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烏森発牧場行き

吉川良 烏森発牧場行き

2020年の記事一覧

第312便 サラ系セイシュン

 コロナ禍の年の8月、家のなかで激しく転倒。左手首を粉砕骨折して10日間の入院をした私は、11月になってもリハビリで週に2日の通院をし、ほかにも月に一度の循環器科の診察もあるので、病院にいる時間が多い。

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第311便 竹やぶ、海、髪の毛

 風呂から出て、時計を見る。午前0時10分。かみさんは先に寝て、おれひとり。6畳ほどの板の間の、居間兼食堂の明かりを小さくして、バー「たられば」をオープンする。

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第310便 ビビリ

 ひとりで電車に乗っていたり、ひとりで海を見ていたり、ひとりで何処かのベンチに座っていたり、ひとりで酒場にいたりする時、私の脳裡に1頭の牡の鹿毛馬が出てきて、
 「おお、ビビリ」
 と声をかける。ビビリが出てきてくれるひとときは、私の人生の幸せなのだ。

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第309便 黄金旅程

 「浦和の安藤です。いつも年賀状をありがとうございます。年賀状のみのおつきあいでしたけれど、とてもうれしかったです。

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第308便 ヒニチジョウ

 「自分で電話が出来ればいいんですけど、最近は補聴器もつけたがらないから耳がダメで、それでわたしに電話してくれって言うんです。

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第307便 バー「たられば」

 「あと3日でダービー。スタンドに人がいない、新型コロナウイルスダービー、とか思いながら、そうか、おれ、ダービーのことを考えてる場合じゃないのだ。自分が食っていけるかいけないか、それを考えなくてはならぬのだ、と笑った」

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第306便 余計な心配

 私が買う馬券はめったに当たらない。だから、間違ったように当たると、いっぺんに幸せになる。その、いっぺんに幸せになる、というのが忘れられなくて、60年以上も馬券とつきあっているのだろう。

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第305便 ウインズ休止

「あんなに競馬が好きだったのに、競馬のテレビをつけても、見ているんだかいないんだか、何も反応しないで、ただぼんやりしてるんです。
 認知症っておそろしい。人間って、こんなふうにもなっちゃうんだって」

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第304便 古井さん

 「日本の純文学作家の最高峰の一人で、内向の世代を代表する古井由吉さんが18日、肝細胞がんで死去した。82歳だった。葬儀は近親者のみで営んだ」

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第303便 無時間

 「暦では新しい年を迎えたが、そうした時計が刻む通常の時間、とは異なる時間がある、と谷川さんはいう。その時間の中では、死者たちも、一種の幻想みたいに存在しつづけている、という。谷川さんはそれを、無時間の時間と呼ぶ。肉体にこそ通常の時間が刻まれていくが、無時間を生きる魂や心は死ぬことはなく、不老不死。だから武満徹や大岡信ら親友が亡くなっても、寂しくないという感覚がずっとある」

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