第5コーナー ~競馬余話~
1957年福岡県生まれ。
82年から東京中日スポーツで競馬担当。
92年に朝日新聞社入社。
現在、毎週金曜日の夕刊スポーツ面に「競馬ウイークリー」を連載。
競馬予想の基本は「人気薄からワイド狙い」。
アルコールは飲めないが、競馬が話題ならば何時間でも話すことができる。

最新記事一覧
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第61回 「武 豊」 2016.04.12
3月12日に中京競馬場で行われた第52回中日新聞杯で、単勝13番人気のレコンダイトが3着になり、複勝の払戻金は1,110円を記録した。レコンダイトに騎乗していたのは中央競馬の歴代最多勝を更新し続ける武豊騎手だ。 武豊騎手の騎乗馬が3着以内になり、複勝の払戻金が1,000円を超えたのは、武豊騎手が1987年にデビューして以来、これが8度目のことだった。 古い順に、その記録を紹介しよう。■1996年12月1日阪神、ゴールデンホイップトロフィ...
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第60回 「ガビー」 2016.03.15
2月13日に行われた第51回クイーンカップは記録ずくめのレースになった。 桜花賞、オークスを目指す3歳牝馬が集う、このレースで圧勝劇を演じたのはメジャーエンブレムだった。父ダイワメジャー、母キャッチータイトル、母の父オペラハウス(GB)という血統を持つ快足馬である。2015年の阪神ジュベナイルフィリーズで優勝し、JRA賞の最優秀2歳牝馬に選ばれた有力馬だ。この勝利で通算成績を5戦4勝とした。 クイーンカップで2着のフロン...
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第59回 「マンボ」 2016.02.18
エルコンドルパサー(USA)やキングカメハメハを通じて日本の競馬に大きな影響を与えた種牡馬キングマンボが2016年1月20日、繋養先の米レーンズエンドファームで、その生涯を閉じた。26歳だった。 ひとことでいえば超良血馬である。父は米国の歴史的な名種牡馬ミスタープロスペクター、母は仏、英、米でGⅠレース計10勝を挙げたミエスク。両親とも文句なしの実績を誇る超のつく一流馬だ。 1990年2月に米国で生まれたキングマンボはフランスで...
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第58回 「七不思議」 2016.01.12
11月22日に京都競馬場で行われた第32回マイルチャンピオンシップではリアルインパクトとダノンシャークの走りに注目していた。それはジンクスが続くのか、それとも崩れるのかを確認する作業だった。 そのジンクスとは「ディープインパクト産駒の牡馬は中央競馬のGⅠレースで2勝できない」だった。 リアルインパクトは2011年に3歳の身で安田記念を制した天才肌の競走馬。ダノンシャークは前年のマイルチャンピオンシップでハナ差の勝負を制して...
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第57回 「有馬記念」 2015.12.22
年も押し詰まり、今年もまた怪物レース・有馬記念の季節になった。「怪物レース」と書いたのは馬券の売り上げで有馬記念に匹敵するレースがほかにないからだ。おそらく申請すれば、ギネス世界記録に認定されるはずだ。 中央競馬で1レースの馬券の売り上げが500億円を超えたケースが過去に17度ある。このうち14度が有馬記念で記録されている。残る3度はいずれも日本ダービーで、最高の売り上げとなったのはナリタブライアンが優勝した1994年。そ...
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第56回 「6歳牝馬」 2015.11.17
10月4日、6歳牝馬のストレイトガールがスプリンターズSを制した。5月のヴィクトリアマイルに次ぐ2つ目のGⅠタイトルだ。 この勝利によって、ストレイトガールはかつてなかった大記録を達成した。その記録とは「6歳牝馬によるGⅠレース年間2勝」だ。 1984年、中央競馬にグレード制度が導入された。重賞レースの格付けが行われ、距離別体系が整備された。しかし、グレード制度導入後30年以上たったにもかかわらず、6歳牝馬はGⅠレースでの...
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第55回 「ダービー馬」 2015.10.20
2013年の日本ダービー優勝馬キズナが引退することになった。秋の天皇賞を目指して放牧先から帰厩した直後に右前脚の浅屈腱炎が見つかった。父ディープインパクト、母キャットクイル(CAN)。姉に桜花賞馬ファレノプシスを持つ良血馬。種牡馬としての期待も大きく、現役引退という選択は正しいものだと思う。 僕がキズナの強さをもっとも感じたのは、凱旋門賞の前哨戦として選んだニエル賞での走りだった。 日本ダービー馬が凱旋門賞挑戦のためフ...
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第54回 「復活」 2015.09.11
8月8日、JRA札幌競馬場で行われたメインレース、札幌日経オープン(芝2600㍍)で、かつて「ダービー候補」と言われたペルーサ(牡8歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が実に5年ぶりの勝ち星を挙げた。 1周目の直線で先頭に立つ積極的なレース運びで長丁場を克服。ゴール前ではタマモベストプレイ、ワールドレーヴなどの追撃を封じ込め、21戦ぶりの白星を飾った。勝ちタイムは2分38秒7のコース新記録。従来の記録を0秒1更新してみせた。初めて...
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第53回 「全場制覇」 2015.08.12
7月12日に福島競馬場で行われた七夕賞は2番人気のグランデッツァが優勝した。騎乗した川田将雅騎手(29)にとって、この勝利は福島競馬場での重賞レース初勝利となり、川田騎手は日本中央競馬会(JRA)の10競馬場のうち9競馬場での重賞勝ちを果たした。 2004年にデビューした川田騎手が初めて重賞レースを制したのは2006年2月、小倉競馬場で行われた小倉大賞典だった。11番人気のメジロマイヤーに騎乗して1800㍍を逃げ切った。同年3月にはマ...
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第52回 「祝3冠」 2015.07.13
重い扉はついに開かれた。 6月6日、米ベルモントパーク競馬場で行われた第147回ベルモントS(ダート12ハロン=約2400㍍)で、1番人気に支持されたアメリカンファラオが見事に逃げ切った。ケンタッキー・ダービー、プリークネスSに続く勝利で3冠達成。1978年のアファームド以来37年ぶりの記録達成となった。 米3冠レースは短期間で行われる。今年の例でいくとケンタッキー・ダービーが5月2日、プリークネスSが5月16日、そしてベルモン...