キタサンブラックが菊花賞を勝った翌日の晩、間近に富士山が見える裾野市に住む省三さんが電話してきて、
「今日の夕方、ぼくの顔をじいっと見た父が、何か言いたそうなので待っていると、ヨシカワ、ヨシカワって、いきなり二度、呼ぶように、けっこうはっきりした声で言ったんです。
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2015年10月4日、朝10時、JR大船駅改札口に来たのは、小中学生が対象の学習塾で先生をしている25歳のマキノくん、塗装工で24歳のスドウくん、有料老人ホームでヘルパーをしている27歳のエリカさんだ。
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JR京浜東北線で上野駅から南浦和行きに乗ったときのこと、ほとんど立っている人がいない電車に日暮里駅で、5歳ぐらいに見える男の子をつれた、たぶん父親だろう男が乗ってきた。白のTシャツ姿の男は35歳ぐらいだろう。顔を見るとそっくりで、親子にちがいない。
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外を歩いているだけで汗びっしょりになってしまう8月2日のこと、ウインズ横浜の4階にいた井上さんがとなりにきて、
「うちのかみさんがね、さすがに文章で生活している人は、こんなふうに嘘を書くんだって、ばかに感心してましたよ」
と笑った。
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サッカーの女子ワールドカップの決勝でアメリカに5-2と負けた7月7日の夕刊で、
「後半7分、主将のMF宮間あや選手のFKがアメリカのオウンゴールを誘い、2点差に。
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入会しませんか。もし入会したら仲間ができて、毎日が楽しくなり、老後の人生に元気が出てきますと、或る老人会から誘いの手紙がきた。
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3年前の春の夕方のこと、鎌倉の海岸通りにあるパブのカウンターでビールをのんでいると、近くにいた青年が競馬新聞を読みはじめた。
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私は40歳すぎから60歳まで、地元の草野球チーム「ウーンズ」の一員だった。後半の10年は出場機会がめったにない、試合後に行く酒場でのキャプテンだったが。
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3月8日、中山競馬場の空はネズミ色で、ときどき雨が落ちてきた。パドックを歩く馬を見ながら、もうここに、後藤浩輝騎手は現れないのだなと思う。彼の自死からまだ9日しか過ぎていないのだと考えた私に、去年11月22日の東京競馬場での、頸椎骨折から約7ヵ月ぶりに復帰した騎手への、
「ゴトー!」
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「息子の結婚が決まってね、披露宴の話になったとき、頼むからおやじさんの競馬の友だちは呼ばないでくれって、そう息子が言うんだよね。わかったって返事したけど、なんだかさびしかった」
と馬主のAさんが言って笑った。
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