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烏森発牧場行き

吉川良 烏森発牧場行き

2015年の記事一覧

第252便 愛情一杯

 キタサンブラックが菊花賞を勝った翌日の晩、間近に富士山が見える裾野市に住む省三さんが電話してきて、
 「今日の夕方、ぼくの顔をじいっと見た父が、何か言いたそうなので待っていると、ヨシカワ、ヨシカワって、いきなり二度、呼ぶように、けっこうはっきりした声で言ったんです。

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第251便 ゴスペルな日

 2015年10月4日、朝10時、JR大船駅改札口に来たのは、小中学生が対象の学習塾で先生をしている25歳のマキノくん、塗装工で24歳のスドウくん、有料老人ホームでヘルパーをしている27歳のエリカさんだ。

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第250便 4番!4番!

 JR京浜東北線で上野駅から南浦和行きに乗ったときのこと、ほとんど立っている人がいない電車に日暮里駅で、5歳ぐらいに見える男の子をつれた、たぶん父親だろう男が乗ってきた。白のTシャツ姿の男は35歳ぐらいだろう。顔を見るとそっくりで、親子にちがいない。

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第249便 ひとり旅

 外を歩いているだけで汗びっしょりになってしまう8月2日のこと、ウインズ横浜の4階にいた井上さんがとなりにきて、
 「うちのかみさんがね、さすがに文章で生活している人は、こんなふうに嘘を書くんだって、ばかに感心してましたよ」
と笑った。

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第248便 地図をひらいて

 サッカーの女子ワールドカップの決勝でアメリカに5-2と負けた7月7日の夕刊で、
 「後半7分、主将のMF宮間あや選手のFKがアメリカのオウンゴールを誘い、2点差に。

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第247便 記念日

 入会しませんか。もし入会したら仲間ができて、毎日が楽しくなり、老後の人生に元気が出てきますと、或る老人会から誘いの手紙がきた。

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第246便 すずめの涙

 3年前の春の夕方のこと、鎌倉の海岸通りにあるパブのカウンターでビールをのんでいると、近くにいた青年が競馬新聞を読みはじめた。

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第245便 バンドホテル

 私は40歳すぎから60歳まで、地元の草野球チーム「ウーンズ」の一員だった。後半の10年は出場機会がめったにない、試合後に行く酒場でのキャプテンだったが。

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第244便 なんか、生きていけそう

 3月8日、中山競馬場の空はネズミ色で、ときどき雨が落ちてきた。パドックを歩く馬を見ながら、もうここに、後藤浩輝騎手は現れないのだなと思う。彼の自死からまだ9日しか過ぎていないのだと考えた私に、去年11月22日の東京競馬場での、頸椎骨折から約7ヵ月ぶりに復帰した騎手への、
 「ゴトー!」

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第243便 英才教育

 「息子の結婚が決まってね、披露宴の話になったとき、頼むからおやじさんの競馬の友だちは呼ばないでくれって、そう息子が言うんだよね。わかったって返事したけど、なんだかさびしかった」
 と馬主のAさんが言って笑った。

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