプリンターズS、グラスワンダー(USA)が有馬記念を制した。2001年は1998年生まれのクロフネ(USA)がジャパンカップダート(現チャンピオンズカップ)、ジャングルポケットがジャパンカップ、マンハッタンカフェが有馬記念で優勝した。今回のように別々の4頭がそれぞれ1勝ずつ挙げるのは今後もないかもしれない出来事といっていい。

 強い3歳世代がその翌年どんな成績を残したのか。エルコンドルパサーなどが4歳になった1999年とクロフネなどが年を重ねた2002年が該当年になる。

 1999年は世代間で争う平地GⅠで4歳が11レース中7勝を挙げた。この世代のダービー馬スペシャルウィークが大活躍。天皇賞の春秋連覇を果たした上にジャパンカップも制した。グラスワンダーも健在で宝塚記念、有馬記念と春秋のグランプリをもぎ取った。

 ところが2002年の4歳馬は12レース中5勝しか挙げることができなかった。しかもこのうちの1勝は外国馬ファルブラヴ(IRE)のジャパンカップだった。尻すぼみの成績だった。

 最終的に1995年生まれは他世代と対戦した平地重賞で計84勝を挙げた。内訳はGⅠが15勝、GⅡが23勝、GⅢが46勝だ。これに対して1998年生まれは合計70勝。GⅠが13勝、GⅡが17勝、GⅢが40勝という内容だった。

 1995年生まれの平地重賞84勝は、ここ20年あまりの世代の中では上位の成績といっていい。しかし上には上がいる。1999年生まれと2008年生まれの2世代はそれぞれJRAの平地重賞で97勝、94勝という数字を残している。

 1999年組のダービー馬タニノギムレットはダービーを最後に現役を引退してしまったが、同レースで2着だったシンボリクリスエス(USA)が他の世代を相手に天皇賞・秋と有馬記念で2連覇を果たすなど大活躍。46頭が重賞勝ちを収めた。シンボリクリスエスのほかに3歳以上、4歳以上のGⅠレースで優勝したのはデュランダル、ヒシミラクル、ファインモーション(IRE)、アサクサデンエン(GB)、サニングデール、ゴールドアリュール、イングランディーレ、アドマイヤマックス、アドマイヤドンと9頭を数え、このほかに外国馬のブリッシュラック(USA)、テイクオーバーターゲット(AUS)、サイレントウィットネス(AUS)も加わった。

 ワインの世界でぶどうの出来がいい年をビンテージイヤーと呼ぶそうだ。サラブレッドにもビンテージイヤー、当たり年があるとしたら、日本では1999年産だ。2015年産がどこまで1999年産に近づけるか、そして追い越せるのか。じっくりと観察したい。
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