第5コーナー ~競馬余話~
1957年福岡県生まれ。
82年から東京中日スポーツで競馬担当。
92年に朝日新聞社入社。
現在、毎週金曜日の夕刊スポーツ面に「競馬ウイークリー」を連載。
競馬予想の基本は「人気薄からワイド狙い」。
アルコールは飲めないが、競馬が話題ならば何時間でも話すことができる。
最新記事一覧
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第15回 ゴールデンウイーク 2009.06.01
今年のゴールデンウイークは「ゴールドアリュール・ウイーク」になった。まるで,この時期に合わせたかのように,ゴールドアリュールの産駒が次から次へと活躍した。 まず頑張ったのがトップカミング(牡3歳,栗東・境直行厩舎)だった。5月2日,東京競馬場で行われたダービートライアル青葉賞に6番人気で出走。いったんは先頭に立つ果敢なレース運びで3着となり,見事にダービーの優先出走権を手にした。 2日後の5月4日はスマートファルコン(牡4歳,栗...
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第14回 生き続ける境勝太郎ブランド 2009.05.01
中央競馬で活躍した境勝太郎・元調教師が亡くなった。 ダービー馬サクラチヨノオー,天皇賞馬サクラユタカオー,サクラチトセオー,サクラローレル,快足馬サクラバクシンオー。「サクラ」を愛し,「サクラ」に愛されたホースマンは,桜花賞が行われた4月12日の早朝,89年の生涯を閉じた。 1920年,北海道で生まれた境さんは,35年に騎手見習になった。翌36年,騎手デビューを果たし,63年まで現役を続けた。騎手時代の主な勝ち鞍には,44年の農商省賞典四歳...
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第13回 子宝,宝玉,新馬勝ち 2009.04.01
3月1日の阪神競馬場でニシノホウギョク(牡3歳,栗東・河内洋厩舎)が新馬勝ちするのを,僕は中山競馬場の記者席にあるモニター画面で見ていた。 「すごいですよね。デユプリシト(USA)の仔がまだ走っているんですから。しかも優勝」。レースが終わって,そう声をかけて来たのは他社の後輩記者だった。ニシノホウギョクはデユプリシトが21歳の時に産んだ牡馬なのだ。 1985年,父Danzig(USA),母Fabulous Fraud(USA)との間に米国で生まれたデユプリシトは...
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第12回 ダイワスカーレットの未来 2009.03.01
ダイワスカーレットの引退が決まった。 2月11日,フェブラリーS出走に向けて,1週前の追い切りを終えたダイワスカーレットの左前脚に異常が見つかった。浅屈腱の炎症だった。すぐにフェブラリーSの回避が決定され,続けてアラブ首長国連邦(UAE)で行われるドバイ・ワールドカップの遠征中止も発表された。 16日,大城敬三オーナー,生産者であり共同オーナーの社台ファーム・吉田照哉代表が会談し,現役引退が決定。18日付で競走馬登録を抹消された。 ...
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第11回 形は変わってもSS支配 2009.02.25
1995年から続いていたサンデーサイレンス(SS)の時代がついに終わった。 13年間,リーディングサイアーの座にあったSSは08年,ランキング7位に終わった。代わって首位に立ったのはSSの息子アグネスタキオンだった。 キャプテントゥーレ(皐月賞),ディープスカイ(NHKマイルカップ,ダービー),リトルアマポーラ(エリザベス女王杯),ダイワスカーレット(有馬記念)と4頭がG15勝を挙げるなど産駒は計129勝を挙げ,33億円あまりの賞金を稼いだ。 2位もSS2世...
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第10回 幸せな黄金旅程 2009.01.25
日本でジャパンカップが行われ,スクリーンヒーローがG1馬の仲間入りを果たした11月30日,シンガポールでも1頭のG1馬が誕生した。日本を離れ,現地で活躍する高岡秀行調教師(52)が育てているエルドラドだ。地元の大レース,シンガポールゴールドカップ(シンガポールG1,芝2200メートル)に出走し,直線で先頭に立つと,2着馬の追い込みを頭差でしのいで初のG1制覇を果たした。エルドラドは日本産。父ステイゴールド,母ホワイトリープ,母の父ホワイトマズル...
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第9回 天皇賞のこぼれ話 2008.12.25
秋の天皇賞はゴール前,ウオッカとダイワスカーレットの壮絶な競り合いになった。1着ウオッカと2着ダイワスカーレットの着差は,わずか2センチ。競馬ファンはいまだに,あのレースから受けた刺激にしびれているようだ。久しぶりに会う友人とは「天皇賞,見た?」が合言葉のようになっている。 歴史的な名勝負と評価される,このレースではいくつかの記録が生み出された。 まずはウオッカの優勝タイムだ。1分57秒2は,シンボリクリスエスが同じく2003年...
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第8回 F1と競馬の共通点 2008.11.25
10月9日から12日まで,静岡・富士スピードウェイで行われたフォーミュラワン(F1)日本グランプリ(GP)の取材に行った。 スポーツ紙に在籍していた時代は,競馬だけを専門に担当していた。しかし一般紙のスポーツ記者になってからは,そうもいかなくなった。サッカー,アメリカンフットボール,セパタクロー,フリースタイルスキー。知識があろうがなかろうが,経験があろうがなかろうが,人手が足りない時はどんなスポーツの取材にも駆り出される。最近は,...
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第7回 不良馬場でのダービー 2008.10.25
9月7日に行われた第28回新潟2歳Sは1番人気のセイウンワンダーが優勝した。予想したより後方からのレースになってしまったが,岩田康誠騎手は想定外の出来事にも慌てることなく,馬場の大外に出して,セイウンワンダーの末脚を見事に引き出した。 勝ちタイムは1分35秒4。新潟2歳Sが1600メートルで行われるようになった2002年以降,もっとも遅い優勝タイムとなった。 勝ちタイムは遅くなったのには,はっきりとした理由がある。この日は雨の影響で第1レ...
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第6回 香港で考えたこと 2008.09.25
北京五輪の馬術競技を取材するため,8月の2週間あまり,競技の会場となった香港に滞在した。国際都市であり,重要なアジア競馬の拠点でもある香港で,日本の競馬の行く末について色々と感じることが多かった。 馬術会場は沙田(シャティン)競馬場のすぐ隣に新設された。日本の競馬ファンにとって,沙田競馬場はステイゴールドやアグネスデジタル,エイシンプレストンらが活躍したことで,忘れられない思い出の競馬場だ。 馬術競技に出場する約200頭の馬...